出版社 : サンリオ
親子ほど年の離れた州統監ストナーム卿との縁談に、レディ・アイオナは困り果て、一番心を寄せている乳母に相談しようと、家出した。しかし、大富豪ウルフ・レントン卿の家で働くことになっていた乳母は翌日、急死してしまう。
「テキーラを5杯!」セレナはバーテンが驚くのもかまわず告げた。なにしろ、フットボール好きの兄の趣味が高じてリーグ最下位のチームを買うはめになったのだ。セレナは酔っ払いたい気分だった。すると、隣に座っている男が声をかけてきた。「ぼくをクォーターバックにしてくれないか」セレナは驚いて男を見つめた。
ハイウエーで事故にあったキルシーはグレッグと名乗る男に助けられた。キルシーは、彼の親切に心を許しふたりはたちまち意気投合した。だが、グレッグは実は麻薬取締官。キルシーに近づいたのにはある目的が隠されていた。
アサストン公爵は、結婚相手として女たちの憧れの的だった。モナコ滞在中女たちの執拗な求婚についに嫌気がさし、ひとり、アルジェに住む親友ニコライをたずねる。公爵は、ニコライ夫婦の愛に満ちた生活をまのあたりにし真実の愛を羨ましく思う。ある日、気晴らしに行った奴隷市場で競売にかけられていたイギリス娘セリナに出会う。
メアリーは、州立大学の図書館に勤めるため故郷ルイジアナに帰ってきた。出迎えたのは、母と祖母、そして幼なじみのキップだった。メアリーにとって、キップは兄のような存在だった。そう、7年前のある夜、抱きしめられるまでは…。
ソシアルワーカーのシンディは目の不自由な人が信号を渡るのを助けようと手を差し伸べた。ところが、彼はシカゴ市警の刑事でサングラスをかけて立っていたのは仕事のためだった。ああ、こんなセクシーな人が刑事なんて!瞳を輝かせる男には心ひかれたがシンディには、人に言いたくない過去があった。
ダービーの優勝をめぐるブランスカム伯爵の陰謀-。それを知ったアルチェスター侯爵は、復讐を決意する。名もなく、貧しい娘をにせの貴婦人に仕立てあげ財産目あての結婚をもくろむ伯爵に押しつけよう。侯爵は復讐を胸に孤児院を訪れる。そこには、骨と皮ばかりにやせた娘キストナがいた。
深夜、部屋に忍び込んでくる男の影にサラは身を硬くした。ここはニューヨーク-。どんなことが起こってもおかしくない街。でも、引っ越し早々に、いったい何者が?しかし、じっとしているわけにはいかない。サラはテニスラケットを手にすると侵入者に向かって思い切り振り下ろした。
コロラド州デンバー。ダンは、亡き伯父であり、共同経営者だったチャーリーの屋敷の扉を開けた。チャーリーの遺言によって年若い未亡人コリーンに遺された会社の株を譲ってもらうためだった。いったい伯父はなぜあんな遺言を残したのだろう。このままでは、社の実質上の経営権は彼女に奪われてしまう。
25年前-。ソーマック公爵と婚約していたカニーダの母は、イギリスの伯爵家の次男ジェラルドと出会い、結婚式の前夜に駈け落ちをした。以来、二人はソーマック公爵から様々ないやがらせを受けながらも、イギリスで暮らし、不遇のうちに死んだ。公爵に憎しみを抱いて育ったカニーダは、先代の公爵に代わって息子の現公爵に復讐するためロワール河畔へと向かう。サーカス芸人になりすまし、愛馬にまたがって華々しく公爵の前に登場した。
警官のキャサリンは、ブロンドの長い髪を揺らし、挑発的なミニスカートで、夜の街に立っていた。売春婦を装った、おとり捜査の最中だった。そこを、ひとりの男が通りかかり、声をかけてきた。たくましい体つきに、男らしい態度。こんな素敵な人なら、女性はほうっておかない。それなのに、なぜ彼は…。キャサリンは、不思議に思いながらも、セクシーな会話を仕向け彼を現行犯で逮捕しようとした。
独立記念日の夜の仮装パーティ。オリビアの前に一台のポルシェが止まった。運転席から出てきたのはポール・リヴィアに扮した男。彼は、いきなりオリビアの腕をつかみ、一緒に来てくれという。なんでも、“借り物競争”をしている最中でベッツィ・ロスに扮した女性を捜しているらしい。オリビアは、とまどいながらも、強引にゲームに、駆り出された。
第4代オッターバーン公爵は、バッキンガムシャーにある城と領地を継承するため、東洋より帰国した。しかし、父の浪費によってオッターバーン家は破綻し、巨額の負債を負うことになった。途方に暮れた公爵に従姉のレディ・エディスが打開策を提案する。ヨーロッパの貴族の称号を手に入れようと野心を抱くアメリカ富豪の令嬢との結婚話だった。
深夜2時。ラジオから流れるDJの甘い声とショパンの調べ。そう、このDJ、ジョナサン・ウッズこそが私が今必要としている人だわ。クラシック専門のラジオ局WQPBから聴取率アップを依頼されていたキャシーは、ゆっくりとうなずいた。早速彼に会って、局のイメージアップに協力してくれるよう要請しなければ…。キャシーは善は急げとばかりにオンエア中のスタジオにかけつけ、そのドアをそっと開けた。
ジョージア州アトランタ。1年前に夫をなくしたジェニーヴァは、刺繍を教えたりしながら幼い娘とともに静かに暮らしている。こうして穏やかな日々を送れるのも、亡夫の弟ローディの存在があればこそ。彼は、ジェニーヴァのことをなにくれとなく気にかけてくれるのだ。しかし、ローディの瞳に燃える炎をみとめるたびにジェニーヴァの心はかき乱されるのだった。
「ソエルディン候爵のもとに嫁ぐのだ」父、マドレスコート公爵の言葉に、レディ・ロレッタは当惑した。夫については、以前から夢に描いた理想像があった。それが、一度も会ったことのないフランス人の男性と結婚するなんて…。思い悩んだロレッタは身分を偽ってフランスへ渡り当の男性の人柄を見極めようと決意した。
タレント・エージェントのローリーは、こともあろうに、テニスコートの男子用更衣室のロッカーに身を潜めていた。マスコミ嫌いで知られる若手No.1プレーヤー、スティーブにCM出演を承知させるためだった。やがて、スティーブの声が聞こえドアの閉まる音がした。そっとロッカーの扉を開けてみると…、日に焼けて引き締まったスティーブの背中が見えた。
マサチューセッツ州ケープ・コッド。リビーは、夫の死後、海辺の小さなホテルを経営していた。ある日、雑誌の編集をしている友人の取材を受けるため、ホテルの整備をしなければならないことになった。そのための人手をどうしようか…。ため息をつくリビーの背後から、男の声がした。ふり向くと、たくましい肢体の男が仕事を求めて、立っていた。彼はこの一年、全国を放浪していたという。彼のグレーの瞳は、冬の嵐のように悲しげだった。