出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
“眠れる美女”との結婚が許される条件はー真実の愛。時は1852年。イングランドの北の果て、ノーサンバーランドに、美貌と気品と富を兼ねそなえた“眠れる美女”が隠れ住むという。ロンドンで放蕩三昧に明け暮れる伊達男アダムは興味を持ち、その娘レディ・ヘレナ・ラスフォードに求婚しようと思い立った。ところが行ってみると、ラスフォード邸は暗く荒れ果てた屋敷で、当の“眠れる美女”はやせたみすぼらしい娘だった。はじめは使用人と見間違えたが、よく見ると美しく不思議な魅力がある。求婚は彼女の父に受け入れられたが、結婚に条件がつけられたー娘を放っておかず、やさしく接し、子を作るべく夫婦の契りを結ぶこと。アダムは確信が持てぬまま、気づけば答えていた。「約束します」
恋の仕返しを心に決めたプレイボーイが、“にせ妊婦”を相手に本領を発揮しー。まだ17歳の姪が年上の男性に弄ばれていると聞いたチェルシーは、姪をプレイボーイから救うため、一計を案じる。チェルシーが世慣れた妖婦を装って近づくことで、相手の大富豪スレードの気をそらし、姪を引き離すのだ。苦い初恋から男性を避けてきたわたしに、そんなことができるかしら?不安をよそに、チェルシーの演技が功を奏していい雰囲気になった直後、彼女はスレードの欲望の手をかわしてその場から姿を消した。ところが後日、思いもよらない場所で再会してしまった!しかも、スレードはチェルシーを悪女と思い込んだままで、“あのときの借りは返してもらう”とばかりに彼女に迫り…。
大学卒業後、天涯孤独のロージーは親戚夫妻の家に身を寄せていたが、夫を略奪しようとしていると周囲に疑われ、思わず家を飛び出す。見知らぬ土地で、働き口もない。ロージーはそんな不安から、偶然出会った目尻の笑い皺の魅力的なカラムにすべてを打ち明けた。すると彼はロージーに秘書の仕事を与えたうえに、驚くべき提案をする。「僕が恋人のふりをして、君にかけられた疑いを晴らそう」しかも、信憑性を持たせるため、彼の自宅で同棲をしてはどうか、と。カラムはどんな女性にも落とすことができないと言われている男性だ。その彼のそばに、昼は秘書として、夜は恋人として寄り添うなんて、男性恐怖症でキスの経験すらない私に、できるのかしら…?
ギリシアを離れて以来、サマーは胸に痛みをかかえていた。実父に会って失望したせいだと思いこみたいけれど、本当は…嘘だ。大富豪セロンは私に近づいてきて親切にもギリシアを案内し、楽しい食事に誘い、ベッドですばらしい時間を過ごさせてくれた。でも翌朝になると私を金めあてとののしり、蔑みの視線で追い払った。なのになぜ突然、イギリスまで訪ねてきたのだろう?それでもセロンに唇を奪われると、サマーは二人の未来に希望を抱いた。彼がサマーを強く抱きしめた次の瞬間、はっとして身を離すまでは。彼女のおなかははっきりとふくらんでいた。その大きさはちょうど…。冷酷な声が響き、サマーの希望は砕かれた。「妊娠しているんだな?」
視力を失いつつある幼い娘の手術費用を貯めるため、ジーナは3つの仕事を掛け持ちする過酷な日々を送っていた。そんなある日、昼の事務仕事のオフィスに、一人の男性が現れたー忘れたくても忘れられない、リアム・シャノン!亡き夫の友人でありながら、結婚式の日に私を誘惑した男。私は不埒なキスをされて驚き、参列客の前で彼を平手打ちしたのだった。あれから6年のあいだ音信不通だったのに、なぜ今になって…?2年前に夫が事故死したことをジーナが伝えると、リアムは一瞬ひるんだのち、昔と変らわぬ傲慢さで残酷にも言い放った。「彼が亡くなったのなら、僕を止めるものは何もない」
幼いとき両親が事故死し、トリクシーは伯父夫妻に引き取られた。だが愛情は美しいいとこのみに注がれ、トリクシーはまるで使用人扱い。23歳になった今は家を出て、看護師見習いとして寮暮らしをしている。ある日、病棟で転びそうになり、憧れのクレイン教授に抱きとめられた。思わず胸を高鳴らせたが、いとこの誕生パーティで偶然会った教授は、トリクシーのことなどまったく憶えていない様子だった。当然よね、わたしは彼を遠くからこっそり見つめていただけなんだから。それに、クレイン教授はどうやらいとこを気に入ったようだわ…。意気消沈するトリクシーだったが、後日、教授から食事に誘われ、予想だにせぬ台詞を聞く!「きみは妻にふさわしい女性だと思う」
