出版社 : 岩波書店
恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇恩讐の彼方に・忠直卿行状記 他八篇
有名な九州耶馬渓、青の洞門の伝説を小説化した『恩讐の彼方に』、封建制下のいわゆる殿様の人間的悲劇を描いた『忠直卿行状記』は、テーマ小説の創始者たる菊池寛の多くの作品中の傑作として知られる。他に『三浦右衛門の最後』『藤十郎の恋』『形』『名君』『蘭学事始』『入れ札』『俊寛』『頚縊り上人』を収める。
濹東綺譚濹東綺譚
取材のために訪れた向島は玉の井の私娼窟で小説家大江匡はお雪という女に出会い、やがて足繁く通うようになる。物語はこうして〓東陋巷を舞台につゆ明けから秋の彼岸までの季節の移り変りとともに美しくも哀しく展開してゆく。昭和12年、荷風(1879-1959)58歳の作。木村荘八の挿絵が興趣をそえる。