出版社 : 光文社
八木沢順(13歳)が父・道雄と二人だけの生活をはじめたのは、ウォーター・フロントとして注目を集める隅田川と荒川にはさまれた土地だった。道雄は警視庁捜査一課の刑事。そのころ町内では、“ある家でひと殺しがあった”という噂で持ち切りだった。はたして、荒川でバラバラ死体の一部が発見され…。さわやかな筆致で抉る現代社会の奇怪な深淵、サスペンスと、ほのぼのとした情感とを見事に融合させた新感覚の本格推理秀作。『魔術はささやく』で日本推理サスペンス大賞を受賞した新鋭が、満を持して書き下ろした受賞第一作。
1年前の冬、「マリア様はいつ帰るのか」という言葉を残して自殺した兄・公一の死に疑問を抱く女子大生ナオコは、新友のマコトと兄の死んだ信州白馬のペンション『まざあ・ぐうす』を訪ねた。マザー・グースの唄に秘められた謎。ペンションに隠された過去とは?暗号と密室トリックの謎に挑む、気鋭の本格推理力作。
首のない男と女が激しくからみ合ったり、マンションのエレベーターが化けものだったり、死んだはずの女につきまとわれたり…。また見知らぬ婦人から預かった、奇妙な人形がまきおこす、多感な少年が体験した異常な世界。いずれも夢が幻か、はたまた妄想の産物か。凝った趣向と絶妙な話術で、あなたを虜にする恐怖小説集。
特殊部隊・砦洋介二佐の弟平介が、シンガポール出張中に銃撃され重傷を負った。平介は最先端技術セラミックスの研究者だが、対共産圏輸出統制(ココム)違反の疑いをかけられているらしい。砦は仇討ちと真相究明のため現地へ飛んだ。-軍事目的に転用できるハイテクをめぐる、壮絶なスパイ戦!砦はその渦中で闘った。
戸根市にはびこる二つの暴力団・北浦組と大門組は、ことごとにいがみ合い、まさに一触即発。そんな時、北浦組の組長が何者かに殺害された。果たして殺害現場で電話をかけたのは犯人か?(表題作)奇術師としても高名な著者ならではのトリックを各作品にちりばめ、あなたに挑戦する“犯人捜し”。推理ファン必読の珠玉の短編集。
父にまさる大器として家臣の信望厚く、江北の地に毅然と立つ長政は、天下人を目ざす織田信長の妹・お市を娶り、同盟を果たすが…。亮政ー久政ー長政と三代つづいた浅井家の興亡を描いた長編歴史傑作小説。
小さな蜘蛛の咬み合いが、多くの人々を狂わせる(「蜘蛛の夢」)、釣った魚の腹から出た封筒の女文字が、男女変死の謎にからむ(「有喜世新聞の話」)-今なお古くならない綺堂作品には、貴重な風俗資料が一杯。(十二編)
一葉の白黒写真。4人の若者はベトナムの戦場で生死を共にする親友同士。それから20年…。ベトナムのタイ侵攻阻止の命を受けて現地に潜入したCIA工作員パーカーがバンコクで失踪した。旧友の後任として〈ドラゴンファイヤー作戦〉を完遂すべく思い出の地に戻ったソーヤー。タイ、黄金の三角地帯、そしてカンボジア…麻薬と裏切りと殺戮の地で、ソーヤーは何を見たか。-ダンテの『神曲〈地獄編〉』を彷彿させるバイオレンス・アクション。
明治の末、貧困にあえぐ四国の寒村で、若者たちは、一撹千金の夢を賭けて、アメリカ密航を企てる。アメリカでは1年で日本の10年分を稼げるという噂を頼りにして…。10人の男女は、四国を出帆する。まるで海に放たれた凧のように、不安いっぱいの前途である…。奇想天外の冒険ロマン。
山口組4代目が竹中正久に決まると、不満分子が一和会を結成し、狙撃班を編成したのは周知のとおり。風屋健三にも拳銃が渡された。全身が慄いた。当日から竹中組長を追う。ところが、別の狙撃隊が先に組長を斃したのだ。風屋は獣のように吠え、泣き喚いた。この表題作を含めた7編で、著者はアウトローの心理と行動に肉迫する。
鹿野沢ケイは3年前、高校生のとき、ちょっとした問題を起こして、ハワイに留学した。区議選に出る父親の厄介払いであった。学費を稼ぐ彼女は、危ないバイトの最中に囮捜査で捕まった。そして、日本人対策特捜課の秘密捜査員になることを条件に釈放された…。新境地を拓く著者のハードボイルドタッチ青春ミステリー。
東京・青山にある東洋商事の別館では、様々なオカルト現象に社員たちが頭を抱えていた。一方、経理課では、苗字の最初の音がアからエまでの4人のOLがいたが、その阿妻と入間の2人が屋上から墜落死した。続いて宇田が殺され、あいうえお連続殺人の様相が…。仕組まれた罠か?ビルにまつわる超常現象か?推理ホラー傑作。
燦然と輝く黄金づくりの天冠を額につけた巴御前は、この国を一人でしろしめす院政という名の独裁政治を国民の大衆僉議による新しい国づくりに変えるべく、愛する義仲と共に都入りを果たしたが…。
ロンドンの歓楽街ソーホーの貸しスタジオで発生した大量殺人事件。被害者はカメラマンと助手とモデルの男女。男はボディービルダー、女はアルバイトの女子大生。ボディービル専門誌のグラビア撮影中の惨事だったというが、はたして真相は?犯人の動機は?貴族階級出身の異色警視ペリー・トリソワンが、ネオンの巷に姿を消した犯人を追う。-好評『拷問』に続くシリーズ第2弾。“鋭い切れ味と抜群のユーモアセンス”と英米マスコミ絶賛。
英秘密情報局局員バーナード・サムソンは陰鬱な日々を送っていた。3年前、妻フィオーナがモスクワに亡命して以降、局の同僚や友人の目は冷たい…。そして発覚した莫大な公金紛失事件。妻はこの一件にからんでいるのか?警告を無視して、サムソンは真相を探る決心をした。ワシントン、ロンドン、ベルリン…そしてカリフォルニアで…。-ベストセラー3部作『ゲーム/セット/マッチ/』に続く新3部作『フック/ライン/シンカー』第1弾。
早苗の兄・喬が局部をえぐり取られた惨殺死体で発見された。同じ頃、喬の馴染みのバーのママの家へ、切断された男性器が送られてきた。勝刑事は早苗の協力をえて捜査を開始。ところが、喬の住んでいた部屋で、別の男がガス中毒死した。2つの事件を結ぶ糸は?密室トリックとアリバイ崩しで読者に挑戦。本格推理の傑作。