レインは亡き親友とした約束で、診療所の看護助手として働き始めた。目的は医師のコールに「あなたには8カ月の娘がいる」と伝えること。彼は自分に子供がいると知らない。赤ん坊の母親がこの世にいないのも。レインは親友の名前すら聞いていないコールを許せなかった。しかし医師としてすばらしいうえ、男性としての魅力にもあふれる彼に知らず知らずのうちに惹かれ、夢中になってしまう。コールに娘の存在を明かしたとき、レインはある過ちに気づいた。彼が赤ん坊を引き取りたがったら、わたしはまた一人ぼっちになる。でも、コールが言う「ぼくたち」にわたしの入れる隙間はあるの?どんなに愛情深く育てていても、しょせんは母親の代用品なのに…。
派遣社員のダーシーはある日、書類の配達を頼まれてホテルへ向かった。だが指定された部屋にいたのは不穏な表情をした屈強な男2人で、中に引きずりこまれた彼女は、恐怖のあまり気を失ってしまう。次に目覚めたとき、ダーシーはネーヴという名の見知らぬ大富豪が住む豪邸に連れてこられていた。先ほどの男たちは彼の用心棒だった。ダーシーをなぜか脅迫犯と誤解したネーヴは彼女を囚われの身にしたのだ。一瞬だけ情熱的なキスをされたとき以外、冷徹な態度の彼に恐怖を覚え、彼女は隙をついてどうにかこうにか自宅へ逃げ帰った。その翌週、新しい派遣先で念願の秘書として働くことが決まり、喜んだのもつかの間、ダーシーは社長の顔を見て驚愕するーネーヴ!
伯爵家のパーティに招かれたトゥルーディは、国で最も人気の独身貴族バスティアンも滞在中と知り、心を弾ませた。だが、彼に途方もない賭けを持ちかけられ、赤面するー彼は心に愛がなくても、ベッドでの歓びは与えられることを証明してみせるというのだ!-『罪深き賭け』社交界に復帰した公爵未亡人ソフィア。自宅で開いた舞踏会に現れた、放蕩伯爵として悪名高いダンテの姿を見て、彼女の心はかき乱された。10年前、未婚のわたしにつきまとい、あろうことか唇まで奪った不埓な彼が、なぜここに?招待なんてしていないのに!-『放蕩伯爵と白い真珠』巨万の富を誇るルーファスは数週間前に公爵位を継いだばかり。領地の管理人が夜逃げしたという知らせを受けて現地に向かったところ、森の池のほとりで若く美しい娘と出会い、思わず口づけをしてしまう。相手が教区牧師の品行方正な妹アンナだとは知らずに。-『奔放な公爵の改心』公爵マーカスは親友の妹ジュリアナの言葉に耳を疑った。訳あって、彼に愛の手ほどきをしてほしいというのだ。マーカスは堕天使のように美しい顔に悪魔の笑みを浮かべた。4年前に伝えるはずだったこの想いを今、彼女にわからせるのだー身も心も虜にして。-『高潔な公爵の魔性』
フェイスは恋人クインと医学を志し、卒業後は結婚しようと誓っていた。だが大学進学を前に、彼女は理由も告げず、突然彼の前から姿を消した。あれから17年。亡き母の葬儀で帰郷したフェイスは、医師となって母の最期を看取ってくれたクインと再会を果たす。「フェイス?」以前より深みが増した彼の声を聞いた瞬間、なつかしさと、やるせない悲しみの涙が、彼女の頬を伝った。ああ、彼への想いは、あの頃と少しも変わっていない。でも…。一方、クインは彼女に寄り添っている若者に敵意を向けた。不穏な空気を察したフェイスは、いとまを告げてその場を後にしたー傍らに立つ若者の、17年前のクインとよく似た声に促されながら。
王女アマリアの人生は、25歳で激変した。出生時に取り違えられ、実は農家の娘だったと判明したのだ。公私にわたる重圧から解放されて宮殿をあとにした彼女は、5年前、スペイン富豪ホアキンと出会ったホテルへ向かった。つらいとき、何度あの夏の甘美な思い出に救われたことか。だが出迎た彼は、まるで罰するように乱暴なキスをすると、冷たい声で告げた。「あの残酷な仕打ちを償ってもらおう」王女ゆえに別れを選ぶしかなかった私を、今も憎んでいるの?思わず身震いしたアマリアを、ホアキンの氷の視線が貫いた。
失職してロンドンを離れ、元里親の家に身を寄せていたリアは、ある日、臨時の家政婦としてイタリア富豪の留守宅に赴いた。汗だくで掃除を終えたあと、ついに我慢できなくなり、生まれたままの姿で室内プールに飛びこんだ。そこへ男性が現れ、リアは凍りついた。ああ大変!庭師かしら?だが、秘書だという彼の美貌に惹かれ、たちまち虜になる。一夜限りの恋と知りつつ純潔を捧げた翌朝、彼が屋敷の主人ジオだと知って愕然とし、リアは逃げ帰った。3カ月後、リアは彼のオフィスを訪ねたー身重の体で。
オリヴィアの婚約者コンスタンティンの亡父の追悼会に、彼の兄で15年前に死んだはずのヴァレンティンが突然現れた。会場が大混乱に陥るなか、オリヴィアは連れ去られた。かつてヴァレンティンと幼い恋を育んだ島へ。彼が生きていた!だが喜びはなく、あるのは困惑だけだった。「僕は君を弟から取り返し、必ず君と結婚する」なぜ?あのとき、私の前から消えてしまったのに?かつて愛した人の宣言に、オリヴィアは“ノー”と答えた。ヴァレンティンの彫刻のような冷たい美貌を見上げるとー?!
