出版社 : 光文社
警察とヤクザの両方から追われる殺し屋・〓。気がついたら銃撃戦の真っ只中にいた(『言い出しかねて』)。「彼女は、彼女でなくなってしまった。殺してやるのが親切ってもんだ」3人の男たちは拳銃を手に入れた(表題作)。清冽な冴えをみせる珠玉の6編。愉快でとぼけた連中が活躍する、正統派ハードボイルド小説集。
「パーティをやろうと思う」マイク・ハマーが提案した。「松本の死を悼んでね。一風変わったパーティだぜ」V8、3200cc、300馬力の化け物パトカーに、仲間を殺された5人の横浜っ子たちは、復讐を計画した。-高速道路での迫真のカーチェイス、小気味よい青春とその終わりを鮮やかに描いた傑作長編。矢作俊彦デビュー作。
「わたし、中学生かな、高校生かな」と少女は年齢も曖昧に答えた。噂に聞いた少女売春だ。彼は金がないのに欲望が動く。行為のあと、少女の隙に2万円を掠め取った。その札番号が郵便局強盗の奪った数字に一致。厳しい嫌疑を解こうと彼は少女を探し出すが、その口からは意外にも!「少女」を含め、逆転の妙に充ちた、魅惑の5編。
丸宮利秋は丸宮工業社長の長男で専務の地位にいるが、社内の地倉早苗と不倫関係にある。利秋が森羊之助常務と初めてのヨーロッパ旅行に出掛けてから、奇怪な事件に遭遇する。だが、同行の森は“旅行ノイローゼ”だと取り合わない。一方、東京の丸宮本社では大事件が起きていた。新田文学中、数少ないロマンミステリー。
江の島海岸の岩場で二人の若い女性がハンカチで手を結んで倒れていた。睡眠薬による心中らしい。医師の妻と看護婦であった。看護婦だけが死ぬ。レズ関係が厭世感を高めたのか?それにしても妻が助かったのに、夫の医師はなぜ狼狽するのか?男女の心理的葛藤は殺意をも招く。その攻防戦を巧緻な筆で盛り上げる8編の快作。
本書に登場する人々の多くは、様々な形で、つまずいたり失敗したり幻滅したりあきらめたりする。けれども、だからといって著者自身が、暗くてペシミスティックな人間というわけではない。これらの物語は、今でもファミコンに遊び惚けるような僕のノンキな実生活の裏返し(?)なのである。
五条友彦、人呼んでウルフ。出羽山中で闘技を修め、狼のように駆ける若き戦士だ。超高性能で微小な記憶装置オメガ2000の奪取を図るクレムリン派遣の暗殺集団「死神」と対決。五条に課せられたこの企業秘密の死守が、国の安泰に通じる。相次ぐ死闘、粟立つ恐怖、斃れる恋人。新進アクション作家の、手に汗を握る野心作。
流浪の国学者長野主膳は、彦根城内の埋木舎に不遇の日々を送る井伊直弼と知り合い、肝胆相照らす。やがて家督を相続した直弼は、幕府の期待を担って大老に就任。主膳は、その“懐刀”となる。長編歴史小説。
全員死亡のバス事故で、たったひとり生き残り、宝くじを買えば1等に当たる-そんな奇跡の男がいる。でも、ホントにそんな男がいるのか?この世の中に“奇跡の男”はいるのか?本格推理小説の白眉!
北アルプス・西穂高の雪渓で警官の筒井が転落死した。その前1月にも、筒井の先輩で、警視庁きっての山男・大須賀が西穂稜線で転落死していた。警視庁捜査一課刑事の白鳥完市は、一連の二人の死が単なる事故死ではないと直感し、遭難現場の西穂高へ急行した。そこで、白鳥は、死んだ二人の元同僚で白バイ隊の月村修に会う。彼を強引に捜査に加えた。ケンカをしながら、必死で捜査する白鳥らの前に、ぼんやりと一人の男が浮かんできた。本星だ!だが、その男には、鉄壁のアリバイがあった!異色警官コンビの苦闘がはじまる…。冬山完全犯罪トリックの妙!山の魅力を満喫させる手練の筆緻!山岳推理の旗手が書き下ろした会心作!
