出版社 : 実業之日本社
駿河湾沖海戦で、アメリカ艦隊を撃破した藤原ら日本の自衛軍だが、双方の被害は甚大であった。さらにアメリカ側の巧みな情報操作で日本国内の世論は、自衛隊に対する非難も強まっていた。そうした四面楚歌の中で、藤原たちはアメリカ側の反撃を確信しつつ、新鋭戦闘機ランをスクランブル待機させていた。やがてアメリカは、状況打波のために、遂に核ミサイルを使うという噂が流れ出した。日米間は最悪の状況を迎え始める-。
紅白粉の行商人・藍三郎にはもう一つの顔がある。それが世間の外道を闇から闇に葬る女装の死客人・夜霧のお藍だ。彼は幼い頃に両親を惨殺した仇敵を捜しながら暗黒街に生きていた。仇敵の名は元蔵といい、右肩に『死人彫り』をしているという。復讐の神にすべてを捧げたお藍の行く手は夜の大海よりも暗く果てしがない-。
ディレクター、俳優、脚本家など、テレビの魔力にとりつかれ、がむしゃらに走ってきた男たち。人生半ばにさしかかったとき、彼らがのぞんだものは…。テレビ業界に渦巻く人間群像を描いた人気脚本家初の小説集。
空母インデペンデンスを撃沈させられたアメリカは、日本に対する報復攻撃を開始した。ステルス爆撃機によるピンポイント攻撃は、日本の入間基地に向けられた。航空自衛軍の最新鋭戦闘機「ラン」のパイロット藤原は、間一髪で入間基地を飛び立ち、巡航ミサイルで滑走路を攻撃したステルス爆撃機を追う。ランのアクティブ・フェイズド・アレイ・レーダーは、一度に複数の目標に攻撃を仕掛ける事ができる。「さぁ、入間の滑走路を潰したツケを払ってもらうぞ」操縦桿の上端にある発射ボタンに、親指を伸ばして載せた-。
バラに囲まれたロッキングチェアの上で女優の絞殺死体が見つかった。被害者は往年の名子役だったが…。(『バラの中の死』)。マンションの上の階から赤い傘が落ちてきた。そこには遺書らしきものが留められていて…。(『炎天下の密室』)。切れ味鋭い本格ミステリー10編。
南関東大学の学長が、プロ野球の球団を持つと言い出した。なにしろこの大学、自慢できるものは野球だけ。しかし学生数の減少で大学経営はジリ貧状態。そこで思いついたのがプロ野球への進出だった。それからがテンヤワンヤの大騒ぎ(南関東大地震)。ほか傑作ショート・ショート集。
わたしは、比嘉絵理子。ラハイナで生まれ育った日系三世。ハワイ大学を休学中のわたしには、ホノルル市警のアンダー・カバー(秘密捜査員)という、もうひとつの顔がある。任務は、レイプや強盗、麻薬がらみのトラブルに巻き込まれた日本人を救うこと。バッジも警察手帳も持たず、危険地帯に潜入する。冒険心いっぱいのわたしには、うってつけの仕事なのだ。今日も愛用の拳銃片手に秘極捜査のはじまりだ。
漢武威流闘術を身につけ、九寸五分の鎧通しを武器に死客人稼業を続ける“夜霧のお藍”こと藍三郎は、もともと旅芝居一座の名女形だった。その眉目秀麗な彼が、暗黒街に生きているのには理由があった。幼い頃両親を惨殺した悪党を追い続けているのだ。藍三郎はつぶやく。「親父とお袋の仇敵が討てたら…、あとは、生きてる気もないんだ」-と。世間の悪党を闇から闇に葬る殺し屋“お藍”の阿修羅道を描く。
女性に、友人に、優しくすればするほど抜きさしならない深みにはまりこんでゆく。しかしどうすることもできない…。男と女の心のジレンマを、名手がユーモラスな筆致で描き出す傑作長編小説。
郊外のニュータウンの新築の家、その一階と二階に住む二組の若い夫婦の間にくりひろげられるささやかなドラマが、しだいに悲劇の種をはらんでいく…。気鋭の書き下ろしホーム・サスペンス。
電器店店員、引越しヘルパー、証券マンなど、都会で生活する仕事のプロ9人にしかけられた悪意の罠。それは、きっとあなたの傍にも-。気鋭作家のブラック・ミステリー集。