出版社 : 廣済堂出版
身勝手でわがままな義夫にいいようにあしらわれ、苛立ちがつのるばかりの美沙子は、ある晩ついに別れ話をしに彼の家を訪ねた。ところが,義夫は頭に無残な傷を負い、意識不明で倒れていた。恐ろしい光景に途方に暮れながら、ふと美沙子は思った-彼が死んでくれたら、面倒な別れ話なんてしなくても済んだわ-。義夫の後頭部にとどめの一撃を加える美沙子だったが、意外な人物がその一部始終を見ていようとは知る由もなかった…。日常生活のなかに潜む殺意を新鮮な感覚で鋭く描いた、傑作心理サスペンス。
日本が生んだ伝説の麻薬といわれる“甲竜”が世界各地に出回り始めた。各国機関から連絡を受けた内閣調査室は一人の若手係官に特命を下す。中毒者が巷にあふれ情報提供者が次々と殺されるなか、彼は怪しげな宗教団体を隠れ蓑に地盤を広げる巨大麻薬組織へと潜入し、命を賭して組織の中枢に迫りその巨悪を砕こうとする。だが、内調本部にいた裏切り者によって彼の母親が拉致された。若き天才捜査官の打つ手は…?-長篇痛快ロマン。
日光の山並みが青空に浮き上がる北関東の城下町。鬼塚探偵社に、一人の若者がある女性の捜索依頼にきた。その女性・徳大寺しおりを捜索するうちに、鬼塚はいくつかの過去の事件につきあたる。三人の若い男女の蒸発事件、そして文学賞受賞作家の謎…。やがて、凍てついた雑木林から白骨化した一つの遺体が発見される。若者は、なぜ“冬の旅”を続けたのだろうかー?私立探偵・鬼塚渉の推理がさえる長篇サスペンス。
偶然、通りかかった事故現場で、テレビ・プロデューサーの鷹取吾郎は、青年が残したダイイングメッセージ『金ぴかの猫…』を聞いた。彼は、男の死因に不審を抱き調査を開始するが、事件の背後にヤクザ抗争があり、その裏で暗躍する巨大組織が絡んでいた。次々と鷹取を襲う魔の手。彼に勝算はあるのか!?そして「金ぴかの猫」が意味する謎とは!?やがて、秩父山中に隠された組織の恐るべき実体を掴んだ鷹取だったが…。
「おれと一緒にいると、あんたもあぶないぜ」「仕方ないわ」-惚れてしまったんだから。…ゆき江のうちにはげしい気持ちがおこっていた。どっちへいくか、今きめよう。そういうおもいで五郎吉を安蒲団の上へ誘い入れたー「残菊燃ゆ」より。ほかに「情炎黄八丈」「妾小路の惨劇」「廓姉妹」など、大江戸八百八町を舞台に、八人の女の妖艶にしてしたたかな恋のかたちを鮮やかに描く、洒落た味わいの時代物傑作集。
来日した中米の副大統領が帰国の途中、ハイジャックに遭遇し、消息を断った。外務省から人質の探索依頼を受け、中米へ飛んだ天才拳法家の野口は決死の救出作戦を始める。だが、副大統領を拉致し、政府転覆を企てる暗殺集団は執拗に罠を仕掛け、野口を襲った…。ゲリラ戦となった壮絶な死闘の末にASSの魔手から脱出した野口だったが、要人の誘拐監禁劇の裏では彼もまだ知りえぬ驚愕の謀略が…。拳聖シリーズ完結篇!
