出版社 : サンリオ
ストウ侯爵はバーナム卿の夫人と、秘密の情事を重ねていた。ところが、妻の浮気に気づいたバーナム卿は、情事を逆手に、妻に離婚を迫り、真相を暴露すると脅迫し始めた。スキャンダルの渦中に巻きこまれるのを恐れた侯爵は、バーナム卿の疑念を晴らして、窮地から逃れるため、侯爵自身、実際に誰かと婚約することを思いたった。
1816年、ナポレオン戦争の余波を受け、イギリスでは相次いで銀行が閉鎖。ランボーン卿一家は、全財産を失いまさに崖っぷちに立たされていた。そこへ持ち込まれたのが、卿の娘カミラをメルデンステイン王国の皇太子妃に、という願ってもない縁談話。カミラは父母を救いたい一心で、不安を胸に、見も知らぬ皇太子に嫁ぐ決心をする。しかし、王国までの護衛官として遣わされた男を見たカミラは、ひそかに驚きの声を漏らしていた…。
突然の両親の死によって、メリンダは不幸のどん底に突き落とされた。叔父の家での惨い仕打ちに耐えかねた彼女は、行く当てもなくロンドンへ向かう。親切な貴婦人が一夜の宿を申し出てくれた上、莫大なお金が手に入るチャンスがある、という。そこが娼婦の家であるとは清純無垢なメリンダが知る由もなく、彼女はチャード侯爵との偽りの結婚式を挙げる羽目になる…。メリンダは今、甘く危険な人生の罠に翻弄されようとしていた。
気鋭の女流彫刻家、スーキ・ラベットは彫刻展を開いて全米を回っている。しかし、ツアーの最終地コロラド州ベイルではハプニングの連続だった。まず、空港でスーツケースを間違えられ次には、作品の一部を壊される始末。もうこれ以上、何も起きないようにと願いながらホテルに向かった。ところが、悪いことはこれだけではなかった。ホテルのエレベータの中では、1人の魅力的な男性と一緒になるのだが…。
遥かなる砂漠への憧れ…募る思いをかなえるべく、英国貴族の娘ダイアナ・メイヨは、アフリカ大陸へと旅立った。だが、その地に足を踏み入れたとたん、キャラバン隊はアラブ人の一団に取り囲まれ、彼女の前に1人の男が立ちはだかる。アラブ人の族長、アーメッド・ベン・ハッサン-気性の激しい砂漠の男が、ダイアナの運命をその手に握ろうとしていた。1923年、ルドルフ・ヴァレンチノ主演で映画化され、全世界の女性を虜にした、愛と情熱の物語。
サビーニュ公爵は青春時代に受けた心の傷がもとで人間不信に陥り、今はパリで放蕩生活を送っている。母の公爵未亡人は独り息子の行末と公爵家の存亡を心配し、従兄のロシュシャン枢機卿に相談する。二人は公爵を結婚させようと企て枢機卿は花嫁探しに近接の城を訪ね回った。
なに不自由なく育ったシェイラ・ロジャーズは、ある日突然、すべてを失うことになった。新婚旅行の最中、メキシコ山中で山賊の一団に襲われて夫を殺され、彼らの隠れ家に連れ去られた。一団を統率するラファーガ〈風〉と呼ばれる男は、自分に女がありながらも、シェイラに野性的な情熱を抱く。けんめいに拒みつつも、シェイラはいつしかこの荒々しく力強い男に身も心を委ねたいと願うようになっていた。しかし、それもつかのま、捜索の手は刻々と迫っており、シェイラにもついに決断の時が来た。
南北戦争はブラッドフォード・メイトランドの心にも深い傷跡を残した。南部の大地主の息子でありながら、北部に生まれ育った彼は、自らの信念を貫いて北軍に加わった。しかし、婚約者のクリスタルはこれななじり、そのあげくに彼の弟のもとへと奔ったのだ。アンジェラが5年ぶりにブラッドフォードに再会した時、彼の心はすさみ切っていた。彼を追って飛び込んだ売春宿で、彼女は自分の素姓も明かさないままその身を委ねた。それが、かつて“エンジェル”と呼んだ少女であるなどとは、ブラッドフォードは知る由もなかった。
