出版社 : 学研パブリッシング
蜂須賀家政は、秀吉のエリート黄母衣衆ながら、川並衆頭領として秀吉を支える父・小六の高い壁を前に、悶々とするひねくれ者。信長の死後に躍進を続ける秀吉から、齢二十八にして阿波一国を任されるが、それはベテラン家老を七人も宛がわれた不本意な大抜擢。なにより阿波は国人や海賊の力が強い難治の土地。だが自身も川の民の出であり、体制側になりきれない家政は、武家とは反対のやり方で政に乗り出すが…。三千石からいきなり十七万五千石の国主にされた男の葛藤と成長、そして苦悩の末の関ヶ原での誰もが予期せぬ大決断!
吉田松陰によって、出会う前からおたがいの存在を意識したふたり。しかしー小田村伊之助の祝言に現われたのは、文の姉、壽だった。そして、松陰が文の相手に選んだのは、弟子の久坂玄瑞だった。それぞれの気持ちとは裏腹に、義理の兄妹となったふたりは、松陰の死、久坂玄瑞の死を乗り越え、再び惹かれあっていくー幕末〜明治の長州で、時代に翻弄されながらも真摯に生き抜いた小田村伊之助と杉文。幕末維新を見守り続けたふたりの愛の物語。
「伊織よ。今日からお前は、俺の息子だ」播磨の庄屋の次男・田原伊織は、叔父・武蔵に宣言されて、なかば強引に明石藩主・小笠原忠政の小姓にされた。武家の作法も知らず、剣すら振れない自分がなぜ?混乱し反発する伊織だが、自分の前にも武蔵に養子がいたことを知り、やがてひとつの結論にたどり着く。それは、剣豪という枠に収まりきらない男の、宿願とも云える壮大な野望だった!そして寛永9年、江戸城の将軍・家光御前試合で柳生の剣客と対峙した伊織は、この一戦に秘められた、幕府の真の目的を知ることになるー。小倉藩筆頭家老になった息子と武蔵ー異色の父子を描く!
深夜のレンタルDVDショップで出会った少女ールイ。知れば知るほど、彼女は遠ざかり、幻になっていくー。ルイとはいったい誰なのか?彼女はほんとうにいるのか?新しい純愛を描く切ないラブストーリー。第1回「本にしたい大賞」受賞作!
自分の絵を描きたいー手本を写すだけの絵に疑問を感じていた狩野源四郎。しかし、足利義藤(義輝)の「日輪を描いてみせよ」との依頼から己の道がみえはじめる。進む先に待つのは、新たなる狩野の創造か、それとも破壊かー松永弾正、織田信長ら時の権力者に愛された、安土桃山時代を代表する天才絵師・狩野永徳。彼が「洛中洛外図屏風」を完成させるまでの苦悩と成長を描いた話題作を文庫化。
『狩野を越えろ』-亡き祖父の言葉通り、自らの画道を突き進む狩野源四郎に、足利義輝から『予の天下を描いてこい』との依頼がー「洛中洛外図屏風」を手掛ける源四郎の苦悩に迫る下巻。織田軍と対峙する松永弾正のもとに一隻の屏風が送られてくる。描いた絵師の名は狩野永徳ー。『洛中洛外画狂伝』の後日譚である書き下ろし短編『白屏風と平蜘蛛』を収録。
1945年4月。二度目の本土空襲を受けた日本は、防空態勢の強化を余儀なくされた。しかし、米国は絶大なる工業力を背景に対日反攻を強化し、太平洋全域にわたる日本軍基地の同時多発攻撃を敢行。さらに、「A情報」による無線傍受で、米国が核爆弾の開発に成功したことがわかる…。ついに最終局面を迎えた連合国との大戦の行方は?そして「あずみ丸」のクルーの運命は?シリーズ堂々の完結編!
幕府と朝廷の公武合体を模索する勝海舟は、半兵衛に一人の密使の護衛を依頼する。朝廷に密書を届ける役目を託されたのは、茜という美しい娘だった。しかし、茜は道中で、謎の一団にさらわれてしまう。茜を救うべく、半兵衛は信州山岳剣法・大文字流開祖である大文字康介を捜して、信州の山奥に向かった。その秘剣谺返しを破った者は、一人としていない。果たして半兵衛は、この秘剣に打ち勝つことができるのか?
慶長五年九月十五日、関ヶ原の戦場に一人の男が舞い降りた。深紅の六文銭の旗を翻し、松尾山に駆け上っていくのは、真田軍の精鋭三千である。その先頭を切るのは、真田幸村であった。なぜ上田にいるはずの真田軍が、関ヶ原に現れたのか。その理由は、三年ほど前に遡る。医師の曲直瀬道三の診立てによって、己の命があと半年ほどで尽きることを知った豊臣秀吉は思い切った行動に出た。徳川家康が次の天下を奪うことを阻止するために、真田昌幸を豊臣家の軍師に据えたのだ。さらに、上杉景勝を秀頼の影の後見人とした。家康の魔手から秀頼を守り、豊臣の世を存続させるために、いま真田昌幸、幸村の壮絶な戦いが始まる。果たして真田父子は、家康の謀計を打ち砕くことができるのか!?