松井滝彦はフリーのカメラマンである。カメラの仕事をしていると、彼には何かが憑くという感覚にしばしば襲われることがあった。取材先で出会う超自然現象に、現実ともつかない夢ともつかない幽界を漂うことがある。特に、怨念に満ちた過去の男たちと女たちのどろどろした愛欲シーンを垣間見たり、あるいは彼自身が、現実の女か亡霊かもわからないまま、その女との愛欲に取り憑かれ、おぼれてしまうのだった…。ファインダーから覗く異形の世界を余すところなく描く、官能ミステリー。
東京・新宿の超高層ビルに謎の組織「至福教団」が出現して以来、都内で異常な事件が続発した。通り魔殺人、ポルターガイスト、さらには、突然身体が人肉花火のように爆発する超カマイタチ…街は恐怖に怯え、猟奇の世界と化した。果たして、この怪奇現象は至福教団の仕業なのか?そして教団の教義〈土竜の心臓〉とは?教団の正体を暴くため、陸自中央調査隊・陣内と内調・氷室の切れ者二人が手を組んだが…。スーパー猟奇アクション。
桜井家に名目上養子で迎えられた晃二は、年上の妻玉乃に采配を振るわれ、苛立ちがつのるばかりだった。いっそ妻を殺してしまえばー化学者である彼は、秘かに実験を続け、功妙な手口を見出した。実行に移すのは玉乃の誕生日を祝う夕食会で、しかも客人の目の前で堂々とやってのける!!周到に準備された計画には、一分の隙もないように見えたが…。日常の中にひそかに息づく殺意を鋭く描いた、傑作本格推理。
防衛庁に極秘で兵器製造を企てる西浦電工。産業スパイの伊坂征一郎は、西浦電工のライバル会社からの依頼を受け、西浦電工のOLや若妻たち甘美な罠に陥れ、その謀略解明に乗り出した。一方で、兵器売買と政財界を陰で操る黒幕・芦沢は、機密漏洩を恐れ、兵器バイヤーたちに伊坂の抹殺を指令する。次々と伸びる魔手をかいくぐり、伊坂が察知したものは…。著者渾身の長篇官能サスペンスミステリー!
南房総の海岸で3人組の男に襲われた冴子と母。だが、心の傷が癒えた頃に母は突然自殺をする。一方、男たちが残した1枚のフィルムについて父は口を開こうとはしない。孤独に犯人を探す冴子だったが、男たちは殺されてしまい、ネガフィルムが示す16年前のある出来事を軸として公判が開かれた。両親の秘密が明らかになり、二転三転する審理の末に弁護側証人として出廷した意外な人物は?著者会心の本格推理。
出雲の諸手船神事の夜、1年前に死んだはずの村の有力者、那智慶一郎が突如、美保関に現れた。時を同じくして、出雲歌舞伎で沸き返る加賀戸村に異変が起こりはじめる。村の宝泉寺の五百羅漢に火がともり、誰もいないはずの賽の河原には子守唄が…。不吉な予感がした基子は、友人の麻理子と素人探偵のたかしを呼び寄せるが、出雲七不思議の手毬唄どおり奇怪な殺人がつぎつぎと実行されていく。神話シリーズ第一弾。
新宿区役所近くで小さな傷害事件が起き、1人の若者が植物人間となった。被害者の白井は、新宿中央警察署の遊佐刑事の上司だった津田警部の娘を、3年前に4人で強姦し自殺へと追いやった1人だった。遊佐は職を忘れ、娘の死後退職し失踪した津田の影を追うが手掛かりは掴めなかった。数日後、L特急「しなの86号」のトイレの中で殺害された男が白井の仲間の井藤と判明した時、遊佐は津田の復讐だと確信し松本へ飛んだ-。だが、3年前の津田の白骨死体が発見され、事件は思わぬ方向へとむかう…。そして遊佐が出合った驚くべき人物とは…?
元ヤクザのタフガイ段伴大五郎とふと知り合った純真無垢な美少女、高野マミ。彼女は常識を超えた世間知らずのお嬢様だった。そのマミの父親が誘拐され、大五郎に救出依頼がきた。大五郎は昔の仲間4人を集め人質奪還作戦を敢行するが…。
大統領選挙に沸くアメリカ・ワシントンを震憾させる事件が続出した。ボーイング747撃墜、ソ連大使館参事官補ブコフスキー殺害-。CIA長官ウェブスターは、これを利用して組織内の厄介者ティーム・ストライカー壊滅をはかるが、追い討ちをかけるように直属法務官ナンシーが惨殺された。依頼を受けた地獄の傭兵部隊『鬼道組』は、敵の本拠地フォート・デトリックを襲撃。ついに隊長の連城と魔王の兵士ノーマンが対峠した。自爆シークエンスが発令されるなか、二匹の野獣は血みどろの死闘を繰り広げるが、この裏には驚くべき筋書きが用意されていた。