出版社 : 地方・小出版流通センター
「君は私のものだ」-舞台がはねた後、伊関拓朗を待っていたのは、大手広告代理店課長・永見潔の熱烈なアプローチだった。永見の艶やかな眼差しに心を奪われながらも、自分の未来を決めつけたような言葉に反発し、思わず犯してしまう…。
伊庭隆之は病死したと聞かされていた父が、香港黒社会「開心」グループの総帥であったこと、そして先日暗殺されたことを知らされる。香港へ渡った隆之は、冷ややかな瞳をした美貌の異母兄李冠麟と、心ならずも師帥の座を争うことになるが-。松岡なつきの愛と欲望のシンジケート・アクション、ここに完結。
マッチョに憧れる元気少年上田亀之介は、ちょっとないくらいの美少年。でも惜しいかな、アレルギー性の湿疹と黒縁メガネのせいで、その可愛さをオジャンにしていることが多い。高校の入学式の日、亀之介は幼馴染みの清水朋紀と3年ぶりに会う。ぜんそく持ちのモヤシだった朋紀は、甘ったるく整った美貌のカッコイイ少年に成長していた。ストレートな愛情表現をする朋紀だが、負けん気が強いだけの子供な亀之介には、伝わらない…。その上思わぬ伏兵も現れて。
「どうしても欲しくなった。きみのその声と-きみ自身が、ね」ロックミュージシャン九条高見は、すべての成功を手に入れる事と引換えにその身体を差し出す契約を結ぶ。相手は世界有数の財団オーナー瀬能結城。耐え難い程の屈辱と快楽を与えられればられる程、結城を求めてしまう心に、いつしか高見は追い詰められていく。出口のない闇の中に墜ちていく高見の想いと、氷のように美しく冷たい結城の中に隠された恐るべき激情が交錯した時、二人が選んだ道は…。
K大学付属病院で医者をしている進藤潤は、職場も仕事も同じ大堂高史を想い続けていた。だが、学生時代より天才と称えられ、その整った顔立ちから、「冷たい瞳の皇太子」と異名を持つ大堂は、潤にとって遠い存在だった。そんなある日潤は盲腸で倒れる。何故か執刀医は大堂が受け持つことに…。お互いの胸の内を明かし、両想いだったことに気づく二人だったが、潤の不安は消えなかった-。同時収録「幸せになりたい」を含む、ふゆの仁子のハートエイクラブストーリー。
明治のおわり。群馬県前橋市のちいさな織物屋の末っ子として、裕福ではないが暖かい家庭で育った小野沢智和。進学の夢をあきらめきれない彼は、東京本郷にある老舗の茶問屋・南条家で書生をしながら、一高へ通うことになる。智和が仕えるのは、帝大へ進む貴臣という涼しげな切れ長の目が印象的な青年であった。旦那様にも奥様にも似ていないような、怜悧な美貌の-。周囲を拒み憑かれたように勉学する貴臣に、慈愛と尊敬を込めて仕える智和であったが…。
椎名淳史が国坂哲明と初めて会ったのは、高校の入学式だった。チューリップの向こう側、綺麗で無表情な瞳で、彼は淳史を見ていた。呆然と見つめ返したまま、動けない淳史を-。人並み外れて負けず嫌いの天才少年、淳史が恋をしたのは、へそまがりで男前の担任教諭。素直になれない二人だが、ゆっくりと、しかし情熱的な恋が始まる。最初で最後の恋が。書き下ろし“Lost in your eyes”を含む、ファン待望の高坂結城ファースト・ノベル。
自称「日本一わがまま」な、しかし極上のポスト鷲尾香。有能な通訳&秘書である穐谷絹一。対照的な人生を送る二人を、仕事上のほんの偶然が結びつける。ハードな毎日に身も心も疲れきっていた絹一は、鷲尾の持つ雰囲気に心地好さを感じる。そして、彼らはホストと客として契約をかわし、夜をすごした-。恋、ではない。だが、互いを愛しく想い、優しくしたいと願うこの気持ちは。大好評を博した小説b-BOY連載作品に、書き下ろしを加えた完結編。
チャイコフスキーコンクールで優勝を果たしたクラレスとスターシュ。名器「レギナ」を手放したスターシュに、クラレンスはグァルネリ作の「ディアボロ」を紹介した。憑かれたように練習を続けるスターシュをクラレンスは案じていたが、彼らは素直になれずケンカ別れをしてしまう。気まずいままスターシュはデビューのためNYへ飛び立ち、クラレンスはショパンコンクールへ向けて猛練習を重ねた。そんな時、クラレンスはジョルジュから意外な告白を受ける…。
最初に見えたのは喉だった。濡れた肌の色で綺麗にそらされた喉。それから少し開いた唇-。高校生活二年目も終わり、春休みが始まったある日。羽根智矢は中学時代からの友人四人と、冬から計画していた旅行を実行に移した。だが山荘に彼らが足を踏み入れた途端、洞院遥はある予感に襲われた。“ここに来てはいけなかった”と-…。時間を越えた哀しくも切ない愛を描いた表題作他、書き下ろしを含むモダン・ホラー傑作集。
藁科学園高校の廊下に、ある日写真が貼り出された。それは男子生徒が抱き合い、口づけている場面を隠し撮りしたものだった。写真の生徒の一人、則正和臣は学園中から攻撃され、顔が写っていなかった相手は誰なのかと追求される。その時、和臣の相手は自分だとクラスメイトの三条潮音が嘘の名乗りを上げた。潮音の真意がどこにあるのか-。複雑に絡み合う想い。そして、潮音に心を奪われた人ではない美しい生物が…。不破飛鳥、珠玉の描き下ろし小説。