出版社 : 光文社
今津章一は、半年前に発足した社史編纂室で、東方食品社長の杠忠造を中心とした社史を執筆することになり、重役たちの会合にも同席する機会が増えた。そんな折、大がかりな宣伝活動により、看板商品となった栄養食品「キャメラミン」の、栄養価に対する疑問を呈した文章が、出回っているという話を耳にする。清張作品としては珍しい企業サスペンス小説。
最凶の男・久我重明の非情な指導の下、着々と力を増す志村礼二は、フルコンタクト空手大会に参戦。比類なき強さで勝ち進み、迎えた決勝で、鍛錬を重ねた芥菊千代と対峙する。一方、東京のプロレス道場の見学に訪れた室戸武志。選手の練習風景に圧倒されていたが、思いがけずリング上でスパーリングに臨むこととなる。さらなる強さを求め、意地がぶつかる第三弾!
失踪した猟犬探しを生業とする探偵・竜門卓の事務所に、盲導犬の行方を突き止めてほしいという仕事が舞い込んだ。依頼者は資産家の令嬢。相棒の猟犬ジョーとともに調査を進めるうちに、薄幸な、ひとりの目の不自由な少女のもとに行きつくが…。胸を打つラストシーンが待つ表題作を始め、限りなく優しく誇り高い男たちの人間模様を描き出す永遠の感動作!
アメリカはニューイングランド地方の田舎町、トゥームズヴィル。同地で霊園を経営するバーリイコーン一族では、家長のスマイリーが病床に臥しており、その遺産を巡って家中にただならぬ雰囲気が漂っていた。一方その頃、アメリカの各地で、不可解な死者の甦り現象が起きていたのだがー日本ミステリ史を代表する革新的な名作が、全面改稿により今鮮やかに甦る!
遺産騒動の最中、命を落としてしまったパンク青年のグリン。折しも、死者の甦り現象がアメリカの各地で発生し、彼もまたリヴィング・デッドとして甦ってしまう。霊園を経営する一族に巻き起こる連続殺人。その真相を、自らの死を隠したまま、グリンは追うのだがー。被害者、容疑者、探偵が次々に甦る前代未聞の傑作ミステリ。全面改稿により今鮮やかに甦る!
将軍家斉から武芸帖編纂所頭取を命じられた新宮鷹之介。そこへ幼なじみの大沢要之助が訪ねてくる。火付盗賊改を務める要之助の上司が、不審な死を遂げたのだという。さっそく編纂所の仲間と調べ始めた鷹之介の前に明らかになった真相とはー。武芸帖編纂所の変わった“同僚たち”と繰り広げられる笑いあり涙あり、爽快感抜群の作品。待望のシリーズ第二弾。
日照り続きの天保九年。江戸の芳町にある口入屋「ひなた屋」に、隻腕の老人、朝比奈結之助がやってきた。女将おふくの頼みでひなた屋の用心棒となった結之助に、罪なき者を葬る辻斬りの話が舞い込む。そこで、結之助は最強の剣術「無住心剣術」で顔なき悪党に立ち向かう。「鬼役シリーズ」で大人気の坂岡真が描いた「涙のシリーズ」が新装版で登場。待望の第一弾。
奈良時代、東大寺の大仏造営事業が進む中、故郷から造仏所に徴発された真楯。信仰心など一片もないのに、仲間と共に取り組む命懸けの労役は苦難の連続。作事場に渦巻く複雑な人間模様も懊悩をもたらすばかり。だが、疲れ切った彼らには、炊屋の宮麻呂が作る旨い料理があった。一膳の飯が問いかける仏の価値とは!?食を通して造仏に携わる人々の息遣いを活写した傑作時代小説。
高畠和人の母は、“オレオレ詐欺”に引っ掛かり、さらにトラックに歩を進めて重体に。一方、片山と妹の晴美は、別件の“オレオレ詐欺”の犯行を阻止するも、用済みとなった受け渡し役の男は殺されてしまった。事件の捜査過程で得た手がかりを頼りに片山は、“K学院”の寄宿舎で暮らす三輪山和美という女性徒を訪ねる。彼女と詐欺犯の意外な関係とは?さらに寄宿舎には和美の祖父や高畠の娘、おなじみの石津もやって来るのだが…。片山とホームズの推理が冴える、国民的シリーズ第52弾!
