出版社 : 実業之日本社
読むほどに心やすらぐ、温泉小説。恋わずらいもストレスも岩風呂、砂風呂、露天風呂お湯につかればどこへやら彼方に広がる星空にあなたとふたりの願いをかけて道後、城崎、湯西川…。湯盗り博士がご案内。
江戸を制圧した石田三成は、小田原城主に宮本武蔵を据えた。慶長18年関東が豊臣氏の版図になってから、天下は一見静かに見える。だが、奥州の地で渦巻く炎のような勢いでのし上がっている武将がいた。独眼竜の若き大名、伊達政宗である。徳川の残党は柳生一族の力を借り、幼君家光を沼津城より伊達領に脱出させ、新たな巻き返しを謀ろうとしていた。天下に再び戦乱の禍が…。
それは、旅行中の女子大生の失踪事件から始まった。いまだに消えぬ太平洋戦争の深い傷あと。東南アジアと日本を結ぶ麻薬機関の陰謀。日本の政界をゆるがす恐るべき犯罪の真相をさぐるため、私立探偵の中井が現地へ飛ぶ。そこで彼が見たものは-。書き下ろし社会派サスペンス。
特命武装巡察官とは、国家的大事件や広域事件を秘密裡に捜査するため、超法規的措置を許可されている者たちである。5年後に中国に吸収される香港島を、日本近海の無人島に移転しようと企む闇のシンジケート。その野望を絶つべく、巡察官・朱雀豪介が敵のアジトに乗りこんだ。
詩歌雑誌への投稿をきっかけに文通を始めた男女の間に芽生えた淡い恋心のゆくえは-?ピュアでハートフルな感性がきらめく新鋭が、愛し合う人びとの姿をさわやかに描く、珠玉のラブ・ストーリー。
「ベガスの虎」というと、いかにも強そうなタフガイを想像するが、じつは小柄な日本男児。ところが柔道の心得があって、素手で暴漢をやっつけてしまったから、その名をラスベガス中に轟かせることになった。そしてブロンド美人のディーラー・スーザンにも惚れられて…。書き下ろし痛快アクション。
ろうそくの炎が、戸口の脱衣場と方丈の湯殿を照らし出した。室内は、窓は一つもない。また天井は、太い格子で封じてあった。「本当に、ここで殺されたのだろうか…?」業平は夏雄から手燭を受け取り、簀子に倒れた温子の全裸の体を凝視した。「惜しい…」素直な言葉が、胸の内から浮き上がってきた。長い黒髪に、男心を引きつける、あでやかな容姿。まぶたを閉じた青白い顔には、苦悶の痕跡が、ありあり残っていた。
慶長5年9月、美濃関ヶ原で東西決戦が始まった。徳川家康対石田三成の覇権争いである。西軍優勢のまま闘いは推移するが、小早川秀秋の東軍への寝返りによって、石田勢は劣勢に追い込まれる。だが、突如怒涛のごとく小早川勢へ急襲をかけた軍がいた。宮本武蔵率いる武装軍団である。形勢は逆転し、小早川隊は潰滅。徳川家康は関東へ引き上げるが…。書下ろし長編歴史スペクタル。
東京アンナ、17歳。日本人の父親とアメリカ人の母親の間に生まれた混血児で、職業は、なんと内閣直属の秘密組織に属する殺し屋。仕事の指令を受けると、日本人ばなれしたプロポーションと美貌を生かして標的に近づき、鮮やかに任務を遂行してしまうから、狙われた方は大変だ。
くどいてくるのは全共闘世代のオジサンばかり。うれしいようなさびしいような、乙女心。高田馬場は、昔も今も青春まっただなかで-。著者初のエンターテインメント・ストーリー。
先輩の夫である上司の新田と親友の貴世美が不倫。景子はそれを知らされた瞬間、奇妙な不安を覚えた。親友ながら貴世美には得体の知れない“恐さ”があったのだ。案の定、他ならぬ新田は離婚後、悲惨な事故で亡くなってしまい、景子も会社をやめざるを得なくなる。それから5年、景子は着実に自分の道を歩きながらも、未だに貴世美の記憶に捉われている。ケジメをつける為に彼女は貴世美の消息を調べ始めるが、あるとき、どこからともなく、3回鳴って切れる無言電話がかかりはじめる。それで景子は1つの歌を思い出した…。
親に喜んでもらいたくて盗みを働く少年、親を困らせたくて自分の家に火をつける兄弟…。小さな心の奥底で密やかに増殖する悪意を、冷徹な筆致で描く、気鋭女流作家迫真のサスペンスノベル。