出版社 : 廣済堂出版
南郷弁護士の助手・金丸京子のもとに、山で遭難死したはずの親友・宮川秋子から、パーティの招待状が届く。南郷とともに出掛けると、出席者の1人がまるで神隠しにでもあったかのように、突然いなくなってしまう。秋子と一緒に山に登った仲間たちも、その後、次々と消えてしまう。いったい死者が、何のために?幽霊を追う南郷の名推理と意外な真相。
山形県・赤湯温泉のクラブ『夜会』に、派遣コンパニオンで失踪一週間になる小野川利美から「殺される!」という緊迫した電話が入った。警視庁捜査一課の北条千里警部は、東京にいる利美の恋人で生命工学の研究者・松山勇二の身辺を探る。高級な天然香料を人工的に造り出す松山の技術が巨大な利権を生むことから、開発プロジェクト内に暗闘があることを知った千里は、利美がその渦中に巻き込まれたことを直感する。だが、警察を一歩先んずる犯人は、まず秋田にいる利美の両親を惨殺した。犯人の次なる狙いを読んで、女刑事が東北道を疾走する。
CIA不正規作戦部隊ティーム・ストライカー隊長のオリビア・レッドパワーズが、テロリスト“笛吹きイワン”抹殺の秘命を帯びて来日した。首都・東京ではイワンによる残虐な無差別殺人が連続しており、影なき標的を急追したオリビアは、背後に存在する謀略“ダーク・サマー”を暴き出す。だが、その筋書とは別に新生の叫びをあげた若き野獣がいた。
内閣調査室副室長からオチコボレ親子探偵、冴木涼介・隆の事務所へ来日した東南アジアの島国ライールの王女ミオの護衛依頼がきた。だが、政情不安、王位継承で謀略渦巻くお国柄。政府筋に雇われた殺し屋が隆たちを狙った暗躍しはじめる。その間隙をぬって「カマル教団」がミオを本国へ連れ去ってしまう。ミオを追って親子はライールに飛んだが。
鬼同心・鬼頭一角が率いる捕方組に目潰しを喰らい視力を失った剣豪・京極斑鳩之介は、一枚絵にもなる女の許に匿われる。そこで起臥する人々の情と欲望に触れながら、捕方の動静を窺う斑鳩之介は、追手が次第に迫りくる気配を感じ取る。密かに居を変える斑鳩之介だが、執拗に首を狙う鬼頭は斑鳩之介昵懇の女を拉致し、陰惨な罠を張りめぐらせる。
酒に酔って妻に暴力をふるう夫を、同居の義父が殺害した。目にあまる娘婿の横暴を止めようとして、逆に襲いかかられた末の悲劇であった。過剰防衛か殺人かを争う法廷に立つ証人たちの口から、次々と意外な事実が明かされ、裁判官同士の判断にも微妙なズレが生じ始める…(「許された殺意」)。ほか。
極秘計画の推進本部長・矢住が殺害され、その立案書が略奪された。会社首脳部は情報室長の刀根明にプランの奪回を命じた。好色漢だった矢住の身辺から調査を始めた刀根は、まず矢住の秘書を己の肉体の虜にし、愛人、部下、そして矢住の妻たちを大胆に、奔放に、性の快楽に溺れさせながら事件の真相を追及してゆく…。長篇官能サスペンス。
悟空の秀吉は、前田犬千代の猪八戒、河童忍びの沙悟浄、蜂蜘蛛党の小六と共に、松平竹千代(後の家康)に化けた七匹の豆狸妖怪を使い、今川の人質となる前に信長と密約を結ばせんと計る。めざすは天下布武の剣を揮っての似非仏殺、穢土破壊と希求浄土であった。曳馬城の希沙姫に憑いた猿掛神社の本尊キサル姫にぞっこん惚れられ悟空は再び五台山へ…。
“博多どんたく”の群衆の中と、翌日の上り特急「あさかぜ」の中で男が次々と刺殺された。「まつお」というダイイングメッセージから同じ車輌に乗っていた共通友人松尾浩史への容疑が深まっていった…。二つの刺殺事件の接点を求めて捜査は二転、三転し、やがて犯人を追いつめるが、捜査人の前に二重密室の完璧なトリックが重くのしかかってくる…。
