出版社 : 文藝春秋
大志を抱き切磋琢磨した友を喪い、豊後関前藩を出奔した坂崎磐音は、江戸・深川六間堀の長屋で浪々の日々を送る。糊口をしのぐべく、直心影流の剣さばきで用心棒稼業に励む最中、再会したのは関前藩勘定方・上野伊織。藩を揺るがす疑惑を知った磐音に迫る影とは?巻末には本シリーズ愛読者の谷原章介氏と著者との特別対談を収録。
佐伯泰英×谷原章介 特別対談を収録! 平成最大の人気シリーズ「居眠り磐音」〈決定版〉。 第3巻「花芒ノ海」は、安永二年、深川の夏祭りをめぐって、 地元の親分の間で起こった諍いから始まります。 浪人暮らしを続ける坂崎磐音は権造親分への借りを返すために 一働きすることに。 そして、国許の豊後関前藩では、磐音と幼馴染みたちを襲った 悲劇の背後にうごめく陰謀がだんだんと明らかになる。 父までもが窮地に陥ったことを知った磐音は、 決意を胸に江戸を発つーー。 2019年5月17日に公開される映画「居眠り磐音」を記念して、 巻末には、今津屋吉右衛門を演じた谷原章介さんと 著者・佐伯泰英さんの対談も収録。
敗戦に志を折られた物理波矢多は、九州で炭坑夫となる道を選ぶ。意気投合して共に働く美青年・合里光範もまた、朝鮮人の友を過酷な労働に従事させた過去に罪悪感を負っていた。親交を深める二人だが、相次ぐ変死体と“黒い狐面の女”の出現で炭鉱は恐怖に覆われる。ホラーミステリーの名手、新シリーズ開幕!
夫に怪しい女がいるらしい、何か相談がなかったか、と友人の妻から詰め寄られた「ローマへ行こう」。書店の主人に依頼された、月一回、誰もいない家の鍵を開け、花を換え、テープレコーダーのスウィッチを入れるという奇妙なアルバイト「家族の風景」ほか、普通に生きる大人たちの大切な秘密を描く全十篇。
「とても大きな小説を読んだ」 津村記久子氏(解説) 通夜のために集まった親族たちの一夜のふるまい、思い、記憶ーー傑作の誉れ高い第154回芥川賞受賞作。滝口悠生の代表作を文庫化! 単行本未収録作「夜曲」収録。
ある日突然、同棲している恋人が高熱で意識不明の重体となり、救急車で搬送される。彼に付き添い続けた悠希にも、魔の手がしのび寄り…。感染爆発が始まった原因不明の新型ウイルス「バベル」に、人間が立ち向かう術はあるのか?日本政府はある対策を講じる決断をする。近未来の日本を襲った緊迫のバイオクライシス・ノベル。
2018年、会社を私物化した「カリスマ経営者」が逮捕されたーー。 大企業の“病巣”はすでに40年前にあった! かつて日産自動車に君臨し“天皇”と畏怖された塩路一郎。組合員二十万人の労働組合の総帥として、社長人事に影響を及ぼし、経営を歪め、社内紛争を長引かせる一方、豪華クルーザーで遊び、愛人を囲い、私利私欲を極めた。なぜ彼は権勢をほしいままにできたのか。大企業の病巣に切り込む迫真の実録小説、緊急復刊! (『労働貴族』を改題) 「救世主はいつから、なぜ、会社を食い物にするようになったのか」 「人の営みに寄り添い、心情をすくい上げた作品は滅びない」 ーー解説・加藤正文
明治3年春、渋谷栄一の義兄、尾高惇忠は渋沢に富岡製糸場の初代工場長に就任するよう懇願される。当時、日本の生糸は輸出量が急増した結果、悪徳業者がはびこり、粗製濫造が横行した。世界遺産富岡製糸場誕生には、上野・彰義隊の秘話が深く関わっていた。工場が軌道に乗るまでを赤裸々に描く傑作小説。
超売れっ子の狂言作者・河竹黙阿弥のため、台本のネタ本を探す元絵師で新聞の編集人の幾次郎(落合芳幾)は、古書店の店主から五篇の陰惨な戯作を渡される。 果たして“人気者の先生”のお眼鏡に適う作品はこの中にあるのか? 「雲州下屋敷の幽霊」雲州松平家前当主・宗衍の侍女となったお幸は、どんな仕打ちにも恨む素振りを見せない。そんな彼女の背に女の幽霊の刺青を入れさせると……。 「女の顔」南町奉行所の将右衛門は、材木問屋の娘・お熊が夫に毒を盛った事件で下女のお菊を取り調べる。彼女が頑なに口を割らない裏には恐るべき事実があった。 「夢の浮橋」見世物小屋一座の智は若い男に頼まれて、身の上話をはじめる。貧乏漁師の家から吉原に売られた彼女は、花魁の八橋姐さんに可愛がられていたが……。 ほかに「だらだら祭りの頃に」「落合宿の仇討」を収録 河竹黙阿弥に捧げる、著者初の短編集 京極夏彦氏から「戯作、斯(か)くあるべし。」との賛辞をいただきました!
