出版社 : 廣済堂出版
テレビ番組の抽選で高価なスポーツカーが当たった男が応募ハガキの住所に存在しないという事件が起き、謎の運転者を探すディレクターの一人が殺された。一方、西伊豆と広島から首のない同一男性のバラバラ死体が発見され、警察は身元確認にやっきになっていた。そして、東京の井の頭公園に浮かんだ18歳の女性の溺死体。-なんの脈絡もない三つの殺人事件がしだいに一点に収束していくサスペンスを描く長篇推理。
不夜城・新宿歌舞伎町。ソープランドの裏の地下室に看板を掲げる『アべ芸能会』には、毎日70人もの“流し”が集まってくる。1日2百円で仕事場を保障してくれ、自らも35年のキャリアで6万曲を暗唱する流し界の名物親分・阿部丸三郎会長を慕う会員たちである。そんな一人ヴァイオリンの岡本が恋人殺しでしょっぴかれたからサァ大変。阿部会長が直接真犯人捜しに乗り出したー。人情味溢れる痛快ユーモア連作集。
堅固な絆と規律によって統率され、膨張をつづける新選組。尊王攘夷を唱える浪士を斬り、脱盟する同志に制裁を加えることで隊の存在を示威していた。だが急速に勢力を拡大し、薩摩藩と連合を組んだ長州藩は、近藤勇や土方歳三の思惑を無視するかのように不穏な動きを見せる。時代が大政奉還へと動き出すなか、かたくなな姿勢を貫き通す新選組は勤王の波に圧されながらも、鳥羽伏見の戦場へと駆り立てられていくー。
突然三人組の男に襲われた麻生徹と恋人の未果。強姦された彼女は徹の前から姿を消し、自殺を図った。憔悴しきった彼は男たちに復讐を誓い、三人の行方を追う。だが、その矢先、弟の久志が事故を装って殺され、しかも父親までが密告による脱税容疑で逮捕されてしまう。三人組の目的は?そして男たちを操る黒幕とは!?やがて、真相を追及する徹の前に現れた意外な人物に、彼は怒りの炎を向ける…。長篇バイオレンス。
新陰流の達人京極斑鳩之介は、いわれなき辻斬りの罪をきせられ、遠島となった。辛くも江戸に舞い戻った斑鳩之介は、何者かに娘を狙われているという商家紅屋の用心棒となる一方で、真の辻斬りを追う。杳として手懸かりが掴めないまま、ある晩、斑鳩之介の不在を衝いて紅屋に火が放たれ、娘の秋が連れ去られた。卑劣な奸計の裏を手繰り、自分を陥れた狡猾な同心鬼頭一角に行き当たった斑鳩之介は、怒りの秘剣を揮う。
見知らぬ男から完全犯罪殺人の方法を囁かれた坂田陽三。彼は酔った勢いで上司の藤田を殺したいと洩らす。その数日後、藤田が突然心臓麻痺で死亡し、陽三宛てに殺しの請求書が送られてきた。殺人の報酬に対し支払いを拒否する陽三だったが、恋人の殺害が警告され、その彼もまた…。窮地に追い込まれた陽三は、男の正体を探り、殺し屋組織の存在と驚くべき手口を掴むがー。奇抜なトリックを駆使した本格推理。
売れなくなった歌手北原季美と、破竹の勢いをみせるボクサー土方留夫。雑誌の対談で初めて顔を合わせた2人だが、土方の心には憧憬が、季美の胸には打算が宿っていた。私欲のために接近し、土方の将来如何では離婚を前提とした結婚を考えていた季美は、思惑通り幸運を掴んでいく。一方、世界戦への階段を順調に昇っていた土方は、リングへの恐怖心が募り、脅えた瞳のまま最強の敵に挑むが…『駆けゆくもの』。
冴木隆の父親・涼介は、女に弱く、頼りがいゼロの私立探偵。そんな涼介に、モンローばりのグラマー美女ジョーンから来日中の必殺調毒師タスクを捜して欲しいとの依頼があった。ところが何を血迷ったのか、ジョーンは涼介にタスク特製の48時間後に効く毒をみまってくれた!!中和できるのはタスクが持っている解毒剤だけ。絶体絶命、どうする隆…。ドタバタ親子が繰り広げる、笑いとスリルいっぱいの探偵物語。
経済危機と反政府運動に揺れるパナマで、住菱商事の支店長が誘拐され身代金四百万ドルを要求された。統幕別室から離れた鬼道組はこの事件に当たりパナマへ潜入。実態を追う連城たち精鋭は背後に潜むCIAと魔王の兵士・ノーマンの陰謀を掴み、支店長救出のため密林深く追撃する。
