出版社 : 廣済堂出版
動乱の時代を迎えようとしている安政年間、第13代将軍・徳川家定の後継ぎを巡って水戸・一橋党と紀州・南紀党は熾烈な勢力争いを繰り広げていた。南紀党を率いる紀州藩付家老水野忠央は老中首座の阿部正弘を暗殺、一方、一橋党も忠央や井伊直弼の懐刀長野主膳の暗殺を企てるなど、攻防は一進一退を繰り返していた。そんな折、一橋党の首魁水戸斉昭が失脚、直弼の大老就任が突如実現したことで形勢は傾くが…。
幕府小姓番頭という職を失脚し、絵師となった朝霞桔梗之介は、再び拓かれようとしていた武士の道を拒絶して、芭蕉が辿った奥の細道へ絵修業の旅に出る。景観を画布におさめる道すがら、偶然出会う妖しい女との困果で一刻たわむれ、経路を外れることしばしの道中であった。しかも、次々と行く手に現われる悪党に時の政治の腐敗を垣間見る桔梗之介は、自らの掟に従い、眼前に群がる悪を一刀両断に斬り捨てていくー。
新婚旅行中、誘拐された妻を救出に、南アルプスの八紘嶺に向かった医師・武宮章吾は、無事妻を救出。誘拐犯は山中から変死体となって発見された。一方、川崎ではホステスが自宅ベランダから転落死していた。山中での変死体と疑惑の転落死。二つの事件の同一線上に浮かんだ一人の男とその殺意。完全なアリバイに守られた男の才略を打ち砕くため、章吾は不審死を遂げた女が残したメモを頼りに事件を洗い直すが…。
「無縁坂で起きた人妻の自殺を洗い直せ」という密告電話がかかってきた。夫、青山の取材を進める新聞記者の白井浩介は、数年前にも彼の前妻が事故死し、多額の保険金を手にしていることを知る。その矢先、彼の愛人が惨殺死体で発見され、妻殺しと共に青山への容疑を深めた。だが、青山が完全な密室状態で殺害され、事件は振り出しへと…。地道な密室殺人の謎解きから、やがて意外な人物が浮かびあがってくる。長篇本格推理。
アメリカで、ボーイング747撃墜、ソ連大使館参事官補殺害、と重大テロが続発した。CIA長官はこの機に組織内の厄介者ティーム・ストライカーを一掃すべく、鬼道組を投入する。敵の本拠を襲撃し、連城たちは、ついに魔王の兵士ノーマン・J・ストライカーとの決着の時を迎えるが。
雑誌のルポライター加藤悦子が六本木の自宅マンションで、自殺を装って毒殺された。警視庁捜査一課の北条千里刑事官は、悦子が狙っていた特ダネの内容を探る始める。その頃、別府と姫路で六本木の殺しと同一犯人の仕業と思われる殺人事件が発生した。被害者はいずれも医師で、20年前に行われた体外受精治療に接点があった。北条たち特捜本部は、治療を受けた会社員・瀬川夫婦とその娘朝香に事情を聞き、現代医療の先端を迫って悦子が掴んでいた驚くべき事実に突き当たった。だが、後手に回る警察を嘲笑うかのように、第四の殺人がー。
薄れゆく下町人情、女と男の粋。蘇る昭和の面影に郷愁が馳せる。平成の夜明けを前に、昭和を哀しくも毅然と生きる料亭の女将と、見守り続ける男の姿を描いた本書初収録の表題作『ぐい呑み』ほか、人情の機微が興趣深い珠玉の自選短篇集。
謀略組織ダブル・クロスの罠によりほぼ潰滅状態に叩き込まれた傭兵部隊鬼道組。再建の途を模索するメンバーの1人美好静は、東京で1人の男の爆死を目撃する。翌日、死んだ者の仲間という男・倉本が静の前に現れ、その直後、2人にショットガンの容赦なき銃撃が浴びせられた。間一髪危機を逃がれた静は、倉本たちが造り上げた軍事用筋肉増強剤をめぐる謀略に巻き込まれていることを知る。静は、鬼動組本部鬼の城に連絡をとりながら敵の本拠高尾山へと向かうが、彼女を待っていたのは忌まわしき仇敵ダブル・クロス指揮官の水上龍孝であった-。
テレビ番組の抽選で高価なスポーツカーが当たった男が応募ハガキの住所に存在しないという事件が起き、謎の運転者を探すディレクターの一人が殺された。一方、西伊豆と広島から首のない同一男性のバラバラ死体が発見され、警察は身元確認にやっきになっていた。そして、東京の井の頭公園に浮かんだ18歳の女性の溺死体。-なんの脈絡もない三つの殺人事件がしだいに一点に収束していくサスペンスを描く長篇推理。
