出版社 : 中央公論新社
五歳で母を、十歳で父を失い、否応なく戦国の荒波に投げ出された幼き日々、妻と二人三脚で歩む壮年期、大合戦を勝ち抜き、覇者となった晩年…梟雄、策謀家と呼ばれる元就を全く新しい視点で捉えなおした意欲作。
イギリス文壇の過激な挑発者が放つ抱腹絶倒の自伝的処女長編。フリーセックス、パンク、ドラッグの嵐吹き荒れる70年代。17歳のカリムの運命は、インド人の父親が突然“教祖”になって大波瀾!70年代ロンドンを舞台に描く抱腹絶倒の青春小説。
三河一向一揆のさなか、非業に命を落とした旗本-その息子たちは、すべてを失い、故郷を逐われた。二十年後、兄は隠然たる力を持つ山伏、弟は世の蔑みをうけるはぐれ山賊となっていた。汚れた日々の彼方に武士の世界を夢見て-そんな彼らの前に、旧主家康が現われる。本能寺の変によって絶体絶命となった姿で…。伊賀越え途上の家康を狙う戦国の孤児たち、行く手に待ち受けるは栄光か汚辱か…。
三重の山林王の一人娘として何不自由なく育った葵は、従兄と結ばれ、二児にも恵まれた。しかし、その幸福な結婚生活も束の間、夫の急逝、両親の相つぐ死、二児の死と次々に不幸に襲われる。失意の底にあった葵が見出したものは、日本の香道の復興という大事業への献身であった…。度重なる不幸から立ち直り香道の復興に一身を献げた女の生涯。
大化の改新のあと政権を保持する兄天智天皇の都で、次第に疎外される皇太弟大海人皇子。悲運のなかで大海人の胸にたぎる想いは何か。額田王との灼熱の恋、鬱勃たる野心。古代日本を震撼させた未曾有の大乱の全貌を雄渾な筆致で活写する小説壬申の乱。吉川英治文学賞受賞作。
鉄剣を磨き、馬を養って時に耐える大海人皇子はついに立った。東国から怒涛のような大軍が原野を埋めて近江の都に迫り、各地で朝廷軍との戦いがはじまる。激動の大乱のなかの息詰まる人間ドラマの数々。歴史学をふまえて錯綜する時代の動きをダイナミックにとらえた長篇。
青春ミステリーの金字塔。半年前まで付き合っていた、奔放で少し危なっかしい彼女が自殺して、ぼくの退屈な夏休みは、あつく…なる。千葉・御宿の海でぼくのもと恋人が自殺した。気まぐれで、なにかと周りの人間を巻き込むヤツだったけど、決して自殺するタイプじゃなかった。葬式の日、ぼくと死んだ彼女は同じ幼稚園に通っていたことを知った。そんなこと、彼女は一言もいわなかった…。甘酸っぱいなにかに揺さぶられ、ぼくは“自殺”の真相を探り始める。
ようこそ、フィッツジェラルドの世界へ。「特上クラス」の名作から「シングル盤B面」的佳品まで、村上春樹が愛してやまない作品群から選んだ5短編を訳し、ゆかりの地アッシュヴィルを訪ねて記したエッセイ「スコット・フィッツジェラルドの幻影」を付す。
本書は「現代の『紅楼夢』」「記念碑」「奇書」「後世に伝わる書」と賛美の反面、「モラル不在の作品」「反共」「猥本」「作者を法により罰せよ」と罵詈雑言を浴びた。そこに描かれているのは二十世紀末の中国の現実であり、中国人の生存情況や精神位相、および生命意識などである。
江戸期には珍しい女性エッセイスト、只野真葛を描いた『葛の葉抄』、『炎環』以来ひさびさの連作小説『うたかたの』を収録。年譜付。古代から江戸まど、小説で辿る歴史の旅。