出版社 : 文藝春秋
村山由佳、坂井希久子、千早茜、大崎梢、額賀澪、阿川佐和子、嶋津輝、森絵都ーー 当代きっての人気女性作家8人が「女ともだち」をテーマに豪華競作! 「彼女」は敵か味方か……微妙であやうい女性同士の関係を、小説の名手たちが 描きだす逸品ぞろいの短編小説アンソロジー。 コワくて切なくて愛しい物語の世界を、ぜひご堪能ください。
『スタア誕生』公開にちなみ、地方都市の映画館でニューフェース審査会が開かれる。揺れながらカーテンが引かれ、シャンデリアは虹色に輝き、まばゆい光のスクリーンで、私たちの“金魚の娘”ははなやかに泳ぎまわるだろうか…すずらんの香水、首筋に感じる風、数多の映画の情景、幾度となく紡ぎ直される物語。’50年代の記憶を精緻に編みこんだ切なく甘い最新長編小説。
第13回本屋大賞、第4回ブランチブックアワード大賞2015、第13回キノベス!2016 第1位……伝説の三冠を達成! 日本中の読者の心を震わせた小説、いよいよ文庫化! ゆるされている。世界と調和している。 それがどんなに素晴らしいことか。 言葉で伝えきれないなら、音で表せるようになればいい。 高校生の時、偶然ピアノ調律師の板鳥と出会って以来、調律の世界に魅せられた外村。 ピアノを愛する姉妹や先輩、恩師との交流を通じて、成長していく青年の姿を、温かく静謐な筆致で綴った感動作。 解説は『一瞬の風になれ』で本屋大賞を受賞した佐藤多佳子さん。 豪華出演陣で映画完成! 外村青年を山崎賢人、憧れの調律師・板鳥を三浦友和、先輩調律師・柳を鈴木亮平、ピアニストの姉妹を上白石萌音、萌歌が演じています。6月8日公開。 「才能があるから生きていくんじゃない。そんなもの、あったって、なくたって、生きていくんだ。あるのかないのかわからない、そんなものにふりまわされるのはごめんだ。もっと確かなものを、この手で探り当てていくしかない。(本文より)」
小籐次、死す!? 久慈屋昌右衛門の供で伊勢詣でに行っていた小籐次が江戸に帰ってきた。昌右衛門は念願の伊勢参りと墓参を叶え、隠居する決意を固めたようだ。 そんな折、北町奉行所の年番与力の米郷が、小籐次にたっての願いがあるとして面会を求めてきた。 その晩遅く、久慈屋の荷運び頭の喜多造は酔って千鳥足の小籐次を見かける。天気が荒れているにもかかわらず、これから舟で望外川荘に帰るという小籐次を喜多造は止めるが、小籐次はそのまま堀へと消えていった。 ところが翌朝、小籐次が望外川荘に帰っていないことがわかる。そればかりか、小籐次の小舟だけが石川島の人足寄場に流れ着いており、小籐次の蓑や破れ笠も川で発見された。小籐次行方不明の報におりょうと駿太郎は半ば覚悟をし、また江戸中の人々も小籐次の死を受け入れ、久慈屋の店先で弔いをするに至った。 小籐次の行方不明と、年番与力・米郷の頼み事は関係があるのか、そして小籐次は本当に死んでしまったのか!? シリーズで最も緊迫した展開を迎える第10弾書き下ろし!
商社で働く志村栄利子は愛読していた主婦ブロガーの丸尾翔子と出会い意気投合。だが他人との距離感をうまくつかめない彼女をやがて翔子は拒否。執着する栄利子は悩みを相談した同僚の男と寝たことが婚約者の派遣女子・高杉真織にばれ、とんでもない約束をさせられてしまう。一方、翔子も実家に問題を抱えー。友情とは何かを描いた問題作。第28回山本周五郎賞&第3回高校生直木賞を受賞!