堅固な絆と規律によって統率され、膨張をつづける新選組。尊王攘夷を唱える浪士を斬り、脱盟する同志に制裁を加えることで隊の存在を示威していた。だが急速に勢力を拡大し、薩摩藩と連合を組んだ長州藩は、近藤勇や土方歳三の思惑を無視するかのように不穏な動きを見せる。時代が大政奉還へと動き出すなか、かたくなな姿勢を貫き通す新選組は勤王の波に圧されながらも、鳥羽伏見の戦場へと駆り立てられていくー。
突然三人組の男に襲われた麻生徹と恋人の未果。強姦された彼女は徹の前から姿を消し、自殺を図った。憔悴しきった彼は男たちに復讐を誓い、三人の行方を追う。だが、その矢先、弟の久志が事故を装って殺され、しかも父親までが密告による脱税容疑で逮捕されてしまう。三人組の目的は?そして男たちを操る黒幕とは!?やがて、真相を追及する徹の前に現れた意外な人物に、彼は怒りの炎を向ける…。長篇バイオレンス。
新陰流の達人京極斑鳩之介は、いわれなき辻斬りの罪をきせられ、遠島となった。辛くも江戸に舞い戻った斑鳩之介は、何者かに娘を狙われているという商家紅屋の用心棒となる一方で、真の辻斬りを追う。杳として手懸かりが掴めないまま、ある晩、斑鳩之介の不在を衝いて紅屋に火が放たれ、娘の秋が連れ去られた。卑劣な奸計の裏を手繰り、自分を陥れた狡猾な同心鬼頭一角に行き当たった斑鳩之介は、怒りの秘剣を揮う。
見知らぬ男から完全犯罪殺人の方法を囁かれた坂田陽三。彼は酔った勢いで上司の藤田を殺したいと洩らす。その数日後、藤田が突然心臓麻痺で死亡し、陽三宛てに殺しの請求書が送られてきた。殺人の報酬に対し支払いを拒否する陽三だったが、恋人の殺害が警告され、その彼もまた…。窮地に追い込まれた陽三は、男の正体を探り、殺し屋組織の存在と驚くべき手口を掴むがー。奇抜なトリックを駆使した本格推理。
冴木隆の父親・涼介は、女に弱く、頼りがいゼロの私立探偵。そんな涼介に、モンローばりのグラマー美女ジョーンから来日中の必殺調毒師タスクを捜して欲しいとの依頼があった。ところが何を血迷ったのか、ジョーンは涼介にタスク特製の48時間後に効く毒をみまってくれた!!中和できるのはタスクが持っている解毒剤だけ。絶体絶命、どうする隆…。ドタバタ親子が繰り広げる、笑いとスリルいっぱいの探偵物語。
経済危機と反政府運動に揺れるパナマで、住菱商事の支店長が誘拐され身代金四百万ドルを要求された。統幕別室から離れた鬼道組はこの事件に当たりパナマへ潜入。実態を追う連城たち精鋭は背後に潜むCIAと魔王の兵士・ノーマンの陰謀を掴み、支店長救出のため密林深く追撃する。
菅原道真の二十五代目で元侍従頭、現在は日本橋にある銭湯の主人・唐橋在家、通称杏之介は、光格天皇の政事に関わる重大な密勅を受けて、東海道を京都へと向かっていた。公家の慣習を嫌い改革を進めた杏之介が半ば追放という形で京を離れて以来の道中であった。だが、杏之介の存在に末だに嫌悪を抱く異母弟の陰謀により、道行き刺客に狙われる。執拗に迫る刃に立ち向かい、殪した杏之介が旅の果てに見るものは…。
中国人船員・陳を射殺した日笠耕介が留置場内で自殺した。事件は犯人死亡により一応の終息をみる。だが、東西新聞の戸部新太は日笠自殺と陳殺害の真相を探り、暗黒の麻薬密輸組織の実態を掴んだ。一方、警察も極秘捜査を進め、組織の潰滅を行なおうとするが、日笠の関係者が次々と殺され、その魔手は戸部にも向けられた。迫りくる敵の罠をかい潜り、戸部が桃んだ黒幕の正体とはー?長篇ハードサスペンス。
十七人の剣客により結成された新選組。将軍家警護を旗印に、日々尊王攘夷を叫ぶ浪士の首を狙って京の街を奔走していた。密使を疾らせ尊攘浪士の動向を追う一方、新選組内部では土方歳三、沖田総司らが対立関係にあった芹沢鴨一派の動きをも探る。倒幕のため着々と準備を進める尊攘浪士の動向と内部での分裂。情報が錯綜するなか、浪士決起の会合を池田屋でもつことを察知した土方ら精鋭は池田屋への道をひた走る。