出版社 : 学陽書房
「たとえ最後の一兵となっても、われらは義弘様を薩摩へ連れ帰ります。義弘様あっての島津家です。ここで殿を殺させるようなことがあれば島津は滅んでしまいます…」群雄ひしめく九州統一戦線(伊東家、大友家、龍造寺家との戦い)から、秀吉への抗戦、文禄・慶長の役、運命の関ヶ原敵中突破。戦国で無類の強さを示し、家臣に心底慕われていた戦国最強の男の激戦譜を描く。
最愛の父、祖父、許婚が殺された。幸せな家庭を築くという少女時代の淡い夢を無惨に叩き壊された女が選んだ道。それは男(直虎)となって愛する男達が作った「井伊家」を守り、繁栄させることだった!そして、直虎に見守られ小牧・長久手の戦い、関ヶ原大戦で活躍し、家康の天下取りを支えた名将・井伊直政。二人の奮闘の軌跡を描く長編小説。
父真田昌幸、兄信幸とともに天正壬午の乱を戦い、上杉家人質時に直江兼続と、上洛時には豊臣秀吉と出会い大きく成長した信繁(幸村)は、関ヶ原大戦では上田合戦において徳川軍を攪乱するも西軍は敗れ、九度山にて不遇の時を過ごす。大坂冬の陣・真田丸の激闘により真田の武名を轟かせ、夏の陣では後藤又兵衛、木村重成ら剛将とともに散り戦国に最高の輝きを放った男の生涯を描く傑作長編小説。
武勇にすぐれ、戦では天才的な巧妙さを発揮した立花宗茂。戦国乱世には、武勇を誇る英雄豪傑ならば幾人も出たが、そのなかにあって彼をひときわ際立たせたのは、その心術の高朗さにあった。極めて清潔にすぎる宗茂の人柄を見事に描きだした「立花宗茂」をはじめ、素材を九州にとった全十一篇を収録する至極の短篇集。
讃岐高松藩の微禄の士であった平賀源内は長崎で本草学(薬学・博物学)を研究、その物産会を開こうと大阪で鴻池や三井らの豪商と交渉、江戸へ出て最大の支援者となる時の権力者・田沼意次に近づく。大身の旗本の息子・藤次郎や、妻となるお桂、藩主・松平頼恭、上方の歌舞伎狂言作者などとの人間模様の中に、異能の人の息づかいが伝わる…。
維新の嵐、その片隅でそれなりの役割を勤める、どこかおどけた好漢ふたり。日本人のこころを洗うこの一冊。愛とは、幸福とは、人間とは、歴史とは何か。
沢井転と一平。二人を結ぶ不思議な縁。天誅組の義挙と新撰組の剣風の中で、因縁の二人は、どこへ流れてゆくのか…。日本人のこころを洗うこの一冊。愛とは、幸福とは、人間とは、歴史とは何か。
維新後、幇間となって反骨を貫いた幕臣、土肥庄次郎の生きざま。日本人のこころを洗うこの一冊。愛とは、幸福とは、人間とは、歴史とは何か。
尾張国愛智郡中村の鍛冶屋の子に生まれた夜叉若。喧嘩が強いだけではなく、才知に溢れ、井戸に落ちた少女を、あわてふためく大人たちを尻目に単身で助け出す。やがて母の遠縁に当る近江長浜の領主木下藤吉郎秀吉のもとに赴き家臣の一人に加えられる。そこには利かん気の少年福島市松がいた…。名将清正の少年時代と母と子の交流を描く。
信長の天下統一へ向けての戦いが熾烈さを加えてゆくなかで、主君羽柴秀吉に従い鳥取城攻撃など中国戦線へ従軍。やがて“本能寺の変”から“山崎の合戦”へ。若き日の虎之助清正の勇猛果敢さと、緻密で合理的な性格がしだいに頭角を表わし、つぎつぎに手柄を立てて行く…。部下、同僚、主君との交流のなかに名将の片鱗が爽やかに描き出される傑作長篇。
戦国の世に豊後領主の子として生まれながら、父や既成の権威に反発していた青年・大友義鎮(宗麟)の心をとらえたのは宣教師ザビエルだった…。九州に覇を唱えた乱世の雄である一方、芸術家肌で、常に進取の精神を失わなかったキリシタン大名・宗麟の多面的な魅力と波瀾の生涯に迫る。
作者は本書で、昭和前期を過去の歴史とは扱っていない。松岡洋右を通して外交とは何か、日本人の外交とはどんなものであったかを検証しているのである。そして、その検証から浮かび上がってくるさまざまな問題点は、現代日本の外交の問題とも密接につながっている。
「家老職はお家の引け際(改易、断絶)に役に立てばよい」昼行灯といわれた大石内蔵助が、時代の分水嶺となった元禄に、易きにつきがちな心を励まし、片落ちな裁定に生命を賭け、人間としての一分を貫き通すため四十六人の同士たちと共に立ち上がった戦いの日々を描く。
主君のうらみを晴らそうと燃える忠義の士たちも、筆頭家老・大石内蔵助の芸妓遊びや討入りに対するあいまいな態度に、徐々に団結が乱れ、分裂の危機が訪れる。まして土方と江戸に浪士が別れていれば、尚更互いに疑心暗鬼となる。その中で安兵衛は、江戸のリーダーとして上方と江戸を往復し、心をまとめていった。そして機は熟し、ついに内蔵助は立ち上がった…。
明治五年のマリア・ルス号事件では自ら特別裁判を開いて中国人奴隷を解放し、また賤称廃止、娼妓解放に尽力するなど、大江卓は政治家・社会事業家として独自の足跡を残した。誰もが出世栄達を望み、派閥争いに汲々としていた時代に大勢順応の生き方を嫌い、頑として己れの信念を貫き通した彼の人間としての魅力に迫る。
「俺はこの人のためとあれば命を棄てても惜しくなかぞ。」-西郷隆盛の人柄に惹かれた中村半次郎ーのちの桐野利秋は、得意の示現流の腕に冴えを見せ、「人斬り半次郎」の異名をとるようになった…。維新に賭ける志に生きた薩摩武士の若き日の情熱と颯爽たる生き方を描く。