出版社 : 徳間書店
米国ロスアンゼルスで貧乏ジゴロ生活を送る榊武士に、ご機嫌なアルバイトが飛び込んだ。初老の中国男性一人をサンフランシスコからロスまで車で護送し二週間匿えば、五万ドルがもらえるという。しかも、超美女つきときた。断る理由がない。だが、ウラがあった。刺客ももれなくついてきたのだ!チャイニーズ・マフィアの抗争に巻き込まれた優男に、一世一代の勝機は訪れるのか。
紅花問屋“佐渡屋”の手代・富蔵が盗賊の一味として処刑された。決め手となったのは、手引きをした女中・お里の自供。そんな折り、富蔵と肩を並べていた卯之助が一の手代に抜擢され、お里は喜びを同囚に語ったというのだ…。怨んだ相手の足を引っぱり、秘かに誅伐を加えてくれるという〈足引き寺〉の住職・宗徳ら四人と一匹の仕事師が事の真相に迫る。表題作他、大好評の足引き寺閻魔帳シリーズ第二弾。
1802年、王妃マリア・ルイーサと権勢を張り合うスペイン第一の貴族アルバ公爵夫人カイエターナは、宴を開いたその夜、謎に満ちた死を遂げる。自殺なのか、あるいは、愛人関係にあった青年宰相ゴドイ、その愛人ペピータ、クーデターを企む皇太子、宮廷画家ゴヤら客の誰かが毒を盛ったのか?そしてさらに、その背後にはもう一つの謎が隠されていた。ゴヤだけが知る、名画「裸のマハ」をめぐる秘密が…。
売れっ子マンガ家、陣内龍二の婚約者・里美が交通事故で死んだ。ショックのあまり、陣内は、自作のヒロインを作中で殺してしまう。たちまちファンからの抗議が殺到。その中に里美の死を予知した手紙があった。日付は事故の数日前。陣内が手紙の差出し人を訪ねると、神崎美佐という48歳の落着いた女性だった。部屋には作中のキャラクターが飾られ、熱心なファンであることを示している。何故、神崎は里美の死を予知できたのか?そして、予知された死は防げないのか?23歳の俊英が挑む迷宮的ミステリー。
20年前、町中が甲子園の夢に燃えていた。夢が壊れたとき、捨てたはずの故郷だった。しかし、今。母を亡くした父一人の家に帰ってきた失業中の男と、小学5年の娘。ボストン留学中の妻はメール家族。新しい家族の暮らしがはじまる。懐かしいナインの面々。会いたかった人々。母校野球部のコーチとして、とまどう日々。そして、見つけたのは。
同僚をケチな窃盗犯に射殺され、追跡中に犯人を誤って殺してしまった井川刑事。窃盗犯の上着から、三千万円の情報価値を持つメモリーカードが出てきたとき、彼は警察官であることをやめた。死体を始末し、三千万円を頂く人生を選んだのだ。しかしメモリーカード情報の現金交換可能期限は当日午後七時まで。隅田川の花火大会がまさに始まろうという狂騒の東京向島で、警察とギャングを相手に灼熱狂気の数時間がスタートした。
フリーライター・倉橋渡の許に、父親からの電話が入った。妹の良美が車に撥ねられ、意識不明だという。二カ月後、兄妹で合作し、コンクールに応募したシナリオ「愛を運ぶオウム」を人気スター・榊修輔主演でドラマ化したいという話が持ち上がる。そのオウムにはモデルがいた。人間の言葉を理解し、会話する天才オウム・パル-。
「まさか考えたことがないのか。自分以外の誰かになるってことを!?」忌まわしき殺人者アーケンハウト。彼は、性的欲求を満たすためでも、金品を強奪するためでもなく、ただ相手の「人生」を奪い取るためだけに殺人を犯しつづける。そんな彼が、名画窃盗犯である大学教授の「人生」を盗んでしまったことから、破滅への道を歩き始める…。人間の深層の欲望を鮮烈な筆致で描いた傑作ミステリー。
疾風怒涛、しかし泰然。海運再編を初め、国鉄運賃値上げ、未曾有の船員スト、航空再編と数々の難問に立ち向かい、辣腕をふるう。運輸官僚として戦後の混乱期に獅子奮迅の活躍をした若狭を描いた渾身の評伝。
波瀾万丈、しかし淡然。全日空入りした若狭は、悲願の国際線進出を果たすが、M資金、雫石事故、ロッキード事件と、試練にさらされる。運輸次官から全日空社長へ。運輸史を生きた男の軌跡を克明に辿る評伝完結。