出版社 : 徳間書店
事件は四年前、新潟県・水道町の日和山海水浴場に近い砂浜で起こった。忽然と消えた少女。事件は北朝鮮がらみの拉致かと思われ、当時航空自衛隊百里基地に勤務する岬美由紀は不審船を追ってスクランブル発進した。そして2001年8月、岬の前に現れた北朝鮮の女性工作員・李秀卿!東京カウンセリングセンターに勤務し、『千里眼』といわれる岬美由紀以上に人の心を読み解く李の凄さ。二人を軸にして語られるエスピオナージュは国際サスペンスの全く新しい地平を拓く。物語はリアルタイムで進行するドキュメントタッチの緊迫感で、シリーズ最長の作品となったが、一気に読める痛快作である。
昭和三十年代初め、あらゆるタブーに挑戦し耽美と贅のかぎりを尽くした限定版豪華雑誌が話題となった。しかし、創刊から6号を数えて、雑誌『快楽殿』はあっさりと姿を消した。“幻の”といわれるゆえんである。盛岡でオンライン書店を営む矢城は、東北財界の重鎮・漆原より、『快楽殿』の6号を入手するよう依頼を受けた。数少ない手がかりを追う矢城を待ち受けていたのは、悪徳ブックハンターなど稀覯本を取り巻く闇の世界。そしてなによりも、『快楽殿』そのものが大いなるミステリーなのであった!傑作長編サスペンス。
高給をはみながら、国民銀行にたかり食いをする悪しき習慣、御身大切で、わかっていながら必要な金融施策を打ち出せず、保身に汲々とする幹部たち…中央銀行としての信頼感をすっかり失ってしまった日銀。このままでは日銀は本当にダメになる。広報課長の鷲見洋一は、行内改革のため今こそ立ち上がるべきだ、と同志を募った。まず、行内浄化、これが第一目標だ。鷲見たちは行動を開始した…。
早朝ミサの準備に、祈りを捧げようとした神父の目に、おぞましい光景が焼き付いた。極彩色のステンドグラスに照らされた祭壇のイエス・キリスト像の首が外され、代わりに生首が載っていた。ロス市警から目と鼻の先のヒスパニック系教会で起こった事件だ。現場に駆けつけたのは、ロス市警で狂竜“マッド・ドラゴン”の異名を持つ大倉竜也警部補と相棒の初級刑事クリス・ゴードン。現場検証をする二人が生首を見ると、首の切断面はパラフィンで覆われ、血液は一滴も垂れていない。「食いつきゃしねえよ」竜也が口をむりやりこじ開けると、中から小さく折り曲げられた紙が覗いた。開いてみると、508-22・07という数字が-。L.A.を舞台に日本人警部補が事件を追う超弩級の国際アクション誕生。
人の凶兆・不幸のみを予言する、謎の占い書「フォーチュンブック」。読者の連鎖的な自殺を誘発し、回収騒ぎにまで発展したこの本を、松本市のとある書店で偶然入手した、七人の男女。彼らは、運命の黒い糸に搦めとられ、それぞれの犯罪に手を染める。そして知らず知らずのうち、昭和という時代の“共犯者”の役割を演じることに…。錯綜する物語は、やがて、驚愕の最終話へ-!!連作ミステリーの到達点を示す、気鋭・北森鴻の傑作最新長篇。
21世紀半ば。清潔で無機的な都市。仮想的な均一化した世界で、14〜15歳の少女だけを狙った連続殺人事件が発生。リアルな“死”に少女たちは覚醒した。…闘いが始まった。読者からの応募による未来社会の設定を盛り込んだ画期的な双方向性インタラクティブ小説。