出版社 : 光文社
元南町奉行所の定町廻り同心の沢村伝次郎は船頭として生計を立てている。伝次郎のところへ、同心時代の小者で、いまは油屋を営んでいる音松が斬られたと知らせが入る。音松は、かつての伝次郎の仲間である定町廻り同心の探索の助をしていたという。音松を斬ったのは何者なのか。伝次郎は、下手人の探索に奔走するがー。人気シリーズ、ついに慟哭の最終巻!
幕末から明治へー。捕鯨集団「太地鯨組」の若き棟梁・太地覚吾を、激変する時代の荒波が襲う。外国船の乱獲による鯨の不漁、南海地震による大津波、村を救うため画策した蝦夷地での操業も頓挫する。そして、巨鯨を追うあまりに引き起こされた海難事故「大背美流れ」では、百名以上の生命が奪われる。時代に抗い、度重なる苦境に、何度も立ち向かい続けた男の物語。
母子家庭で育った聖太郎と、大宮製菓の御曹司・光博は、共通の趣味であるお菓子作りを通して親友となる。ある日、聖太郎は光博から、幼馴染みが出場するというピアノコンクールに誘われ、凛々花を紹介される。凛々花のピアニストとしての才能と、奔放な性格に惹かれてゆく聖太郎。光博や凛々花との貧富の差も、なぜだか気になり始める。そして、些細な出来事をきっかけに、ふたりは疎遠となってしまう。月日は流れ、大人になったふたりは、それぞれの道を歩み出し、聖太郎はショコラティエとして類い稀なる才能を発揮していくが…。
マスター、工藤、山内のヤクドシトリオと、酔えば酔うほど推理の冴える桜川東子さんに、アルバイト店員(でも店での立場はマスターより上)のいるかちゃん。最近顔を出すようになった警視庁捜査一課の刑事に、「推理的中率一〇〇%」を自称するイケメン映写技師も加わって、今夜も酩酊推理は過熱中!しかし、変化の兆しが…。
鋭い直感とすぐれた決断力に定評がある弁護士・阿礼沙英子。でも、沖縄独特の方言と因習、ささやかな嘘や隠し事に、今日もやや苦戦中。彼女を尊敬してやまない、方言通訳担当の事務員・大城が、意外な人脈と行動力で、縺れたトラブルを解く手がかりを見つけ出す!
電車を乗り間違え、見知らぬ町に降り立った島本。部下の矢崎は「すぐに離れたほうがいいですよ。ここは漠市です」と訳のわからぬことを言う。しかし先を急ぐ島本は、漠市を通り抜け、取引先へ向かう。するとその後、次々と幸運が舞いこみだした。大きな仕事が決まったり、会社のマドンナに声をかけられたり…。上機嫌で家に帰れば、玄関の前に元カノののぞみが座りこんでいる。復縁かと喜んだ島本はのぞみを家に泊めるが、のぞみは一言もしゃべらず、精気もない。そして翌日、のぞみを家に残したまま出社した島本がバッタリ出会ったのは、本物ののぞみ。では、家にいるあの女は誰なのかー。いや、何なのかー。
巷を騒がす西成ストーカー殺人事件を担当している、大阪地検一級検事の不破俊太郎と新米検察事務官の惣領美晴。どんな圧力にも流されず、一ミリも表情筋を動かすことのない不破は、陰で能面と呼ばれている。自らの流儀に則って調べを進めるなかで、容疑者のアリバイは証明され、さらには捜査資料の一部が紛失していることが発覚。やがて事態は大阪府警全体を揺るがす一大スキャンダルへと発展しー警察内から裏切りと揶揄される不破の運命は、そしてストーカー事件の思いもよらぬ真相とはー大阪地検一級検事・不破俊太郎。孤立上等、抜き身の刀、完全無欠の司法マシンが、大阪府警の暗部を暴く!
