出版社 : 光文社
社寺の境内で、大道芸を演じて生計を立てている塚野金三郎。実は、剣にかけては、なかなかの腕利き。ある日彼は、奥州某藩の侍に、藩士として他藩との試合に出てくれと頼まれる。勝てば一両二分、負けても二分はくれると言う。ところが、相手方の藩士からも、負けてくれれば二両やるが、と誘われて…。さて、金三郎が獲得した礼金は?味わい豊かな傑作時代小説集。
『白骨鬼』と題する江戸川乱歩の未発表小説が発見された。南紀・白浜で奇行を重ねていた学生・塚本直が異様な首吊り自殺を遂げた。だが、本当に自殺なのか。真相を追い、乱歩と詩人・萩原朔太郎が推理を展開するー。雑誌に連載され、好評を博す『白骨鬼』。しかし、そこには恐るべきカラクリが。本格推理の傑作と絶讃された奇想の長編、待望の文庫化。
ブローニュの森に住むユダヤ人資産家、フランソワ・ダッソーの屋敷で、滞在客が死体で発見された。現場の三階東塔広間に通ずる扉は固く閉ざされ、鍵はダッソーの書斎の金庫に!さらに一階と二階にはそれぞれ監視の目が…。なんと、奇怪な「三重の密室」が構成されていたのだ!さらに被害者にも隠された謎が…。唯一の手掛かりは、東塔内に残されたナチ親衛隊の折れた短剣のみ…!?現象学を用いて、数々の難事件を解決してきた日本人青年・矢吹駆と、パリ警視庁モガール警視の娘・ナディアが、「三重密室」のトリックと事件の真相解明に挑む!二千数百枚の本格密室推理超大作。
ダッソー邸「三重密室」事件の被害者はナチ戦犯か?容疑がかかる屋敷の主と三人のユダヤ人滞在客は、コフカ絶滅収容所の生存者とその子供と判明。それをもとに事件を追う矢吹駆とナディアは、三十年前のコフカの大量脱走劇の裏で起きた、もう一つの「三重密室」殺人の存在を掴んだ。さらに、二人の前には新たな死者が出現し…。三十年の刻を隔て現われた「三重密室」の謎?二つの密室殺人に底流するドイツ人哲学者・ハルバッハの「死の哲学」の影…。二十世紀の思想史を根底から覆す衝撃の事実とは!ミステリーを世界史と哲学の領域にまで踏み込ませた驚愕の本格傑作推理。
一匹狼の処刑人・北条貴は、国際刑事警察機構に協力させられることになった。天性の殺し屋であり、S機関のナンバーワン・スイーパー氷見子が、機関の幹部を殺してアメリカに逃亡したのだ。彼女は、アメリカである秘密結社に荷担し、想像を絶する悪夢の計画を進めていた。かつて貴を養成したS機関は、UNPODと手を結んだ!人気シリーズ飛躍の第十弾。
横浜外人墓地で、白昼、銀座のクラブ『久利』のママが殺された。どうやら彼女は、大がかりな贈収賄事件に関わっていたらしい。元警視で、今は気ままなルポライターの雨宮退介が、調査を開始した。とたんに、秘密を握る証人が消されてしまう。野心と欲望がもつれあう中で、退介は殺し屋たちの襲撃にも怯まず、事件の謎に迫る。
無頼学生を自認する加賀田省平は、大学の建物でこの世のものとは思えない光景を目にした。その衝撃が癒えぬ間に、恋人の玲子が怪異な現象に襲われる。叔父から渡された古文書を繙く省平は、彼の先祖が起こした身の毛がよだつような、血の事件を知る。その先祖の血を自身の体内にも感じた。やがて、想像を絶する展開へ…!?人間の恐ろしい「業」を描く。
警視庁捜査一課の女性警部・大江沙織は、新進刑事・吉村健治とコンビを組む。一月中旬、吉村は、恋人の美樹とその友人・燿子夫婦と奥志賀にスキーに行った。その夜、燿子がナイトスキーから帰らず、翌朝、凍死体で発見された。死体の胸には、至福千年(ミレニアム)という文字が刻まれた氷の十字架が…。さらに一月下旬には、築地の冷凍倉庫から、女性二人の凍死体が、同じ氷の十字架を抱いて、発見された。事件を追う大江と吉村の前に立ちはだかる邪悪な集団。一見、幸福な家族の裏側に潜む戦慄の真実。悲劇の恋愛の果てに狂った男の驚愕の犯罪とは。寡作の著者が、沈黙を破って書き下ろしたサイコ・ミステリー傑作。
