出版社 : 学研パブリッシング
天正十七年、小田原。二年ぶりに帰参した豊臣秀勝は、真砂五右衛門からひとつの忠告を受けるー「敵は外ではなく、内にいる」。混迷する太閤・秀吉の天下。そこに下されたひとつの命。「天皇を助けて秀吉を討ち取った者が次の天下人である!」伊達、徳川、蒲生、細川、そして豊臣秀次・秀勝兄弟…。己の天下を目指して、皆が一斉に「秀吉の首」を狙う!果たして次の天下人は誰か?-。
「お前には天狗の血が流れている」…珍妙な遺言を父から受けた旗本の三男坊、草壁京之介。己の出自の謎を追って愛宕山へと向かったところ、曲者に襲われている太郎坊社の神職・覚之坊、木彫りの猿蔵と出会う。どうやら襲われた原因は、覚之坊が偶然助けた武家の妾・玉姫にあるらしい。おぼろげながら未来が見通せるという「天狗の力」を持つ京之介たち三人は、事件の背後に潜む闇の権力に立ち向かってゆく…。
東海の小藩笛木の元御花畑役・峠三左衛門に江戸再出仕の命が下る。藩邸の欠員補充だというが、三左は隠密御用だと睨んでいた。幕命で伐り出した御用木材の突然の出荷停止は、側用人・間部詮房の仕業との噂があったからだ。だが、江戸で三左を迎えたのは意外な人物で、若君・城太郎の悪い噂も聞かされる。そんな折、葵の御紋に不敬ありと老中より笛木に叱責が下った。周到に仕掛けられた罠の匂いを嗅ぎ取る三左の前に、幕閣の深謀が浮かび上がる。
武田家の新しい当主となった勝頼は、比類なき才を持つ真田昌幸を軍師とし、上杉謙信と和睦して、怒涛の進撃を開始した。徳川の領地である遠江に侵攻した勝頼は、掛川城、高天神城、作手城を次々に落とす。武田軍に一矢報いるために、家康は二俣城奪還を狙うが、見事に迎撃されてしまった。さらに、勝頼は昌幸が考えた大戦略を実行するために、美濃岩村城に二万五千の武田軍を結集させる。それは、徳川領を三河と遠江に分断し、家康をさらに追い詰める作戦であった。一方、越中を平定した上杉謙信は、能登・加賀を手に入れるべく、末森城に攻撃を開始する。小里城、足助城、大沼城、野田城、そして吉田城と、破竹の進撃を続ける武田軍を、織田・徳川軍団は止めることができるのか。
日本橋小網町河岸にある船宿「川澄」は、吉原に繰り出す客だけでなく、商談や休憩客で賑わい大繁盛。そこの腕利きの船頭・霧太郎は、亡き父の縄張りを継いだ岡っ引きでもあった。密通と思しき客の女が殺され、隣室にいた一人の侍が姿を消した。殺された老舗の女房と情を通じた大店の手代・卯之助を見つけた霧太郎は、南町同心の浦部と共に、卯之助と消えた侍を誘き寄せる策を仕掛ける…。新シリーズ、第一弾。
第八駆逐隊の駆逐艦四隻と共に、バリ島上陸作戦を敢行する今村支隊が乗った二隻の輸送船を護衛する特命哨戒艇四七号は無線・通信機器の性能向上を図った情報収集船でもあった。その通信室で敵機の音声通話を傍受して空襲を察知、八駆隊に警告し海上に煙幕を張り緊迫のサマール泊地を脱出する。だが、その先ではドルーマン少将率いる連合国艦隊(軽巡3、駆逐艦7)が護衛船団を待ち受けていた。これまでの連合国の通信情勢などを分析していた特命哨戒艇長・山口少佐は、この作戦を看破し、「近海を遊弋している帝國艦隊が救援のためバリ島方面へ急行」との偽情報を敵・味方の周波数帯を使って流した。戦力劣勢の日本は、絶対優勢の連合国艦隊を撃滅することができるのか!?-。
肥大化した陸海軍の硬直性を打破するため山本五十六が提唱して設立された戦力研究所(秘匿名S機関)は、今や陸海軍の上に立って対米戦の作戦を練り上げている。ヒトラーがソ連との不可侵条約を破棄して破竹の進撃を開始し、日本軍も南部仏印に進駐して、アメリカとの関係はますます悪化するばかりだった。最後通牒であるハルノートを突きつけられ、和平への道を完全に閉ざされた日本。是が非でも対米戦争は避けたかった山本だが、遂にS機関が準備してきた新兵器群で秘密作戦を決行せざるを得なくなる。日本は宣戦布告し、連合艦隊はすべての戦艦をハワイに向かわせて第一段作戦を展開するが…。
1944年5月、「バリ島南方沖海戦」後も、戦力に勝る連合軍は対日攻勢を強めてきた。南太平洋ではオーストラリアとニュージーランドの合同艦隊が、インド洋マラッカ海峡にはイギリス海軍と自由フランス海軍が侵攻を始める。日本は巧みな戦術で対抗するものの、1944年6月ついに、西の最前線である南アンダマン島に連合軍の上陸を許してしまう。独自の歴史を歩みはじめ、「A情報」というアドバンテージがなくなりつつある日本に、果たして勝利への道は残されているのか!?待望のシリーズ第10弾。
昭和16年12月に生起した東シナ海海戦(米側呼称:バトル・オブ・ミヤコ・アイランド)で見るも無残な敗北を喫した米海軍は、雪辱を期して「デラウェア級」をしのぐ巨大新鋭戦艦「コネチカット級」2隻を竣工させ、太平洋艦隊に編入した。昭和17年5月5日、米太平洋艦隊はハワイ・真珠湾を出港する。目指すは、日本海軍が主だった艦隊と基地航空隊を集結させているトラック環礁だ。中部太平洋の制海権をめぐって激突する日本機動部隊と米太平洋艦隊!日本は“航空要塞”トラックを死守できるのか!?-。
尖閣諸島近海で中国海洋局の漁業監視船と海上自衛隊の哨戒艇が武力衝突した。これは環太平洋全体の自国経済圏化を狙った中国の覇権主義の第一歩で、続いて沖縄、台湾の制圧を目論んでいた。国家主席の習近平は、大陸沿岸に中距離弾道弾を配備させる。一方、米国のNSA(国家安全保障局)は軍事衛星を使い中国の動きを日本側に通報し、日米両国はミサイルによる邀撃作戦を展開することになるが…。
内藤新宿に店を構える薬種問屋『蓬莱屋』の三男・三吉は、姑の薬代が嵩み、困り果てた御家人の新造の加代から、何とか五十両を工面してくれないかと相談された。媚薬も扱う同業の『玉泉堂』の女将・泉から、加代の淫水や和合水を採ってくるなら五十両を用立てても良いと言われた三吉は…。好評書き下ろしシリーズ第七弾。