出版社 : 宝島社
林市はなぜ夫を殺害し、その死体を切り刻んだのか?飢えのためにいきずりの兵士に身を任せ、一族により川に沈められた母と、少量の豚肉との交換で屠夫のもとに嫁にだされた娘…。嗜虐的な凌辱、獣のようなセックス、飢えと恐怖と絶望の果てに、林市が見たものは?中国社会の暗部を怒りと悲しみで描き、容赦なく人間性の最深部を抉る現代台湾フェミニズム文学の最高傑作。
うだつのあがらぬ男、営業課課長代理(40歳)妻子あり。エキゾチックな女、営業課為替係(23歳)独身。男の転勤が決まった時、僕は、支店の書庫で寄り添うふたつの影を見た-。銀行員の恋は小説よりもロマンティック。
なにも知らない子どもだった私は、ロールのパパ、ママの愛人、かかりつけの医者に、つぎつぎと弄ばれ、どんどん悪い子になっていく。でも私はそれが嫌いじゃないみたい…。みずみずしいタッチと軽快なテンポで描いた少女ソフィの性の受難と復讐の物語。
人妻のベアトリスのアルバイトはヌードモデル。が、もちろん夫には秘密。男たちの視線の前におしげもなくさまざまな姿態をさらすたびに、彼女は生きる喜びにうち震える。そんある日、突然、…。ブリジット・ラエが、自らのAV女優体験をもとに、〈見られること〉で高まっていく女の官能を、大胆な描写とともにみごとに描きあげたエロティック小説。
1989年6月4日「血の日曜日」事件以来、事実上、発表禁止とされた莫言は、黙示録的小説「花兵を抱く女」をひっさげて、二年ぶりに文壇復活を遂げた。-地域共同体も血縁共同体も崩壊に瀕している現代中国農村の状況を的確に描き、新しい中国文学の胎動を伝える待望の第2短篇集。
旅の男との欲望の狂乱に身をまかせたアンジェール。灼熱の抱擁のなかで、過去の異常な性の体験を明かすうちに、彼女と男は、いつしか快楽と幻想の不思議な世界へと入り込んでいく。官能の嵐のなかで、常識人の心を痛撃し、欲望の源へとさかのぼる衝撃の物語。
19世紀末のロンドンで起こった売春婦5人の連続殺人。その手口の残虐さで、現代に語り継がれる『切り裂きジャック』事件を、著者現地取材により緻密に再現した猟奇のセミ・ドキュメント・ノベル幽界版ロンドン・ガイド同時収録。
人間とはなにか?私たちが生きるというのは、いったいどういうことか?今という時代を生きのびるために、そして根拠のあるよろこびと明るさをどこまでも持ちつづけ、問いを生きつづけるために、子どもの本を通して見えてくるものを等身大のことばと低い静かな口調で語りかけるもうひとつの児童文学入門。
資金量では第一勧業銀行に抜かれ,収益性では住友銀行に抜かれ,かつての都銀第一位の名声にしがみついているF銀行。この病める大銀行に就職した若き銀行員の体験。そこは、想像を絶する奇妙な世界だった。
租界都市上海・植民地都市香港を舞台に、美しい祖国への夢破れアイデンティティーに苦しむイギリス華橋と腐りきった旧制度の大家族に心底愛想をつかしながら逃れるすべのない女性のロマンスの行方を描く「戦場の恋」他、6篇を収める。崩壊していく文明の本質を鋭く問い直す恋愛小説集。シリーズ完結。
ゴッホ今泉のイラストが発端だった。肌を鱗に覆われた爬虫人類たちが恐竜に跨り、荒野を駆け巡る-。その世界に衝撃を受けた榎戸洋司が、彼らの生き様を書き下した。超ファンタジー小説集。
さまざまな虚構が重層的に広がる台湾-その混沌とした現実を見据え、現実もまたひとつの仮象にすぎぬという醒めた認識に立ちながら、甘美な幻影の中国と現実の台湾の狭間に生きる人びとの生の実質を生活者と同じ目の高さで描き切る待望の短篇集。
古くからの宗教的救済と現代文明への渇望と混沌が渦巻くチベット社会-そのチベット民族の歴史文化、民族の運命をまるごと掴むべく、循環あるいはねじれた小説時間の手法を駆使して描く新しいチベット文学の全貌を伝える待望の短篇集。
性のモラルを重層的に展開する表題作「藻を刈る男」をはじめとする「詩的恋愛」「上海から来た愛人」で、旧い伝統的モラルを批判し、また「春蚕」「質屋」で、世界恐慌と外国列強の中国侵略を背景に中国農村の疲弊を描き、力強い社会批判を試みる茅盾のリアリズム作家の本領を伝える待望の短篇集。