出版社 : ベネッセコ-ポレ-ション
私は、何故あの男を殺さねばならなかったのか?そのことをいくら自問してみても何か核心にたどりつかない疲労が私をとらえる。「殺人の原因は自分の中にある」その言葉が、正当という旗をかざしながら、私を追ってくる…私はなんとかしてそこから逃げなければならない。断じて私の中には原因はない。たんに携帯電話の声が大きすぎたから、あの男は殺されたのだ。ここで描かれる殺人事件は、私たちが置かれている現実世界の悪夢そのものだ。
菊地昭夫は、自分の軽はずみな発言が招いた不本意な人事を機にある日突然会社をやめた。とくに考えがあったわけではない。するとそこに、お見合いをして断られたはずの女性から、自分の店を手伝ってほしいとの話がもちあがり、昭夫はアンティークショップの店員となる。その上、大恋愛の末に自分を捨てて他の男と結婚したはずの女性がマンションの隣に引っ越してきた。さらには携帯電話を拾ったことがきっかけとなり新しい恋がめばえそうな予感も…。人は人であるかぎり、いくつになっても恋をする…恋をすれば、傷つけられたり、傷ついたりすことも…それでもやっぱり人は誰かを好きにならずにはいられない-。不器用でユーモラス、ちょっぴり切ない究極の大人のラブストーリー。
私は少し苛立っていた。下宿先の大家の千田姉弟のところへ次々訪れる女の子たち、気がつくと庭に投げ入れられているゴミ、押しつけられた仕事、好きな相手の過去をなじってしまった自分…そしてある日千田家の「事件」に巻き込まれ、人のもつ奇妙な弱さと強さを見た私は、いつか切羽詰まった苛立ちを忘れていた。著者初の恋愛小説。
「わたしは信仰を失った」そう自戒したイエス13番目の使徒は傷心の旅に出、先輩使徒たちを歴訪する。そして最後に、アフリカのメロエで、アリマタヤのヨセフの元奴隷に出会い、そこで目撃した事実とは…。そして現代、シカゴ大学の教授オハンランと大学院生ルーシーは、いまだ解明されていない古代メロエ語で書かれた福音書を解読する手がかりを得るために、ヨーロッパ、中東、アフリカを旅する。伝承によれば、その最終章に書かれている事実は、カトリック、プロテスタントばかりでなくユダヤ教、イスラム教をも大恐慌に巻き込み、終末に結びつくという。そのため、この福音書を巡る各宗派の争奪戦が繰り広げられることになった。ヨーロッパ、中東、アフリカ、アメリカを舞台に古代と現代が織り成す壮大な長編ロマン。
外の世界では、誰もがおとなになる、恋をする、仕事をする。結婚し、親になる。ただ、変わらないものを透明なカプセルに閉じこめておきたかった…。共に過ごした4人の仲間の物語。
わたしは塔に閉じ込められていた。主婦という鎖を身にまとい、まるでグリム童話のラプンツェルのように…。汐美28歳。主婦歴6年、子なし、夫不在。この本の中にあなたはいますか。
3歳の幼女が殺された。その腹部には抽象的な顔が描かれ、世間は“悪魔教団”の仕業と決めつける。容疑者として逮捕されたのは、幼女の母の恋人。彼は、宇宙からの来訪者をかたく信じるグループの一員だった。幼児虐待調査官ボウ・ブラドリーは、予感めいた確信で真犯人が別にいることを悟るが、彼女の言葉に耳を傾ける者はいない。大人気シリーズ待望の第2弾。
大物実業家ダインの私邸で発見されたフランス国宝級の骨董品は盗品だった。元英国特殊空挺部隊(SAS)に所属していたジャコーに事件の穏便な解決が依頼された。事件そのものは単純に見えた。だが、ダインの周辺からきなくさいにおいがつきまとって離れない。彼はいったい何者なのか。そんなとき、ジャコーの愛車フェラーリが爆破された。次々と襲いかかる危機、そして殺人…。事件にからむ中国人秘密結社、国会議員までをも巻き込む事件の真相は。ヴェテラン、ケネス・ロイス会心のハードボイルド。
150年前のスイス。山奥の貧しい農家に生まれたジョルジョは、優しい家族や友達に囲まれ、元気一杯。ところが厳しい日照りの年、どこにもお金がなくなって、ジョルジョが人買いに売られることに…そして、その先にはもっとおそろしいことが待っていたのです。スイスで昔実際にあった少年たちの売買を題材に、愛と友情を描いた名作。
ミラノで貧しい煙突掃除夫として働くジョルジョ。秘密結社「黒い兄弟」の仲間に入り、強い友情で結ばれます。そんな時、「黒い兄弟」のリーダーで親友のアルフレドが病気に…「ジョルジョ、君に秘密を話すときがきた…」。辛い境遇にくじけず、勇気をもって生きるジョルジョの波瀾万丈の物語、感動の後編。
1917年初頭、第一次大戦の本舞台となっていたドイツ軍と連合軍が対峙する北フランスの小村。伯爵令嬢サンテンは、村に駐屯している英国空軍のマイケル・コートニ大尉と恋に落ちるが、二人の結婚式当日、マイケは凄絶な空中戦の末に非業の死を遂げた。サンテンは、マイケルの故郷アフリカを目指して船に乗るが、ドイツ軍Uボートに撃沈され、サメのいる荒海に投げ出される。果たしてサンテンの運命は-。
亡き婚約者マイケルの故郷アフリカを目指していた船が撃沈され、ナミビア海岸に漂着したサンテンは、生死の境をさまよっているところをブッシュマンの老夫婦に救われ、ともにカラハリ砂漠の秘境に向かう。サンテンは文明社会が忘れられず、秘境を脱出するが、猛獣に襲われ重傷を負う。一方、マイケルの父からサンテン救出を依頼されたゲリラ隊長ロータは、人間のものと思われる足跡を発見し-。