出版社 : 中央公論新社
英本土奪還に王手をかけた日英連合軍。だがヒトラー総統の死守命令を受けたドイツ軍は、ロンドン周辺地域を固め徹底抗戦の構えを崩さない。市街戦を避けたい英国政府は、兵糧攻めにして降伏に追い込むしかないと決断。周辺海域において、互いの援軍と補給を断たんとする激しい海空戦が繰り返されることに。ドイツ軍は次々と新兵器を繰り出し、これまで温存してきたドイツ大海艦隊をも出撃させた。必勝を期し、日英連合軍艦隊に最後の決戦を挑んだのである!
ヴァンツァーがヒーローとヒロインの両役をこなすという華麗なる舞台の次は、レティシアが難関の『かわいそうな孤児』を演じる番だ。しかし主役の少年のーセミナーリーダーのー気持ちが理解できないままなのである。そんな時、医学生として実習に送り出された病院で、レティは『昔の知り合いにそっくりな雰囲気』を持つ教授に出逢う。あの、秘められし暗殺者一族として活動していた頃の『知り合い』に…。芝居に面倒な先輩に疑惑の教授にと、あいかわらず忙しい面々の“普通でない”日々とは?
60戦以上無敗、まさに無敵の剣士。有馬喜兵衛、吉岡一門、宍戸某、そして佐々木小次郎。さらにはー。難敵との数々の死闘をくぐり抜けた武蔵は吐き捨てた。今日まで剣に生きてきて、兵法というほどのものではない。ただのチャンバラにすぎん…。東西の歴史に材を取り、『ナポレオン』で司馬遼太郎賞を受賞した名手の手で鮮やかに蘇る、数多の強敵との名勝負!「剣聖」とも称される達人が、戦いの果てに辿り着いた境地とは?
横須賀で行われた国際観艦式にて、朝倉はNCIS(海軍犯罪捜査局)のハインズから捜査協力の依頼を受ける。式に参加中の米空母でロシア諜報員を追っていた捜査官が殺されたのだ。急遽現場に赴いた朝倉だが、艦内では第二の殺人がー。朝倉たち「特別強行捜査局」は真実に辿り着けるのか。自衛隊出身の警察官、朝倉俊暉の闘いを描く「オッドアイ」第10弾!
昭和十三年、五月の台湾。作家・青山千鶴子は講演旅行に招かれ、台湾人通訳・王千鶴と出会う。現地の食文化や歴史に通じるのみならず、料理の腕まで天才的な千鶴と台湾縦貫鉄道に乗りこみ、つぎつぎ台湾の味に魅了されていく。ただ、いつまでも心の奥を見せない千鶴に、千鶴子の焦燥感は募り…国家の争い、女性への抑圧、植民地をめぐる立場の差。あらゆる壁に阻まれ、近づいては離れるふたりの旅の終点はー。
日本海軍遣欧艦隊は枢軸国艦隊との決戦に勝利し、地中海の制海権を握る。この事態に、イタリアでは政変が勃発。新政権は連合軍との休戦交渉に入り、ムッソリーニ派は親ドイツを標榜する政府の樹立という混乱状態に陥る。日英連合軍はアメリカから購入した最新鋭兵器を装備し、悲願の英本土奪還作戦を開始。ドイツも海軍に編入した英国製戦艦を出撃させる。かくして、英国艦艇同士が争う前代未聞の英本土奪還作戦が開始されたー。
粗大ゴミ処理券を貼られた連続殺人事件の被害者、犯人を追う警視庁豪腕刑事、浮上する出会い系アプリと「昭和殿堂会」の存在。失踪した友人を捜すためアプリに登録する刑事の娘。そして警察に送りつけられた女性の右乳房…。老害たちよ、僕は僕のやり方で殺したいんだ。行く場所がない者たちのデッドエンド・サスペンス。
古代史マニアの吉川英治文学新人賞候補作家がずっと解き明かしたかった“日本のルーツ”。アメリカの大学で「夢」を研究する29歳の学者・高宮アスカは、新聞社の古代史担当記者である58歳の叔父・周二と話すうち、「邪馬台国の謎」に興味を持つ。アスカは、夢や超常現象、地政学などの知識を駆使し、史学外からのアプローチで「魏志倭人伝」を読み解こうとするが…。若き奇才が明晰な頭脳でクールに解明する、日本史最大のミステリー!!
