出版社 : 光文社
精神分析医・氷室想介のもとに、奇妙な不安を訴える女性が訪れた。自分には不釣り合いなほどハンサムな男から求愛され、幸せすぎて恐ろしいというのだ。彼女が男から見せられた不思議なトランプ魔術。その裏に秘められた身の毛もよだつ残虐趣味を氷室は見抜いた(『マグネット・ラヴ』)。-魔女が操る水晶玉を通して覗く、人間世界の歪んだ恐怖を描く吉村達也推理短編集。
等身大人形師の義男は、兄嫁の春子に密かな想いを寄せている。彼の気持ちに気付いた妻の咲子は、夫が制作中のコンクール出展用の等身大人形が春子に思え、胸締め付ける嫉妬心に抗うことができず、それを壊して捨ててしまった。そのときから春子の身に異変が起こる…。幻想と現実を交差させた、震えあがるようなスリラーの世界。門田泰明の恐ろしい筆が冴える。
元総会屋の武藤修治は、昔面倒を見てやったことのある台湾人の曹東雲と組んで、ある男を誘拐した。報酬五千万円という割りのいい仕事だった。ところがせっかく手に入れた獲物は、正体不明の男たちに横取りされた。武藤と曹は、曹の新宿の組織を使って、男たちの素性を洗う。しかし相手はなかなか尻尾を出さず、逆に凄まじい反撃を食らう。さらに、亡き妻の面影に似た武藤の恋人・亮子も、敵の組織に拉致されてしまった。痛めつけ痛めつけられ、殺し殺され、殺戮者の街・新宿に、忍び足の男たちが蠢く。拷問、裏切り、一筋の愛の旋律。
脳死臨調のリーダー、帝都大解剖学教室の吉井教授が刺殺された。吉井と対立し、研究室を離れルポライターとなった相馬に刺殺事件の取材依頼が舞い込む。相馬は、かつての同僚・九条までが吉井の元を離れたことを知り、九条を探し、新宿の浮浪者街へ。そこで見たものは“エビス”と呼ばれる九条、そして彼を慕うトウトという不思議な少女であった。さらに九条が研究室時代に行なった実験の謎、吉井が死に際にとった不可解な行動の謎も浮上、事件は脳医学の闇の世界へと相馬を導く!!先端医学が持つ禁断の領域とは!?鮎川哲也賞受賞の気鋭が放つ、堂々の医学ハード・ミステリー。
中堅自動車会社の品質調査員・森崎邦男の目前で、婚約者・真由美の車が駐車場から転落、彼女と胎児は惨死。直後、傷心の森崎に友人の永沢が示した、駆動系の電子制御ユニット不具合のデータ。森崎はユニット製作会社のアブテックへ飛ぶ。その矢先、同社の瀬田課長が阿武隈峠から車ごと転落死。部長の真島も東北道で事故死する。森崎はアブテックの戸辺栞と共同調査に乗り出した。栞のパソコンに現われた奇怪な文章。十九歳の女性エンジニア・鞠子の奇妙な過去。しだいに明かされる一連の事故の背景。だがそのとき、栞の身には危機が迫っていた。
大学教授・芹沢がL.A.の高級住宅地・マリブの自宅で射殺された!第一発見者はロングビーチ郊外で調査事務所を開く日系人・杉岡。だが、彼はなぜか警察に連絡せずその場を去った。杉岡は前夜、元大リーガーが銃撃された現場に遭遇し、芹沢への封筒を託されていたのだ。その封筒の中に隠されていた悪夢の結晶とは!?地元警察からかけられた嫌疑を晴らすため、杉岡は元大リーガーと芹沢の周辺を洗う。そこに浮かび上がる、捜索を依頼されていたある日本人の影。
栗村夏樹は都内の短大生で剣道三段の腕前。ひょんなことから横浜の探偵事務所でアルバイトをするはめになった夏樹は、デパート社長の令嬢・久住あずさの尾行を命じられた。直後、その少女の危機を救った夏樹は、久住家にまつわる不可解な事件の渦の中に巻き込まれ…。あずさの父は五年前に「光る地獄蝶を見た」という奇妙な遺書を残し、自殺を遂げていたのだ。謎を探ろうとする夏樹の前に、新たな連続殺人事件が立ちはだかる。二転三転の末、最後に明らかにされる衝撃的な真相とは?“夏樹”シリーズ第二弾。
天保十年。尾張藩江戸下屋敷で催された正月の祝いで余興を演じた角兵衛獅子、みつと文吉。二人は屋敷の庭に、一つの“宿場町”が造られているのを見た。十年後、質屋に奉公する文吉は、主人の供で行った小田原宿で、たかと名を改めたみつに再会する。二人はそこで、江戸で見た“宿場町”とそっくりな“虎屋”を発見する。たかの正体は“悪女”。箱根山中に埋められているという百万両の黄金を狙っていて、その鍵が“虎屋”にあるという…。
北能登・恋路海岸で、1発の銃弾が若い女性の肩をかすめた。恋人を自動車事故で失い、傷心の旅に出た松田由紀子を狙撃したのは誰か?その翌日、由紀子の泊まった部屋に男の死体、横には血まれのナイフを握った由紀子が…。十津川警部、亀井刑事の指揮のもとに、真犯人を追う若き日下刑事の執念を旅情豊かに描く。
念法の達人工藤明彦は、財閥の一人娘麻耶に取り憑いた妖魔の退治をひきうける。だが、妖魔の背後に工藤の念法をも凌ぐ妖力を持つ怨霊がいた。必死で謎の怨霊の正体を探る工藤。しかし怨霊は、麻耶の親友たちを操り、そのセックス相手に次々と妖魔を憑かせていく。未知の敵に挑む工藤の凄絶な活躍を描く、瞠目の新境地。