発売初週に有隣堂書店横浜駅西口店で総合1位の快挙を達成! ハマの風を受けて横浜を中心に異様な盛り上がりを見せた『横浜大戦争』から一年半。 ハマを興奮の渦に巻き込んだ土地神たちが帰ってきた! 花見に興じる土地神たちの元に怪しい男から届けられた木箱。その中に入っていたのは、中心がかすかに紫色をした黒い水晶玉だった。訝しむ神々たちの不安は見事に的中し、その水晶玉は黒い光を放ちながら濃い影を生み出していた。中の神、西の神、保土ヶ谷の神はその影に飲み込まれ、なんと明治時代の横浜に飛ばされてしまう。 戸惑う神々の前に現れた商家の少女・茂原れんげ。なぜか力を発揮できなくなる土地神たちの神器、明治の横浜で暗躍する謎の犯罪集団……。土地神たちが現代へ帰る方法を探る最中、れんげが誘拐される事件が発生し、土地神は奪還に乗り出す。そこに鎌倉、久良岐、橘樹、都筑ら神奈川を護っていた古の土地神たちも参戦し……。れんげの運命はいかに。そして保土ヶ谷の神たちは現代に帰ることができるのか。 時空を超えた神々の異能バトルが繰り広げられる。超ド級のエンタテインメント再び!
カタログ会社で働く35歳の編集者、妃斗美。婚約を破棄された過去を持つ彼女は、これからひとりで生きていくために、大きなものを買って、小さなものを拾った。手に入れたふたつの“幸福”は、彼女に何を与え、何を奪っていったのか。
鉄砲をどう運用すべきか。毛利水軍に勝てる船とは。どうすれば天候を予測できるか。天下統一までの道にちりばめられた謎を、信長だけが解き明かしていく。もっとも先を見据えていた男が最後に導き出したのはー自らの死後、明智を破る秘策だった。史実を踏まえつつ、独自の着眼でこれまでの信長像を大きく飛躍させる一冊。
噴出する激情、容赦ない暴力、異形のディテール。 これぞ韓流“激辛”サスペンスの真骨頂だ。--千街晶之(ミステリ評論家) 韓国発の弩級エンタメ「K(Korean)スリラー」が日本上陸! ーー少女の生活のすべては、無数のカメラに監視されていた。 離れて暮らす高校生の妹が、突然姿を消した。それも、同級生の少年が不審な死を遂げたのと同時に。それを殺人事件と見た警察は、妹を重要参考人として追いはじめた。妹の身に一体何が起きたのか。その足跡を追うべく、私は妹の家を訪れた。 母の死を機に離れ離れになって以来、そこは妹が父と二人で生活している家……のはずだった。だが、クローゼットに仕舞われているのは、高校生が着るには小さすぎる服ばかり。しかも、父が暮らしていた形跡がどこにもない。この家はなにかがおかしい……。そんな違和感の中で、私は見つけてしまった。居間や勉強部屋、さらにはバスルームにまで、家中に取り付けられている無数の監視カメラをーー。 誰にも予測できない物語は、ノンストップで衝撃のラストへと一気に駆け抜ける。息もつかせぬ韓国スリラーがここに誕生した。
オーロラの見える町、北海道陸別町へやってきた宇宙人アウロラ。自らに向けられる愛情を「糧」に生きるモーンガータ星人は、同じ星の仲間だけでなく、地球人にも優しい。そんなアウロラは事情を抱える子どもの母代わりとなっている。日常で出会う謎を、科学の力と「愛」で解きながら成長していく子どもたちを描く青春小説。
駿太郎は亡き両親の想いを胸に、丹波篠山へーー。 親子の情に心打たれる、書き下ろし第13弾! 文政8年秋。小籐次、おりょう、駿太郎の一家3人は、老中青山忠裕の勧めもあって、青山の国元であり駿太郎の生まれ故郷である丹波篠山へと旅立つ。 一方、小籐次不在の江戸では、ヒマを持て余した空蔵が久慈屋をけしかけ、手代の国三が小籐次と駿太郎の紙人形を制作する。国三は見事な研ぎ仕事姿の人形を作り上げ、それを久慈屋の店先に置くと、多くの江戸の人びとが見物に来ることとなる。 そんな中、駿太郎は実母・小出お英の墓を訪ね、お英の乳母だった女性の姪から話を聞いて母を想い、同時に改めて養父母である小籐次とおりょうとの絆を盤石なものとした。 しかしその小籐次一行を、お英の兄・小出雪之丞が付け狙う。雪之丞は、駿太郎に小出家を継がせ、家の再興をはかろうと画策していたのだったーー。
豊後関前藩の若き武士3人が帰藩したその日に、互いを斬り合う窮地に陥る。友を討った哀しみを胸に、坂崎磐音は江戸・深川の長屋で浪人暮らしを始める。大家の金兵衛に紹介された両替屋での用心棒稼業で、やがて幕府をもゆるがす大きな陰謀に巻き込まれ…。平成を代表する超人気時代小説の“決定版”が、ついに刊行開始!
ビール会社の営業課長、明良。都議会議員の妻、篤子。テレビ局の報道ディレクター、謙一郎。それぞれの悩みや秘密を抱えながら、2014年の東京で暮らす3人が人生の中で下した小さな決断が驚愕のラストへとつながるー「週刊文春」連載時から話題沸騰。吉田修一史上、最も熱い議論を呼んだ意欲作を文庫化。