出版社 : 岩波書店
倫 敦 塔 カーライル博物館 幻影の盾 琴のそら音 一 夜 薤 露 行 趣味の遺伝 解 説……(江藤 淳) 注…………(石 井 和 夫)
唐代伝奇小説の一篇である『遊仙窟』は奈良時代に伝来してわが国文学に多くの影響を与えた。しかし中国では早く散逸、その文学史的意義を認めたのが魯迅であった。本文庫は魯迅が序を寄せた川島校点本を底本とし、翻訳にあたっては敦煌文書の研究成果にも拠って、華麗な原文の趣きを伝えるべく努めた。巻末に貴重な醍醐寺蔵古鈔本の影印を付載。
1937(昭和12)年、公刊した岩波初版本の戦後初めての復刻。〓東・私娼街の女性との交情とその別れを描いた詩味豊かな名作。荘八の挿画はその情況を活写。五号総ルビ、別丁挿画34丁を収めた著者自装の美本。
鮮烈なイメージと豊かなストーリーで織りなされる30の連作短篇集。1つずつその直前の話を映し出し、最後の話がウロボロスのように最初の話につながって、我々をめくるめく意識の迷宮、不思議の宇宙へと誘う。人間の存在を映し出すこの鏡の世界の物語は、『モモ』『はてしない物語』とならぶエンデの代表作。
三年まえ友人平岡への義侠心から自らの想いをたち切った代助は、いま愛するひと三千代をわが胸にとりもどそうと決意する。だが、「自然」にはかなっても人の掟にそむくこの愛に生きることは、二人が社会から追い放たれることを意味した。
アンナは兄オブロンスキイの浮気の跡始末に、ペテルブルグからモスクワへと旅立った。そして駅頭でのウロンスキイとの運命的な出会い。彼はアンナの美しさに魅かれ、これまでの放埓で散漫だった力が、ある幸福な目的の一点に向けられるのを感じる。
激しい恋のとりことなったアンナは、夫や子どもを捨て、ウロンスキイとともに外国へと旅だった。帰国後、社交界の花形だったアンナに対する周囲の眼は冷たい。一目愛児に会いたいという願いも退けられ、ひそかに抱くひとときがアンナに与えられるのみだった。
アンナは正式な離婚を望む。が夫は拒否。ウロンスキイはアンナを愛したが、社交界で孤立してゆく彼女に次第に幻滅を感じる。絶望したアンナはついにホームから身を投げる、「これで誰からも、自分自身からものがれられるのだ」とつぶやきつつ。
うんたまぎるー参上。重力のくびきを脱し、夢と現実、善と悪の境を自由にまたぐ沖縄伝承の義賊。ときは幕末、沖にペリーの黒船が寄せ、宣教師ペッテルハイムの聖書と天文学が琉球古来のコスモロジーをゆるがす。世界史の実験場、驚天動地の舞台だ。さあ、活劇が始まるぞ。床屋のテルリン、娼妓のチルー、はては豚からノミの目まで、カメラ・アイを移動する語りのSFX。