出版社 : 徳間書店
安史の乱は腐敗しきった玄宗皇帝の治世に鉄槌を下したかに見えた。年が明けて、皇族は延秋門から西へ逃亡した。都には今更とも言えるが、規範がなくなり、いやまさに乱れる。都落ちの一行にも敗戦は知れ渡り、血の気の失せた楊国忠宰相の大言壮語に従うものもいない。逆に血気だった衛士たちに両脚をくくられ、騎馬兵に引き回され悲惨な最期を。しかも、かつて後宮に君臨した貴妃の頸さえ。書下ろし残酷小説。
ケン・パーカーは34歳のポリグラフ(嘘発見器)検査技師。正直な性格ゆえに金に縁のない生活を送る。そんな彼の前に、美貌の女性弁護士ミス・ダニエルズが現れる。横領事件の被告にポリグラフに勝つ方法を伝授してほしいというのだ。報酬は5万ドル。ケンは、湾岸戦争の後遺症に苦しむ弟ボビーのため、ついにこの申し出を受ける。計画が成功したかに思われた時、被告が何者かに殺され、ケンに疑いがかかる。
徳川将軍家八代、吉宗には、政権獲得のための暗い秘密があった。秘密の鍵は、天下三品の名刀の裡に隠されている。名刀を追って、暗闘が展開する。主人公は、素浪人、刀弥平八郎。柳生流の一派、鍋島新陰流の青年剣客である。彼の振るう「まろばしの剣」が、吉宗政権の秘密と暗黒を切り開いてゆく。
愛人の川北留次から「女房を殺してしまった」と電話で告白された斎藤マリ。彼のアリバイを偽装工作するため、被害者に変装して、東京から高山までの道のりを単独でドライヴすることに…。しかし、銀色のブルゾンを着たオートバイ男の尾行や、謎の脅迫状、レストラン店員の不可解な言動など、数々のトラブルがマリを襲う!鬼才が放つ、本格カー・トラベル・ミステリー新装版。
杭州は南宋時代の首都である。蘇州とともに名園の多いところで、神戸の華僑・銭延真の故郷でもあった。みごとな菊づくりで知られる銭は、杭州で庭園づくりに励み、その熱意と抜群の感覚に師匠から庭園づくりの一切を託された。心魂を傾け思う存分腕を振るう銭であったが、依頼主が初恋の人を奪った政商・李巨元と判ったとき、ある怨念が胸に宿る。そして名園「菊花園」は完成した…。表題作ほか六篇を収録。
ワシントン発ロス行きの旅客機が謎の墜落を遂げた。乗客は全員死亡。優秀な女性弁護士シドニー・アーチャーは、乗客名簿に夫ジェイスンの名があることを知らされる。夫の葬儀の日、悲嘆に暮れる彼女のもとをFBI捜査官リー・ソーヤーが訪れる。旅客機墜落の裏には、二大コンピュータ企業による買収競争とそれにまつわる陰謀が渦巻いていたのだ。夫はその事件に関係があるらしい。傑作サスペンス巨篇。
罠にはめられたジェイスンが、失踪直前に自宅宛てに送ったフロッピー・ディスク。拉致される直前に、誤ったアドレスに送付したEメール。買収工作の全貌を明らかにするこの二つの“爆弾”を巡って、シドニーと巨大情報通信企業、そしてFBIによる熾烈な争奪戦が繰り広げられる。世界の全面支配をもくろんだネットワーク犯罪を果たして阻止できるのか?全米ベストセラーついに邦訳。
エレベーター専門の電機メーカー、ニュートン社の営業課長・水城寛太郎は、実家のラブホテル「カサブランカ」のフロントという夜の顔を持つ。ある日、総務部の女主任・万田百合絵に誘われ、濃密な情事の後で驚くべき事実を聞いた。水城が一番信頼し、可愛がっていた部下の前田美矢香が、援助交際をしているという。さらに、社長の檜垣達之助が株主代表訴訟を起こされるらしい。水城に与えられた特命は。
十六歳の少女・森下麻沙美との愛人関係を解消して半年、紀本晋一郎はしきりに麻沙美との日々を懐しんでいた。そんなある日、紀本のもとに麻沙美から突然連絡があり、会うことになった。麻沙美は、その場に中学生の妹・亜沙美を伴ない、妊娠してしまった亜沙美の堕胎の費用を出してほしいというのだ。五回だけ紀本に抱かれてもいいという。青い性に再び溺れる紀本だったが…。会心の長篇官能ロマン。
ニューヨーク郊外の大邸宅が何者かによって破壊された。ポールは叔母ヴィヴィアンからその修復を依頼される。瓦礫の山と化した邸宅を目のあたりにして、ポールは封印された過去の記憶を辿り始める。その頃、ルイスボロ分署のモーガン・フォード刑事は相次ぐ若者たちの失踪事件と、破壊された大邸宅とのつながりに気づき始めていた。精神の暗闇から生み出される超人的な力を描くモダン・ホラーの傑作。
邸宅近くで発見されたふたりの若者のバラバラ死体。モーガン刑事は、この事件と邸宅の破壊の間に異常な暴力という共通点があることに気づく。そして、ポールはこの異常な暴力を脳内の化学作用の面から説明する理論に出くわす。「ハイパーキネシス」と「ハイパーダイナミズム」。超人的な力を用いて悪魔的な暴力行為を起こし続けているのは、一体誰なのか?ポールと犯人との対決のときが迫る。
「朕に北顧の憂いなし」-太祖洪武帝にそう言わしめた朱棣(永楽帝)は父の武勇、才気を最も色濃く受け継ぎながら、四男ゆえに燕王として北平(北京)の地にあった。しかし溢れる野心は、彼をその地位に甘んじさせてはおかなかった。朝廷は建国の元勲が次々と粛清され弱体化していた。朱棣は遂に叛旗を翻す。靖難の変の始まりである…。
雪の一夜が二人の義兄弟の運命を変えた。一人はモンゴルの大草原で戦場の勇者に、もう一人は金国の王室で育てられるが…。宋末元初の激動期を描く大河ロマン!武侠小説の金字塔、ついに登場。