ジェナは人工授精で、亡くなった夫の子どもを身ごもった。ところがその半年後、病院から驚くべき事実を知らされる。担当者のミスで、ほかの男性の精子と取り違えたというのだ。しかもその男性は有名な大富豪、ブレイク・ウィンストンだった。彼は跡継ぎとなる赤ん坊が生まれたら当然引き取ると主張したが、ジェナは日に日に育っていく小さな命を手放す気はなかった。亡夫の子ではないけれど、愛しい我が子に違いはないわ。そんなジェナをブレイクは豪奢な屋敷へ招待すると、驚くべき提案を切りだしたー結婚して一緒に育てないか、と。愛はなくても、この子を守れるなら…。ジェナは心を決めた。
国際的大企業に入社したソフィーは、その熱心な仕事ぶりで一目置かれる存在となった。でも最高財務責任者であるセクシーな上司、ヴァンの前ではそうはいかない。ある日、ヴァンの出張に同行したソフィーは、滞在先のホテルでハンサムな彼の黒い瞳に宿る、欲望の色に気づく。初めてヴァンが見せる男の顔。だめよ、彼に隙を見せては。ソフィーは二つの秘密を抱えていた。この会社に来た目的。そしてもう一つは…彼への秘やかな恋心。なのにあろうことか彼と結ばれてしまうなんて、予定外だわ!彼女は狼狽した。ヴァンが企業スパイと疑って近づいてきたとも知らず。
ロンドンで社交界デビューを果たした直後に父が破産し、グレーフォード子爵の館で家政婦として働きはじめたエマ。若すぎる彼女は従僕やメイドに見下され、忍耐の日々が続いた。そんなある日、見目麗しい新子爵ジェームズが帰還するー運悪く、悪臭を放つ漬物液で玄関ホールが水浸しになっているところへ。その後も失敗続きだったが解雇は免れ、エマは胸を撫でおろした。ところが翌日の真夜中、ジェームズが傷を負って帰宅する。とっさに私室で手当てするうち、思いがけず親密な空気が漂って…。そのときのエマは知るようしもなかった。自分が身のほど知らずの恋に落ちてしまうことを。
危ない!村娘のソフィーは馬車に轢かれそうな男の子をかばって、馬とぶつかった勢いで溝に転げ落ち、泥まみれになってしまった。どうにか立ち上がると、馬車から降りてきた男性を鋭くにらんだ。社交界の寵児ヘルフォード子爵は、あわや轢きかけた村娘に駆け寄った。娘はみすぼらしくかなり不格好な灰色のドレスを着ている。ところがどうだ。美しい瞳、ほんのり赤く染まった頬が、至極魅力的だ!愛や恋など決して信じないはずの子爵の心が、にわかにざわめいた。だがそれは、彼と婚約間近の伯爵令嬢が子爵邸に到着する直前のこと…。
亡き父の会社を引き継いだ一人娘のアンジェリカは、恋に奥手な28歳。仕事は順調に思えたが、そこには落とし穴があった。彼女が心を奪われ、愛してくれていると信じた相手が、じつは財産目当てで近づいてきたことがわかったのだ。傷ついた心を癒やそうとアンジェリカは海辺の町のコテージを訪れるが、とつぜん激しい胃の痛みに襲われ、意識を失って倒れてしまう。気づけば数日が過ぎていて…なんと、見知らぬ男性に看病されていた!彼の正体は、隣のコテージに滞在している会社社長のダニエル。男性経験のないアンジェリカは、無防備な状態で介抱され、体を見られたことがショックだった。と同時に、彼を強く意識し…。
ペトラがどこか陰のあるギリシアの青年リサンドロスと偶然出逢い、恋におちたのは、17歳のとき。初恋だった。短い時間だったが言葉を交わし、軽く口づけて別れただけなのに、彼との思い出はその後もペトラの心に深く刻まれ続けた。15年後、女優である母の結婚式に出席したペトラは、今や造船業界で世界のトップに昇りつめたリサンドロスと再会する。噂では、多くの女性と浮き名を流し、女性を使い捨てしていると聞く。少し怖いけれど、彼は大人になった私に気づいてくれるかしら?勇気を出して近づいていったペトラに、リサンドロスが告げた。「僕の目につかないところに消えてくれ」