夫に顧みられることのない、冷えきった結婚生活は、メアリー・ラティマーをすっかり変えてしまった。美しく着飾ることも、楽しく微笑むことも忘れた、魅力のない退屈な女に…。たった一人の娘マーガレットは、幼い頃から寄宿舎に入れられたままだった。やがて、夫の突然の死。なんと彼には愛人がいたのだ。あとに残されたのは、本当の愛を知らずに育った娘と、時代遅れの服をまとった抜け殻のような未亡人。しかし、それは思いもかけない新しい人生の始まりでもあった…。
両親を亡くしたレディ・アイナは、伯父のワイモンド卿のもとに引き取られた。とびきりの美人で、社交界の花形である義理の伯母は、独身のチェイル候爵に熱をあげ、若いアイナに嫉妬する。ある日、候爵が伯母のために開くパーティに、アイナも同行することになった。
ファーンハースト卿の娘、セルマは、大伯母の莫大な遺産を相続した。そのことを聞きつけた継母は、セルマを自分の愛人と結婚させその財産をものにしようと企む。陰謀を知ったセルマは、財産の処分を禁じた指図書を弁護士に送り、馬丁ひとりを供に家を飛び出した。
私にぴったりの男性が、この地球のどこかにいるはずだわ-。広告会社のアシスタントをしているジェシーはそんな男性との出会いを求めていた。今日も家に帰ると、登録したデートサービス会社から紹介状が来ている。手紙を手に家に入ろうとしたとき、隣に引越してきたらしいとびきりハンサムな男性を見かけ、ジェシーの胸はときめいた。だが、彼の目はジェシーの持っている手紙に注がれていた…。
亡くなった母の代わりをするようになってから10年。牧師館の長女ダフネは、牧師である父、5人の弟妹たちと貧しいが幸せに満ちた生活を送っていた。そんなある日のこと、ダフネはひとまわり以上も年上の鉱山家、ジョン・カーに求婚される。妻になって身の回りの世話をしてくれるならば、その代わりに貧しい父と弟妹たちを援助する、というのだ。これはゲームだわ。ダフネは、そう考えて結婚を決意するのだが…。恋の意味さえ知らないダフネの、人生のゲームが始まった。
チャーンクリフ伯爵は、ルイ王朝の家具を求めフランスに渡った。伯爵が妻にしたいと望む娘エレインがフランス家具をほしがったからだ。だが、荒れ果てたマリニー城で見つけたのは昔の栄華をしのばせる華麗な家具だけではなかった。謎めいた老女に導かれて秘密の通路を抜けるとそこには、追手の目を逃れ、隠れ棲む貴族の令嬢リネッタがいた。
ピザ・レストランを経営するニコラは、婚約者を亡くして以来素直に男性に心を開くことができない。そんなニコラに、祖母は言う。誰でもいいからある人を理想のタイプと思い込むこと。そうすれば、その人はあなたに夢中になり、あなたも彼を好きになるだろう、と。本当にそんなことがあるのだろうか。ニコラは、早速、店に来た客に試してみる…。
燃えるような赤毛にグリーンの瞳の美しいイヴァンジェリン。彼女はほとんど世間から隔絶された状態で養母に育てられた。やがて養母が死ぬと、予想とは裏腹に甥の外交官クリストファがすべての財産を相続する。イヴァンジェリンに魅せられた彼は結婚を申し込んだ。だが、彼女はそのプロポーズを退け、わずか1000ポンドとダイヤの指輪ひとつだけを持って「女冒険家」としてロンドンに向かった-。いつか愛する人に出会うために。
時は1803年、ヨーロッパ支配を狙うナポレオンの上陸を恐れるイギリス-。アルトン侯爵は、政府中枢部に潜むスパイを発見せよとの命を受ける。公私ともに暗澹たる悩みを抱えながら森をひた歩いているとき、かれは妖精のような不思議な雰囲気を漂わせた、美しい娘に出会う。しかし娘は素性も明かさず、その短い出会いさえも夢であったかのように、忽然と姿を消してしまう。その裏には思いもよらない秘密が隠されていた。
1750年。ベニスへ向かう航海の途中、サンタ・ルチア号は嵐にのまれて岩場に激突、海の藻屑と消えた。たった2人の生存者-ハーヴェイ卿と、彼に助け出された美しい娘パオリナを残して…。父を亡くし、お金も行く当てもないパオリナに、自称冒険家のハーヴェイ卿は大胆な企てを告げる。パオリナを自分の妹に仕立て上げ、ベニスの社交界で玉の輿に乗せようというのだ。偽りの兄と妹の華やかで危険な人生の賭けが始まる。