中国人民解放軍の東沙島奇襲上陸に端を発して台湾侵攻は、尖閣諸島を巡る攻防で日本を巻き込み、全滅した第1梯団、一度は台湾南部の占領に成功した第2梯団、そしてこの第3梯団の上陸作戦へと進んでいた。戦争はすでに三週間を過ぎ、解放軍は数百機の軍用機と搭乗員、そして陸兵三万以上を失っていたが、台湾の首都台北に着実に近づいていた。その間、大陸では、COVID-19を越える致死性の感染症が蔓延していたが、中国は、この戦争を止める気配は無かった。大いなる犠牲の果てに、台湾は平和を取り戻せるのか…痛哭のシリーズ最終巻!
2020年春、惣菜店に勤める花は、ニュース記事に黄美子の名前を見つける。60歳になった彼女は、若い女性の監禁・傷害の罪に問われていた。長らく忘却していた20年前の記憶ー黄美子と、少女たち2人と疑似家族のように暮らした日々。まっとうに稼ぐすべを持たない花たちは、必死に働くがその金は無情にも奪われ、よりリスキーな“シノギ”に手を出す。歪んだ共同生活は、ある女性の死をきっかけに瓦解へ向かい…。善と悪の境界に肉薄する、今世紀最大の問題作!
平安末期。十二歳の少年・駒王丸は、信濃国の武士・中原兼遠の養子として、自然の中でのびのびと育つ。兼遠の息子たちとも兄弟のように仲良く過ごすが、彼は実の父と母の名も、自分が何者なのかも、いまだ知らずにいた。ある日、駒王丸はささいなきっかけから、同じく信濃の武士の子と喧嘩になる。同等の家格であるにもかかわらず、後日、当主が謝罪に訪れ、深々と頭を下げて言った。「駒王丸殿はいずれ、信濃を束ねる御大将となられる御方。我ら信濃武士は、ゆくゆくは駒王丸殿の旗の下に集わねばならぬ」駒王丸、のちの木曾義仲の波瀾の生涯が始まろうとしていた。この男が幕府を開いていれば、殺戮の歴史はなかったかもしれない。日本史上最も熱き敗者の鮮烈なる三十一年。
夫は、私のこの秘密を想像だにしないだろう。ある翻訳家の告白的小説。1975年、ペンパルとして出会った主婦・怜子とイタリア人数学者・パオロ。魂の交流がやがて現実の交情に変じ、互いが79歳と87歳になるまでの濃密な日々を描く。
中国人民解放軍は、台湾海峡に一筋の人工雲を作りだした。線状降水帯に発達した特殊加工の雲は、日台両軍をいわば目隠し状態に陥れ、中国はその隙を突くように第3梯団を送り込む。第3梯団上陸の可能性があるのは台湾北西部、桃園か新竹のいずれかーその報に接した“サイレント・コア”率いる土門康平陸将補は、新竹市郊外で交戦中の待田小隊と、台北に詰めていた第三即応機動連隊を向かわせ、自らも上陸候補地点へと急行する。人工雲と第3梯団によって、未曽有の混乱に見舞われる台湾戦線。いよいよシリーズ第九巻、陸海空のすべてで繰り広げられる激戦を見届けよ!
ドイツ・イタリア枢軸軍を打ち破り、紅海からスエズへと攻め上る日英連合軍。次の目標は地中海の制圧とイタリアの打倒である。まずはシチリア島を占領すべく日英の上陸船団が進出するが、枢軸軍がそれを座視するはずがなかった。イタリア海軍に加え、ドイツ海軍も強力な艦隊を差し向けてきたのだ。対する連合艦隊もついに切り札である戦艦大和・武蔵が地中海に進出した。果たして、地中海の覇権を握るものとはー!?
趣味もなく学校でも進路に迷っていた綾。でも「ひし形屋」で、より子先生に南部菱刺しを教わって、世界が一変した!?-「魔女の菱刺し工房」。母が認知症となり、接し方に悩む香織。より子先生と一緒に無心で刺している中、あるアイディアを思いつく。-「ひょうたん」。長らく引き籠もっていたより子の孫・亮平。より子は静かに亮平を見守っていたが…。-「真麻の聴色」。青森の南部菱刺しをテーマに描く、手芸×再生の四篇。