出版社 : 光文社
「女房を殺して、捕まえてもらいに来た」と市長宅に押しかけた男。その場に居合わせた作家デュマや市長たちは、男の自宅の血塗られた地下室を見に行くことに。男の自供の妥当性をめぐる議論は、いつしか各人が見聞きした奇怪な出来事を披露しあう夜へと発展する。本邦初訳!
50歳を目前にして、美貌のかげりと老いを自覚する元高級娼婦のレア。恋人である25歳の青年シェリの突然の結婚話に驚き、表向きは祝福して別れを決心しつつも、心穏やかではいられない…。香り立つような恋愛の空気感と細やかな心理描写で綴る、「恋愛の達人」コレットの最高傑作。
旧友の依頼で、十津川警部は豪華客船「飛鳥2」に乗り込むことになった。船内で奇妙な事件が続発して心配だというのだ。その後、女性客が海に落ちる事故が起こるが、すぐ救助され、無事クルーズは終了したのだがー。数日後、その女性が多摩川の河原で殺されているのが見つかる!さらに、新たなクルーズで起こる殺人事件。豪華クルーズに潜む陰謀に十津川が挑む!
女性特別機動隊に勤務している南谷結月巡査は、向島教官から、大迫警視長との飲み会に参加するよう指示される。待ち合わせ場所にはもう一人、座間味くんと呼ばれるハイジャック事件の英雄も彼女を待っていた。(「女性警察官の嗅覚」)。座間味くんが語る真相で事件の本質を知り、結月は視野を広げ、警察官として成長していく。超絶推理を楽しめる傑作小説集。
美人経済アナリストの国枝理恵が絞殺された。所轄署と捜査一課精鋭たちの第一期捜査が不調に終わり、刑事部長から警視庁特命遊撃班の風見竜次たちに捜査の命が下る。美人経済アナリストの元恋人や被害者が接触していた者たちを次々に調べていく特命遊撃班の風見たち。苦労の末明らかになってきたのは戦慄の真相だったー。ダイナミックな展開のシリーズ第七弾。
見知らぬ部屋で目覚めた作家が発見したバラバラ死体。トリッキーな密室殺人の謎を描く「だらしない男の密室」。刑務所に収監されているはずの猟奇殺人犯が再び目撃された。犯罪者の狂気に迫る「“革服の男”が多過ぎる」。シリーズ中もっとも実験的な設定に幻惑される異色作「三人の災厄の息子の冒険」の全三編。パンク刑事の推理が冴えるシリーズ第五弾、待望の文庫化!
一九二〇年創刊の「新青年」は、江戸川乱歩をはじめ数多くの作家を輩出した名雑誌であり、初代編集長の森下雨村は日本の探偵小説の生みの親と称される。その雨村が作家として見出した小酒井不木も専門の医学研究に材をとった、すぐれた評論や小説を著し、現代ミステリーの源流となった。この両者の“遺産”ともいえる傑作長短編を収録した読み応え充分の一冊!
やっとのことで就職した「あやかしクリニック」は、亜月の守護霊・毘沙門天を目当てに訪れる患者も増えてきた。しかし、些細なことから刑事に怪しまれ、その目は薬剤師の西尾さんやあやかしたちの保育園にも向かってしまう。そんな折、始祖の妊婦さんの救急搬送から、江戸川町をも巻き込んだ都市型百鬼夜行が始まった!ついに毘沙門天・亜月の本領が発揮される!?