日美子と夫の二階堂が招待を受けた広田教授宅で、夜中に三女の美夏が誘拐された。犯人は三億円を要求。日美子は警察に連絡することを勧めるが、奇妙なことに、誰も届け出ようとしない。さらに長女の朱雀までが行方知れずとなり、やがて、二人は密室内で惨殺死体となって発見された。奈良を舞台にくり広げられる猟奇的犯罪に日美子が挑む、長編推理力作。
慶長5年(1600年)9月、伊達政宗は関ヶ原に向かう徳川家康に呼応し、白石にあって上杉景勝と対峙していた。上杉勢の背後からの追撃を政宗が阻止することは、関ヶ原の決戦勝利の絶対条件。天下の行方を定める鍵を政宗が握ったそのとき、政宗は景勝と密かに和睦、矛先を江戸城攻撃へと翻した。政宗離反を知った家康は、急遽、軍を江戸守備の要・川越城にとって返すが…。江戸攪乱に動く伊達藩の陰の軍団・黒脛巾組の暗躍。家康必死の巻き返し策とは…。歴史の大転換点を大胆な発想で捉えなおす、著者会心の書下ろし歴史傑作シリーズ第一弾。
栗村夏樹は都内の短大生で剣道三段の腕前。自宅近くの警察署の捜査一係・牧田刑事から電話がかかり、夏樹の友人・桂木亜沙美が誘拐され、身代金一億円を要求する脅迫状が、ファックスで届いたという…。’94年『化身』で第五回鮎川哲也賞を受賞したトリック・メーカーの著者が構想二年、満を持して放つトリック&ドンデン返し。「海に沈む夕陽、“殺人者”が若い女性を断崖絶壁に追いつめ、最後の電話をかけさせる」-プロローグに込められた三つの謎とは。読者はこの仕掛けをどこで見破るか。書下ろし本格推理傑作。
中学生のボクは、成績優秀でいわゆる優等生だった。クラスのいじめられっ子を救済したこともある。ところが、一カ月の入院生活がボクに気持ちの変化をもたらした。退院すると、かつてのいじめられっ子を、今度はこのボクがいじめるようになってしまったのだ…。少年の日常を通して、いじめ問題を、いじめる側から描いて警鐘を鳴らす現代教養小説。
待望の春の甲子園出場決定。倉田高校2年・桂木葉子の父親は、24年前エースとして甲子園に出場。そして今、母校の監督として再びその土を踏もうとしていた。しかし、野球部員が暴行事件に巻き込まれ、出場停止の瀬戸際に。葉子は真相究明に乗り出したが、その矢先、事件の鍵を握る男が殺された…。本格推理の名手が描く、傑作学園ミステリー。
京南大学大藤教授邸の新年パーティで惨劇が起きた。殺されたのは、現代の“和泉式部”と称される野川いずみ。同席した“清少納言”藤原彰子、“紫式部”嵯峨紫とともに助教授の椅子を争っていた。さらに同大学の有力教授が密室内で毒殺…。大学の人事をめぐる暗闘が、連続殺人の動機。『枕草子』を手に、キャサリンと浜口一郎の名コンビの、華麗な推理が冴える。
薬師寺小雪は才媛の誉れ高い29歳のピアノ教師。自宅のある神戸のニュータウンで殺人事件が。犯行当時、鳴っていたチャルメラの音色がいつもと違うことに気づいた小雪は…(「哀しきチャルメラ」)。そしてあの大震災。次々と起こる事件に、小雪は持ち前の向こう気の強さと正義感、行動力で立ち向かう。神戸在住の著者が自らの体験も投影させた異色ミステリー。
連日の異常気象、多発する少女誘拐未遂事件…と、不穏な空気が漂う東京都世田谷区。ある日、パソコン売場のモニターに「悪魔の警告」から始まる予告文めいた怪文書が現われた。翌日、若き天才囲碁棋士・牧場智久の対局相手・桃井四段が失踪。さらに、十二歳の少女たちが次々と殺されて。牧場智久&武藤類子コンビの推理やいかに。驚愕の本格推理。