超売れっ子タレント須磨屋いわしが何者かに拉致された!カルくて調子はいいが、笙子には気になる男。なんと、いわしの恋人照美は次期総裁最有力候補の娘だったが、彼女も行方不明に…。各派しのぎを削る激烈な総裁選。暗躍する大物政治家。美人警視が政界の深部に潜入し、巨悪を斬る!ますます好調、待望の第10弾!
シナリオ作家の矢柴研一は、画家・木原登の描いた一枚の絵に、遠く記憶の底に眠っていた何かを揺さぶられた。彼は閉ざされた過去を求めて、富山県の五箇山へ…。そこで三十数年前に首桶村で起きた惨劇の輪郭が浮かぶ。だが、真相に迫る矢柴の周りに不可解な死が連続して発生、彼の身にも…!ハード・サスペンス推理の傑作。
漢方薬会社の経営者で、無類のカメラ好きの谺二郎は、営業の管理職に殿村という辣腕家を招聘する。面接して仰天!殿村は戦時中、憲兵伍長で、谺の片眼を奪い、恋人明子を死に至らせた仇だった。谺の陰湿な復讐と殿村の地位を築く逆襲が始まる。そのとき谺の妻が急死を…。カメラ会社の社長だった著者ならではの、奇抜なトリックを駆使した話題の推理力作!
出石藩仙石家の変人武士、白鳥大三郎と一柳主税は、美貌の娘二人を助けた。藩主の御落胤のお墨付を持つ袖姫と待女・糸枝。4人は、主家乗っ取りを企む一派が起こしたお家騒動をのがれ、江戸へ向け珍道中に出発!
あたしの恋人・川津雅之が殺された。最近、川津は“狙われている”と怯えていた。そして、川津が大切に持っていた資料が何者かに盗まれた。女流推理作家のあたしと担当編集者の萩尾冬子は真相を探るが…スポーツセンターを通して知り合った川津の関係者が次々と殺されていった!1年前、スポーツセンター主催のクルージングで起きたある出来事に連続殺人の秘密が隠されているらしい。事件の周辺を洗うあたしを襲う黒い影!そして、あたしを待ちかまえていた戦慄の事件!11文字に秘められた真実とは?アッと驚く結末!推理界期待の才能が新感覚で書き下ろした、謎とサスペンス溢れる衝撃の長編推理渾身問題作!
女子大生・小川麻知子は言いしれぬ不安にかられていた。父の突然の失踪、不気味な電話、家政婦の不審な行動…時価1億円の名画“前むき小町”がひき起こす連続殺人!-小野小町は、果たして美人だったのか?男か女か?その小町の謎を縦糸に、意外な犯人と密室トリックを横糸に織り成した、長編本格推理の傑作!
第1回の新文学ホープ賞が17歳の朝倉奈美子の「ロスト・ラブ」に決定。文壇は久々の大型女流新人の登場で沸いた。ところが評論家の大御所・安本寅太郎が当選作は大正時代の寡作な作家の盗作だと公表した。衝撃で奈美子は急死、父親も自殺する。この悲劇の陰には残酷な陰謀が…。ほかに迫真の傑作7編を収録!
約5000枚の画期的超大作『神聖喜劇』を25年の歳月をかけて書き、読書界に絶賛の嵐を呼んだ大西巨人が、今度は一転して掌編小説の秀作選を編んだ。樋口一葉から星新一まで、58作家の短編は、おおかた400字詰め原稿用紙にして15枚以内。全2巻に収めたこの選集は、近代日本文学を濃縮した“総集編”だ。
約5000枚の画期的超大作『神聖喜劇』を25年の歳月をかけて書き、読書界に絶賛の嵐を呼んだ大西巨人が、今度は一転して掌編小説の秀作選を編んだ。樋口一葉から星新一まで、58作家の短編は、おおかた400字詰め原稿用紙にして15枚以内。全2巻に収めたこの選集は、近代日本文学を濃縮した“総集編”だ。