「はなまる造園」の仕事に慣れ始めた咲和。優しい朝倉の存在も大きくなる中、朝倉の友人・桑原を紹介される。やたらと距離の近い桑原に、警戒心を抱く咲和だったがー。またある日、咲和は、はなまる造園にかかってきたとある電話をすぐに切ってしまう。電話の相手は「斉藤」と名のる男性の声でー!?いみず野に、ちょっとしたざわめきが巻き起こる第二巻。
闇御庭番・菅沼外記は新潟湊を訪れ、薩摩藩の御納戸役が、豪商の北国屋へ一つの壺を手渡すのを目撃する。それは一国を滅ぼしかねない危険な「抜け荷」だった。その流通を阻止しようとする外記の前に、次々現れる敵。一方江戸では、老中・水野忠邦の進める強引な奢侈取締まりが、悲しい殺しを引き起こすー。手に汗握る騙し合いと悪党退治。痛快なシリーズ第三弾。
江戸で火事が多発した折、牢屋奉行に、その下手人を突き止められるとある男が申し出た。臨時廻り同心の山本市兵衛は、南町奉行、筒井の内与力、坂崎忠右衛門から、その男について廻って探索を行うよう命じられるのだがー。(表題作「赤猫」)珍しく窮地に追い込まれる市兵衛を罠や敵が待つ人気シリーズ第三弾。いつにもました迫力の剣戟と涙腺刺激の作品も入った傑作。
公儀武芸帖編纂所頭取の新宮鷹之介は支配役の若年寄・京極周防守に呼び出される。提案されたのは、なんと水術。数多の武芸に通暁する鷹之介も、この水術だけは…。とはいえ、調べを進めた鷹之介だったが、その前に暗雲が立ち込める。そして、新たに下された命とはー。人気急上昇のシリーズ、爽やかさ抜群の第四弾。
平成という時代があった。1989年1月8日に始まり2019年4月30日に終わった。およそ30年4か月に及ぶ時代が始まる日に生まれ、終わる日に死んだ一人の男がいた。名は青、母親は彼をブルーと呼んだ。平成15年12月、青梅で教員一家5人の刺殺事件が発生する。藤崎たち警察は、次女の篠原夏希(31)がほかの4人を惨殺した後、薬物摂取の心臓発作で亡くなったと推察した。夏希は高校時代から不登校となり、16年間引きこもっていたという。実はこの事件には重大な事実「凶器に夏希以外の指紋」があり、第三者がいたことがわかっている。事件はその後、夏希の驚愕の真実が明らかとなることで行き詰まっていく。平成31年4月、あと少しで平成が終わる時、多摩ニュータウン団地の空き室で血まみれの男女の死体が発見される。離婚して刑事にカムバックした奥貫綾乃が捜査に加わる。殺されていた二人には子供がいて、彼らはネットカフェ難民だったことがわかるーー。平成元年に生まれた男。平成15年に迷宮入りした殺人事件。平成が終わる直前に起きた殺人事件。それらが平成という時代の中でつながっていく。平成が終わる今だからこそ、平成30年間の社会や文化の変化を描きながら、児童虐待、子どもの貧困、無戸籍児、モンスターマザーと、現代社会の問題に迫る、クライムノベルの決定版。
農林水産省で防疫に従事する酒井恭平は、上司から“サトゥルヌス・リーチ”という未知の寄生虫が日本に入ってくるかもしれない、と聞かされる。対策のためアメリカから招聘したという専門家、ジャカランダ・マクアダムスを迎えに行った酒井は、ジャカランダがネコ科の動物を連れた、まだ大学生の美女だったことに驚く。戸惑いつつも霞が関に戻った酒井たちを待っていたのは、農林水産省の上層部と、警視庁警備部の人間だった。いったい、何が始まろうとしているのか…?
城石明音は先天性の心疾患を患っていた。8歳の時に病状が悪化し、両親は渡米しての心臓移植手術を決断する。しかし、そのためには1億5千万円という莫大な費用が必要だった。懸命の募金活動の末、募金額は目標額を超え、明音はチャーター機でアメリカに渡った。幸いドナーも見つかり、手術も無事に成功し、明音は一命を取り留めた。誰もが明音の生を祝福しているかのようだった。このときまではー。募金活動と心臓移植手術によって命を救われた少女・城石明音の半生を、教師、同級生、夫など周囲の人間の目を通して描いた、骨太の人間ドラマ!!
怪人二十面相、焼け焦げた帝都を暗躍す!1945年8月15日、日本敗戦。明智小五郎は応召して不在。「二十面相ふたたび現る」の報に、小林少年がひとり、立ちあがる!昭和を代表するダーク・ヒーロー、巨匠の筆に乗り、平成の終わりを駆け抜ける。痛快無類の冒険探偵小説!
集中豪雨で崩壊、全滅した山村にただ一人生き残った男を、テレビカメラとレポーターが、貪るようにしゃぶりつくす。遺族の感情を逆撫でし、ネタにしようと群がるハイエナたちに、男は怒りが弾け、暴れ回る。怒りの引き金を引いた女性アナウンサーは業界を去り、男は彼女もまたマスコミの犠牲者であったことに気づく。その二人が場末の食堂で再会したのは、運命だったのか、それともー。強烈な皮肉と諧謔が、日本に世界に猛威を振るっている「第四の暴力」マスコミに深く鋭く突き刺さる!日頃抱いているギョーカイへの疑問と怒りが痛快に爆発する問題作、激辛の味付けで登場!!