出版社 : 実業之日本社
エロティシズムの極限の形が、あるいは破滅への道であったとしても、一度踏み出した歩みを止めることはできない。愛と死の幻想の果てに行き着いた官能のステージで繰り広げられる情念のドラマが、いま始まる…。鬼才が描く性愛文学の極北。
昭和十六年十二月八日、米国太平洋艦隊の本拠地パールハーバーを奇襲攻撃した帝国海軍は、太平洋上の米軍基地を次々に占拠した。ガダルカナル島をはじめソロモン諸島全島に飛行場を建設、これを“浮沈空母”に見立て、米・豪の連絡線を遮断する大構想を立てた。しかしミッドウェー海戦に空母赤城ら四隻を失う敗戦の後、ガダルカナル島も米軍に奪取されてしまった。昭和十七年十月、ガダルカナル島ヘンダーソン飛行場の再奪取を目指し、帝国陸海軍は隠密作戦を展開する。高速戦艦金剛、榛名の艦砲攻撃と同時に陸軍歩兵部隊は夜闇にまぎれ、泥濘のジャングルを突き進む…。
大英帝国とオランダを叩け。ノモンハンの凄将・儀峨徹二中将率いる隼戦闘隊が、ヒトラーの要請を受け大英帝国爆撃作戦に飛び立って行った。手始めに、マレー沖空爆戦でイギリスの誇る不沈戦艦プリンス・オブ・ウェールズを撃沈し全世界が驚倒する大戦果を挙げ、パレンバン油田の上空に落下傘部隊の花を開かせた。
管理社会からはみ出したワルたちが集まる、トーキョー・ハラジュク。その一画で、格闘技フェスティバルが開かれていた。試合を観戦していたサトルは、最後の勝利者・幽鬼忍の壮烈な技に圧倒されてしまう。やがて、その幽鬼と自分が対決する運命になろうとは、思いもよらず…。
日本初の有人スペースプレーン・天翔の第一パイロツト・篠原は、第一回目のフライトで、壊れた人工衛星の回収を命じられる。第二パイロット・吉野の不注意で、危うく宇宙空間に放り出されそうになりながらも、無事に初フライトを成功させ帰還した篠原達だが、回収してきた衛星に重大な事実が判明する。何者かによって故意に破壊された形跡があるというのだ。いったい誰が、何のために、どうやって。謎が深まる中、天翔の第二回フライトのメンバーが発表された…。
才筆、栗本薫が描きつくす色と欲の浮世の真実。好色極まる人気俳諧師、井原西鶴は、遊女夕霧と深くなじむ。彼女は恋人・世之介と心中して生き残り、遊女になった女だった。交わりの最中、その世之介の影が浮かび上った…。
生体肝移植者が瞬時に老化し老衰死した。臓器移植企業クレアが開発したドナーアニマルが逃走し、弟子屈に現れた。道警本部刑事課長補佐の時、クレアに接触し左遷された摩周署防犯課長豊城警部は、世界新聞記者を偽称する軍畑泰司と組み、秘密保持のためドナーアニマル抹殺を企む巌童勉と部下のジラフに挑むが…。
駿河湾沖海戦で、アメリカ艦隊を撃破した藤原ら日本の自衛軍だが、双方の被害は甚大であった。さらにアメリカ側の巧みな情報操作で日本国内の世論は、自衛隊に対する非難も強まっていた。そうした四面楚歌の中で、藤原たちはアメリカ側の反撃を確信しつつ、新鋭戦闘機ランをスクランブル待機させていた。やがてアメリカは、状況打波のために、遂に核ミサイルを使うという噂が流れ出した。日米間は最悪の状況を迎え始める-。
紅白粉の行商人・藍三郎にはもう一つの顔がある。それが世間の外道を闇から闇に葬る女装の死客人・夜霧のお藍だ。彼は幼い頃に両親を惨殺した仇敵を捜しながら暗黒街に生きていた。仇敵の名は元蔵といい、右肩に『死人彫り』をしているという。復讐の神にすべてを捧げたお藍の行く手は夜の大海よりも暗く果てしがない-。