入隊しろ。新選組に。俺が局長に言ってやるよ、お前は、まかない専門にしようって。元治元(一八六四)年の京の大火、「どんどん焼け」で住んでいた長屋を焼かれた菅沼鉢四郎。妻子ともはぐれ、薩摩や会津の炊き出しの世話になる日々だ。ところが、会津の炊き出しが滅法まずい。思わず「まずい」と言った相手が新選組幹部・原田左之助だったことから、運命が変転をはじめる。果たして、鉢四郎ははぐれた妻子と再会できるのかー。新選組の知られざる内証を活き活きと描く、新直木賞作家の野心作。
武家の庶子でありながら、家族に疎まれ寒村の寺に預けられた久斎は、兄僧たちからも辛く当たられていた。そんななか、水汲みに出かける沢で出会う村の娘・しのとの時間だけが唯一の救いだったのだが…。手ひどい裏切りにあい、信じるものを見失って、久斎は寺を飛び出した。盗みで食い繋ぐ万吉と出会い、名をたずねられた久斎は“無暁”と名乗り、ともに江戸に向かうー波瀾万丈の人生の始まりだった。
かつての賑わいを失った温泉街。その町で育ち、地元の信用金庫に勤める勇太は、蛇神伝説をもとに新たな祭りを開催し、観光客を呼び込もうという地元活性化案を企画した。その目玉として、大蛇神輿と高校生の蕎麦打ちイベントを提案する。その頃、春海たち高校生も全国高校生蕎麦打ち選手権大会に出場するため特訓に励んでいた。そんな中、東京のメガバンクに勤める勇太の兄・勇之介が、リゾート化計画を引っ提げてやってくるが…。
お腹の子の父親を追って旅する女、肌は白いが黒人の血を引いているという労働者、支離滅裂な言動から辞職を余儀なくされた牧師…米国南部の町ジェファソンで、過去に呪われたように生きる人々の生は、一連の壮絶な事件へと収斂していく…。ノーベル賞受賞作家の代表的作品。
離婚後、没落した実家に戻っていた白流蘇。異母妹の見合いに同行したところ英国育ちの青年実業家に見初められてしまう「傾城の恋」。封鎖中の路面電車のなかでの男女の行きずりの恋を描いた「封鎖」。占領下の香港と上海が舞台の恋物語と自伝的エッセー「戦場の香港」ほかを収録。
親子ゲンカで家出中だったぬりかべの父・作蔵が、拐されかけていた女児を救った。親探しに奔走するるいに、九十九字屋主人の冬吾は猿江町の辰巳神社に行ってみろという。ただし神主には近づくなともいうのだが…。やがて、るいは冬吾の生い立ちに秘められた切ない因縁に気づいてゆく。世のふしぎの裏にある人やあやかしの想いを温かく描く人気シリーズ第四弾!
豪華列車「ななつ星」に病気の母親を乗せるため、賀谷大三郎は悪知恵を働かせてツアーに潜り込んだ。ところが乗車直後、大三郎のもとに一通の脅迫状が届く。今回の悪事を見逃してやる代わりに、ある乗客の手帳を盗み出せというのだが…。さらに、乗車していた次期駐日アメリカ大使の女性が行方不明に。続発する事件の黒幕を追い、十津川警部が九州を走る!
沖縄本島北部の法テラス、スタッフ弁護士の阿礼沙英子。オジィオバァの方言に四苦八苦しながら、持ち込まれた相談をびしびし解決中。模合崩れの相談に訪れたのは事務員・大城の小学校時代の同級生、赤嶺だった。裁判をおこすと息巻くが、沙英子は証拠が乏しいことを伝える。納得できないと、模合の座元との話し合いに大城を呼び出すのだが…。(「モアイの相談」)