秀吉が唐入りの大号令を発した年に明国で「西遊記」の初刻本が出版された。「これは余の前世を記した書物じゃ」と秀吉から家康に渡った初刻本は、今も日光山輪王寺に秘蔵されている。東海神州の一角、尾張の吉法師(信長)に転生した三蔵法師を慕った孫悟空は、童のひよしに憑り移り、ここに「悟空太閤記」の雄渾な物語が始まった。
幕府小姓組番頭を失脚し、絵師となった朝霞桔梗之介は、絵修業のため奥の細道を旅していた。だが道程は、景観を画布におさめるどころではなく、群れるように現れる悪党を斬り、色香漂う女とたわむれる有様であった。一寸先も見えぬ旅空の下、桔梗之介が触れた人間の業と存在無用の武士。抜き討つ刀が悪を両断し、また新たな辻へと立ち入る…。
我が親父・冴木涼介は、東京・六本木に事務所を構える私立探偵。だが実際はずぼらで頼りがいゼロ、そのうえ女好きという、まったくの不良中年、アパートの大家さん・圭子ママの特別優遇で健気に生きてる僕・隆が、適度な不良高校生なのは仕方がない。そんな親父が密かに狙っている、僕の家庭教師・麻里さんが奇妙な事件の依頼主を連れてきた…。痛快アクションミステリー。
東京デパートに就職した西沢雄太郎。採用理由は、最も女にもてそうにない醜男で女の職場に害を及ぼさない、というものだった。だが、会社の思惑とは裏腹に女運は彼に味方した。社員の姉妹や母娘、美人秘書たちの数々の名器、珍器をものにしながら、西沢はデパート内に異彩を放ち、着実に出世の階段を昇りはじめる…。官能サクセス・ストーリー
八ヶ岳周辺のゴルフ場にゴルフバッグに詰められた女性のバラバラ死体が分散して送られてきた。長野県諏訪署の道原伝吉刑事は、すべてのバッグの送り主である東京の開業医、赤城貫三郎から捜査を開始する、が、事件は怨恨の線が強く迷宮入りかにみえた。だが、道原の執念は数年前に起きた赤城医師の医療ミスに辿りついて…。長篇山岳ミステリー。
秘密クラブで獣姦ショーを楽しみ、淫らな夜を過ごしたTVディレクターの伊沢亮。だが、クラブ内で同行した友人が射殺され、容疑は伊沢に…。真犯人を追う伊沢だったが、倒錯した性の誘惑と不可解な殺人事件が、解決を闇にとざしたー。やがて、政財界を操るフィクサーを嗅ぎ当て、彼の別荘に乗り込むが…。そして、そこで見る妖しい世界とは。
石山慎太郎の恋人である竹下好美は、寝床をともにした男に対して、予知が働く奇妙な能力を持った女だった。将来を誓い合った二人は、夜毎に慎太郎のマンションで愛の交歓を行なっていたが、ある時、絶頂を迎えた好美は、慎太郎が会社で主任に昇進することを予見した。出世内定を無心に喜ぶ慎太郎の傍らで、好美はなぜか悲しげに涙を流す。その理由は-。また、二重人格が高じてタイプの違う2人の男と付き合いだした女や、毎夜、夢で見る女と現実に出会って戸惑う男など、フツーと少しズレた癖を持ち、体験をする者たちの姿を軽快に描く短篇集。
連城重吾隊長が鬼道組を離脱し、残された上条と麗子は懸命に動揺を抑え、宿敵ダブル・クロスの急所を探る。指揮官・水上の邪悪な野望を挫くべく、ザルツブルグの敵本拠地に急襲をかける上条と麗子。だが、彼らの見たものは、復讐の鬼神と化し殺戮の限りをつくす連城の弧高なまでに猛々しく血に飢えた姿であった。新・野獣舞踏会シリーズ完結篇。
音楽教師・杉山博之が変死した。杉山が勤務する音楽教室の主宰者・高川伸男は、事件の真相追及を探偵・浅見光彦に依頼する。浅見は、杉山の祖母サキが恐山のイタコであり、「博之は北から来る何かによって殺される」と予言していたことを知る。だが、高川もまた不審な死を遂げてしまう。杉山と高川のかつての教え子・藤波紹子の協力を得て、サキの不可思議な言葉を追い、浅見は北へと旅立つが…。本格長篇推理。