「耳なし芳一の話」「むじな」「ろくろ首」「雪女」…。日本をこよなく愛したハーンが、古来の文献や伝承をもとに流麗な文章で創作した怪奇短篇集。日本の文化、伝統、習慣を世界に紹介し、いまや「日本文学の古典」とも言えるハーンの代表作。昆虫エッセイ「虫の研究」も収録。
ヴィルパリジ夫人のサロンに招かれた語り手は、ドレフュス事件や藝術の話に花を咲かせる社交界の人びとを目の当たりにする。一方、病気の祖母の容態はさらに悪化し、語り手一家は懸命に介護するのだが…。第三篇「ゲルマントのほう」(一)後半と、(二)前半を収録。
将軍徳川吉宗に直々に命じられて道中奉行副役となった水城聡四郎。小田原での視察を済ませて箱根を越え、家士の大宮玄馬とともに東海道をひた上る。神君徳川家康のお膝元ともいえる駿府へ入った聡四郎は、駿府の役人から衝撃の事実を知らされる。そして、駿府を早々に出た聡四郎は、新たな刺客に襲われる。突然、現れた「敵」の正体とはー。待望のシリーズ第二弾。
ついに最恐の物件現る!?アメリカのアリゾナ州にある洋館の一室では、犯罪容疑が濃厚な人物が次々と拳銃自殺を遂げているという。大島不動産販売・問題物件担当の若宮恵美子は、その「悪魔が棲む部屋」へと送り込まれる。最強の相棒・犬頭光太郎不在の中、恵美子は部屋に秘められた恐るべき謎を解明できるのか?(表題作)痛快!「問題物件」シリーズ、待望の第二弾。
森の中に建つ人気のオーベルジュ(=泊まって食事を楽しむレストラン)、ル・ミステール。そこには、泊まった人にしかわからない「謎」があるらしい。ちょっと変わった名前のシェフが、四季の美味しい料理で出迎えてくれるというけれど…?中身は心優しい中年男性、外見はぶたのぬいぐるみ。山崎ぶたぶたが大活躍。読めば元気になれる、大ヒット・ファンタジー!
フリーライターの葉山虹子は東京湾に浮かぶ孤島「猿島」へ上陸する。帰りそびれた虹子が迷いこんだのは島で暮らす猿谷家の館。ところが、主人の藤吉郎が密室で殺され、その後も怪事件が続発する。犯人を示す鍵は「猿」。脱獄犯を追って島へきた黒星光警部と虹子は真相に辿り着けるのか。猿づくしの異色長編ミステリーが著者の大幅加筆修正のうえ新装版で新たに登場。
ビデオジャーナリストの深町芽衣が殺害された。胴体を切断するという猟奇事件の捜査が難航したために、警視庁捜査一課の特命遊撃班に出動命令が下る。異色のメンバーとともに風見竜次たちが捜査を始めると、女性ビデオジャーナリストが想像を絶するほどの事件を追っていたことが判明。そして、ついに浮かんできた仰天の真相とはー。好評シリーズ、待望の第三弾。
シンドゥラ国王・ラジェンドラは、パルスが放棄した要衝ペシャワール城を占領する。そこへ攻め入ろうとするチュルク軍だったが、両軍を空から悪鬼の群れが襲う!魔軍を率いる狂戦士イルテリシュの狙いは?さらに、国土再建に邁進するアルスラーンたちにも、魔軍の凶悪な牙が迫りつつあった。蛇王ザッハーク完全復活の時が近づく緊迫のシリーズ第十四弾!
祐子の母は、父を裏切って家出をした。それを苦にして、父は自殺してしまう。一緒に暮らしていた祖母も病死。たった一人取り残された祐子は、母への憎しみを募らせ、それはやがて殺意に!凶器を携え、母の住むアパートへと向かうが…。(表題作)他に、オフィスを舞台にした「消えた会議室」、ホラーの秀作「犬」など、サスペンスあふれる傑作を揃えた短編集。
帰宅途中のバスの中で、浜島は二十年ぶりに小磯泰子と再会した。妻との仲は冷えており、四年前に夫を亡くしたという彼女の家に足繁く通うようになったが、そこには六歳の息子、健一がいた。浜島は彼の眼が気になり、次第に気味の悪さを覚えるようになってきて…。(「第一話 潜在光景」)人間心理の影の部分を浮かび上がらせた、七編の切れ味鋭い傑作短編集。
次作を書けずにいる新人作家のぼくは、ある日、十代の頃の相棒・寺井と十年ぶりに再会する。しかし、彼は無茶な依頼を口にしたのち、ぼくの前から消えてしまった。寺井を追うほどに胸を過る十年前の忘れ得ぬ出来事と映子の姿。思いがけず始まった人捜しが、止まっていた時間を揺り動かす。若き日の恋と苦い過去が織りなす人間模様。直木賞作家の才気あふれる初期傑作!