江戸で浪人となった青年・夏島丈衛門は、ひょんなことから“喧嘩最強”の経営指南所「唯力舎」に入門することになる。皆がおびえる腕っ節と抜群の頭脳を持つ若き女師範・たえ、あらゆる店の帳簿を一目で読み解く喜助、天才的な商売のアイデアを捻り出す冬、そして人の嘘は必ず見抜く平三郎たちとともに、「犬の接待」から「かたむいた大店の建て直し」まで、唯力舎に持ち込まれる難題を独自の“最善手”で解決していく。
南雲空母機動部隊、サンフランシスコ急襲!ハワイ孤立!原爆開発施設、壊滅!孤立無援のトルーマン、苦渋の選択とは!?羅門ワールドの新境地!堂々完結!!
信長の家老にして「米のように欠かせぬ男」と言われた知将・丹羽長秀。だが清洲会議で秀吉を支持し、越前・若狭・加賀123万石の大封を得たとき、丹羽家取り潰しの定めは決まってしまった!長秀死後の4万石への大減封、家臣団離散の中での小田原出兵、そして、北陸の関ヶ原「浅井畷」における前田家100万石との死闘…。風前の灯火の丹羽家に残されたのは、家中も「空論屋」と呆れる新米家老・江口正吉と、城オタクで人の好い若殿・丹羽長重、そして、あまりにも大きすぎる「理想」だった!理不尽に滅封された丹羽家の若き新米主従の空論で理想を貫いた、胸熱くなる闘いの軌跡!第19回歴史群像大賞入賞作品。
西国の雄・徳島藩の財政は、打ち続く幕府の「お手伝い」普請により破綻寸前となった。困窮の中、江戸上屋敷の算用方で将来を嘱望されていた美月清志郎は、突然「除籍」を宣告される。だがこれは、江戸家老の敷島雅楽頭による、藩を救うための秘策の一環だった。妻子と共に浪々の暮らしに追われながら市井の温かな人情にもふれ、清志郎は天与の算勘と剣の冴えで、不可能と思われた敷島家老の策を実現していく。
中国首脳部は、尖閣沖に続いてトンキン湾でも日本の海上国防軍に屈したため、海洋制覇をいったん中断し、紅軍の主力である陸軍の意向に沿って、戦略目標をロシアの沿海州とシベリア方面に変更した。そして、これに先立って、韓国と北朝鮮を統一させたうえで併合し、その戦力をもって沿海州に侵攻させる。一方、ロシアのプーチン大統領は、露朝国境付近に展開している兵力が最大時の半分以下に激減しているために、ウラジオストックの防衛は困難と判断し、日米両軍に出動を要請する。ウラジオストックをめぐる攻防の行方はいかに!?
信濃の要衝である高遠城を奪うことに成功した織田信長は、武田の息の根を止めるべく、自ら岐阜城を出陣し、諏訪に進軍を開始しようとする。しかし、そんな信長の行く手を遮るが如く、真田昌幸が尾張の清洲城を狙って不気味な動きを見せ始めた。昌幸は信長を倒し、新たな天下人となるべく、真っ向から戦いを挑んだのだ。一方、武田勝頼が窮地に陥ったことを知った上杉謙信は、越前攻めを中止し、信濃に向かうことを決意する。上杉軍が信濃に現れたことを知った勝頼は、武田の全軍を諏訪の総決戦に投入しようとする。しかし、羽柴秀吉や軍師竹中半兵衛などの活躍もあり、武田軍は確実に追い詰められていった。果たして謙信は、勝頼を救うことができるのか!?
剣聖・鬼無神兵衛が秋田藩の招きを受け、江戸を出たことを知った半兵衛は、その後を追った。半兵衛は旅の途中で、謎の一団に追われる名取敬之介という武士と出会う。ひょんなことから、秋田で行われる奉納武術大会に出ることになった半兵衛は、一人の老占い師に呼び止められた。占い師は半兵衛を見るなり、女難、男難、剣難、そして鬼難をはじめとする七難が降りかかるゆえ、気をつけよと予言するのだが…。
千住宿で舟運業者の寄合が押しこみに遭ったという噂が流れた。だが道中支配の勘定所に届け出はない。悪党から“夜叉萬”と畏怖されている北町の隠密廻り同心・萬七蔵に探索の秘密が下る。同じ頃、勘定所の役人が深川の妾宅で房事の最中に殺される。白昼堂々の鮮やかな手際は玄人のもので、助かった妾は白猫を見て悲鳴を上げた。翌晩、二十数年前に江戸を出奔した友が現れた。七蔵の胸に、亡き妻と三人で過ごした日々と悔恨が甦る。シリーズ第四弾!