出版社 : 光文社
ホームズと警視庁の片山刑事の妹・晴美は、バスに乗っていた。見知らぬ少女が「おいで。降りるわよ」と声をかけると、ホームズがついて行ってしまったから、さあ大変。片山たちの必死の捜査でつきとめた少女は、今度は「ちょっと人を殺すだけ」と言ってナイフを買っていった。表題作のほか、「通信簿」、「殺し屋稼業」、「催眠術」と、ホームズ大活躍の3編を収録。
新聞記者の赤城寛は、陸上自衛隊の一部にクーデターの動きがあるという情報を入手し、密かに調査を開始した。が、どうみてもクーデターは不可能。一方、次期戦闘機F-X選定の裏面工作のネタが転がり込んだ。そうした折り、友人の手島記者が謎の事故死をとげる。赤城は、手島がF-Xとクーデターについて取材を進めていたことを知った。迫真の“平成”シリーズ第6弾。
幼いころに両親を亡くし、施設で育った小料理屋の板前・楠木谷純一郎。彼は、女性に接すると狂乱状態になり、性的不能に陥るという奇妙な病いを持っていた。そんな彼が、通っていた歯医者の受付をしている佐々木千織に声をかけられ、生まれて初めて恋におちた。彼の心の病いを治そうと、千織の献身的な努力が始まる。純一郎の閉ざされた心の殻が、千織によって一枚一枚はがされたとき、ある衝撃の事実が浮かび上がった。少年時代の戦慄の記憶。謎の女・千織の真の目的は。謎と恐怖を孕んだ著者会心のロマン・サイコ・サスペンス、全力の書下ろし長編野心作。
御手洗潔が日本を去って一年半、横浜馬車道に住む御手洗の友人で推理作家の石岡のもとに、二宮佳世という若い女性が訪れ、「悪霊祓いに岡山県の山奥に一緒に行ってほしい」と言う。なんとその理由は、大きな樹の根もとに埋められた人間の手首を掘り出すためだった…。三月末、石岡と佳世は、霊の導くままに、姫新線の寂しい駅に降り、山中に分け入り、龍臥亭という奇怪な旅館にたどり着いた。これが、身の毛もよだつ、おぞましい、不可解な大量連続殺人事件に遭遇する幕開きだった。推理界の鬼才が、構想を練りに練り一年、満を持して放つ、二千枚を超す、渾身の書下ろし傑作超大作。
北多摩署刑事・相馬は、ある事件で知り合った少女・坪山千江と三年後の再会を約束していた。だが、三年後、相馬と対面したのは、全裸の死体となった千江だった。殺害されるまでの一年半の間、なぜか、千江は所在不明。懸命に千江の交友関係を追う相馬は、不審な動きを見せる組織の存在に気づく。さらに、その組織に失踪者が続出していることを知った相馬は、失踪者と過去の千江の足跡を求め、伊豆、そして福島へ。そこで相馬を待ち受けていたのは、驚愕の怪事件であった。
小森由紀江は、一夜の不倫を顔見知りの男に目撃されたことから強請られ、悩んだあげく赤垣美晴を訪ねた。男の目的は金か、それとも彼女の肉体か…。だが、男は約束の場所に現われず、やがて死体で発見された。特別秘密捜査官である美晴は、複雑に絡みあう事件の渦中に身を投じ、真相に迫る。
昭和20年、B29迎撃に飛び立った紫電改4機が、現代にタイムスリップした。新たな敵は、SVLF(南沙義勇解放軍)だ。アジアの火種・スプラトリー諸島を舞台に描かれる迫真の戦闘シーン。世界の政治・軍事情勢に精通した著者が,“今”を冷静に分析し、大胆にシミュレート。
和平交渉もととのい、秀吉は上機嫌で明国の使節を迎えた。だが、思いがけぬ障害で決裂、ふたたび出兵の決断を下した。しかし、国内には不満も多く、石田三成と徳川家康との間には、次第に溝が深まっていく。こうした内外の重苦しい空気を一掃すべく、秀吉は醍醐寺に多くの桜を植え、豪華な花見の宴を催す。その最中、秀吉は異様な音声とともに倒れた。
一代の英雄・秀吉が倒れた。彼の死後、家康と三成の確執が表面化し、関ケ原の決戦へ。絶対有利の西軍が敗れ、東軍の大勝利に終わる。秀頼は摂津・河内・和泉三カ国の領主に転落。家康の孫娘千姫が秀頼のもとに輿入れしたものの、家康と淀君・秀頼母子との対立は、天下を二分し、冬の陣へと突き進む。秀吉と彼をめぐる女たちの運命を描いた歴史巨編ついに完結。
君原由紀恵の絞殺死体が発見された。捜査に当たった七尾中央署の島中は、由紀恵の部屋のカレンダーの事件当日の欄に、謎のSの文字が記されているのを発見。犯人はイニシャルがSの男とにらみ、捜査をすすめるが、島中たちが真犯人に行きつけないうちに、金沢市内の公園で第二の殺人事件が発生。浮かび上がった人物には鉄壁のアリバイが…。Sとは誰か。金沢発特急「きらめき4号」30秒のトリックとは。数学者・黒江壮の左脳が冴える。意表つく展開。斬新なトリック。著者会心の“逆転シリーズ”長編本格推理・書下ろし第6弾。
老舗の酒造メーカー・日本酒造がビール生産に乗り出した。広告戦略を担当する東阪広告は、CMキャラクターに新進俳優・水島紀之を起用する。だが海外ロケ直前に水島側がキャンセルを。対応に苦慮した東阪広告の堂門百合子は、窓際部長・舘脇一輝に事態の収拾を依頼。舘脇流の収拾策により、ロケは無事終了するが、帰国の際、水島にある事件が発生。さらに日本酒造の意外な対応により、東阪は窮地に追い込まれる。舘脇は独自の方法で対応に乗り出すが、複雑に絡み合う利権構造は新たな事態を生み出す。
長・谷内の娘が失踪。公園の記念碑の台座の裏で死体となって発見された。四人目の犠牲者だった。疑惑の眼差しが谷内の部下で不倫相手の陽子にふりかかった。「黄色いカナリヤ…キイワードは黄色いカナリヤ」陽子の部屋にかかった謎の電話とベっドの上に置かれたカナリヤの死骸。何を意味するのか…。追いつめられた陽子に、カナリヤの謎を解く一通の手紙が舞い込んだ。恐怖の罠。ドンデン返しの妙。愛と哀しみと憎悪を描く、長編サスペンス推理の力作。
人妻やヌードモデルとの逢瀬を重ね、その情事をクールに観察し、小説を書きつづける流行作家・三田村倶治。そんな三田村を溺れさせるほどの人妻・坂崎彩子が突然、殺害された。彩子の死に様は、扇情的で怪異な姿であった。しかも殺害場所は、三田村と彩子の密会場所、面影坂ホテル…。ホテル従業員の証言から警察にマークされた三田村は、自らの疑惑を晴らすべく、事件解明に乗り出す。だが、彩子に潜む戦慄の過去と血脈が、三田村を追いつめる。男と女の狭間に蠢く欲望を大胆に活写。著者会心のロマンミステリー、書下ろしで登場。