菅原道真の二十五代目で元侍従頭、現在は日本橋にある銭湯の主人・唐橋在家、通称杏之介は、光格天皇の政事に関わる重大な密勅を受けて、東海道を京都へと向かっていた。公家の慣習を嫌い改革を進めた杏之介が半ば追放という形で京を離れて以来の道中であった。だが、杏之介の存在に末だに嫌悪を抱く異母弟の陰謀により、道行き刺客に狙われる。執拗に迫る刃に立ち向かい、殪した杏之介が旅の果てに見るものは…。
中国人船員・陳を射殺した日笠耕介が留置場内で自殺した。事件は犯人死亡により一応の終息をみる。だが、東西新聞の戸部新太は日笠自殺と陳殺害の真相を探り、暗黒の麻薬密輸組織の実態を掴んだ。一方、警察も極秘捜査を進め、組織の潰滅を行なおうとするが、日笠の関係者が次々と殺され、その魔手は戸部にも向けられた。迫りくる敵の罠をかい潜り、戸部が桃んだ黒幕の正体とはー?長篇ハードサスペンス。
十七人の剣客により結成された新選組。将軍家警護を旗印に、日々尊王攘夷を叫ぶ浪士の首を狙って京の街を奔走していた。密使を疾らせ尊攘浪士の動向を追う一方、新選組内部では土方歳三、沖田総司らが対立関係にあった芹沢鴨一派の動きをも探る。倒幕のため着々と準備を進める尊攘浪士の動向と内部での分裂。情報が錯綜するなか、浪士決起の会合を池田屋でもつことを察知した土方ら精鋭は池田屋への道をひた走る。
伊賀忍者の上忍として暗躍していた石川五右衛門。伊賀八郷が織田信長の軍勢に襲われ、数ある組織が漬滅させられていしまう。かつうじて逃げた五右衛門一党は伊賀忍者の怨念を晴らすため、信長をつけ狙うが、信長は本能寺で自刃してしまう。さらに信長の意を継いだ豊臣秀吉の命を狙うが、服部半蔵一党の画策や風魔一族の攻勢に遭う。緊迫した政治状況下、命を賭して秀吉暗殺に狂奔する五右衛門を待ち受けるものは…。
身勝手でわがままな義夫にいいようにあしらわれ、苛立ちがつのるばかりの美沙子は、ある晩ついに別れ話をしに彼の家を訪ねた。ところが,義夫は頭に無残な傷を負い、意識不明で倒れていた。恐ろしい光景に途方に暮れながら、ふと美沙子は思った-彼が死んでくれたら、面倒な別れ話なんてしなくても済んだわ-。義夫の後頭部にとどめの一撃を加える美沙子だったが、意外な人物がその一部始終を見ていようとは知る由もなかった…。日常生活のなかに潜む殺意を新鮮な感覚で鋭く描いた、傑作心理サスペンス。
女に敵する男たちに制裁を加えるため女だけで組織された国際秘密結社パイソン・レッド・クルー(PRC)。日本人で唯一の構成員である立花瀬奈は、化粧品会社のキャンペーンガール選考会として開催された裸の鑑賞会の裏側を、仲間と共に探る内に、悪辣な組織の実態を掴む。残虐な手段で一人ずつ抹殺していく彼女たちは、やがて最後の標的へと照準を合わせる。官能ハードバイオレンスの気鋭が送る傑作スーパーノベルズ。
日本が生んだ伝説の麻薬といわれる“甲竜”が世界各地に出回り始めた。各国機関から連絡を受けた内閣調査室は一人の若手係官に特命を下す。中毒者が巷にあふれ情報提供者が次々と殺されるなか、彼は怪しげな宗教団体を隠れ蓑に地盤を広げる巨大麻薬組織へと潜入し、命を賭して組織の中枢に迫りその巨悪を砕こうとする。だが、内調本部にいた裏切り者によって彼の母親が拉致された。若き天才捜査官の打つ手は…?-長篇痛快ロマン。
日光の山並みが青空に浮き上がる北関東の城下町。鬼塚探偵社に、一人の若者がある女性の捜索依頼にきた。その女性・徳大寺しおりを捜索するうちに、鬼塚はいくつかの過去の事件につきあたる。三人の若い男女の蒸発事件、そして文学賞受賞作家の謎…。やがて、凍てついた雑木林から白骨化した一つの遺体が発見される。若者は、なぜ“冬の旅”を続けたのだろうかー?私立探偵・鬼塚渉の推理がさえる長篇サスペンス。
偶然、通りかかった事故現場で、テレビ・プロデューサーの鷹取吾郎は、青年が残したダイイングメッセージ『金ぴかの猫…』を聞いた。彼は、男の死因に不審を抱き調査を開始するが、事件の背後にヤクザ抗争があり、その裏で暗躍する巨大組織が絡んでいた。次々と鷹取を襲う魔の手。彼に勝算はあるのか!?そして「金ぴかの猫」が意味する謎とは!?やがて、秩父山中に隠された組織の恐るべき実体を掴んだ鷹取だったが…。