畑中圭介は大分県警刑事研修所、通称「刑事学校」の教官である。6人の新米刑事に捜査術と刑事魂を教え込むため、全国の警察と連携を取り研修を進める畑中。そんな中、幼馴染の立石健吾が死体で発見され、研修生と共に事件解決を命じられる。畑中の、抑えきれない刑事の熱い血がさわぎ出す!文庫オリジナル警察アクション。
野球の才能に恵まれながら、家庭の事情で一度はあきらめたプロ野球選手になる夢を叶えた北澤宏太。高校時代の恋人・穂波、野球雑誌に左遷された編集者・美潮、先輩選手の妻・雪菜、落ち目の歌手・マリア、娘をもうけながら離婚した女子アナの妻・茉莉。一人の投手の光り輝く瞬間の軌跡に関わった女性たちの物語。
幼いころに両親を亡くし、引き取られた叔母の家でも身の置きどころのない少女ありすは、遠く離れた京都で舞妓修業を決意する。彼女のもとにやってきた老紳士に連れられて訪れた京都は不思議な世界だったー。ともに人間の言葉を話す、カエルのハチスとウサギのナツメと、ありすは京洛の森の謎に触れていく。書き下ろし小説。
樹海ーそれは社会の底辺で生きることに疲れた人びとの終焉の場。虐待、借金、失業、薬物中毒…悲惨で救いようのない人間たちは、生きる苦しさから解放されるため、次々と樹海へ足を踏み入れる。弱者を生みだし、死へと導いたものとは何か。親と子の恐ろしい因縁が引き起こす、不幸の連鎖を描いた連作短編集。
本物の殿様にして若年寄となった元影武者・与多寅右衛門の前に、次々に難題が立ちふさがる。増税を唱える上役、野心家の勘定奉行、財政改革の妙手を引っさげ幕政に食い込もうとする謎の男、江戸の子供が消える誘拐事件。そして、恋?寅右衛門は庶民のための政治改革を貫けるか?大人気シリーズも第五弾にして大団円!?
時代は戦国。一匹の痩せ馬に乗り、斑鳩をゆく一人の男がいた。渡辺条四郎、メリケンでいえば賞金稼ぎ、本邦では勧賞目当ての素浪人のていである。諸国を旅しながら、高札にかかげられた勧文に記された手配書に従って、下手人を捕え金品を得ることで糊口をしのぐ。しかし本当は仇討の大望が…。
小説の書き手である「わたし」は物語を始めるにあたり、日本語の表記の範囲を定め、登場人物となる13氏族を制定し、世界を作り出す。しかしプログラムのバグというべき異常事態が起こり…。文学と言語とプログラミング、登場人物と話者が交叉する、著者初の「私小説」にして、SFと文学の可能性に挑んだ意欲作。
推理小説の人気作家であると同時に、超一流の歴史研究者でもあった松本清張。昭和史研究の代表作が『昭和史発掘』だ。その成果からつながる未完の小説『神々の乱心』は、清張が30年余にわたって「あの話はいつか小説にしておきたい」と繰り返し、死の瞬間まで情熱的に取り組んだ遺作である。二作に秘められた清張の遺志を解き明かすー。
凄腕の殺し屋が警察官ケスラーを狙っているという情報が入った。敵の名はヘンリー・ラヴィング。標的を拉致し、拷問で情報を引き出してから殺害するのを得意とする。ケスラーと妻子を警護すべく急行した警護官コルティだが、すでに敵の罠は仕掛けられていた!殺しのプロVS護衛のプロ。二人の戦略家が演じる限界の頭脳戦!
たったひとつのミスが警護対象者と自身の死につながる。敵は精妙な計画を立て、標的のスキを突く一流の戦略家だ。やつの狙いは何か。次なる襲撃への備えを固めながら、コルティは事件の源泉を探り、反撃の策を練りはじめる。これぞデイーヴァーの真骨頂!プロVSプロのゲーム性を研ぎ澄ましたノンストップ・サスペンス。
北関東の小さな町で、珈琲豆と和食器の店「小蔵屋」を 営むおばあさん、お草さん。 彼女の周囲にあたたかく描かれる人間の営み、日常に ふと顔をのぞかせる闇が読むものをグイグイ引き込む大人気シリーズ第6弾。 秋のある日、草のもとに旧友の初之輔から小包が届く。中身は彼の書いた短い小説に、絵を添えたものだった。 これをきっかけに、初之輔と再会した草は、彼の苦しかった人生を元気づけるために、彼の短編を活版印刷による小本に仕立て贈ることにした。この本を作るために小さな印刷会社と関わり、個人データ流出事件に遭遇。行き詰まる印刷会社を助けることに。草の働きによって、印刷会社周辺の人々の記憶までもが明るく塗りかえられてゆく。 「一つほぐれると、また一つほぐれてゆくものよ」--逃した機会、すれ違い、あきらめた思いーー長い人生、うまくいくほうがまれだったけど、丁寧に暮らすのが大切。 お草さんの想いと行動が心に染みる珠玉の一冊。
いまの東京に重なって、あの戦争が見えてしまうーー。 茶の間と重なりあったリビングの、ソファと重なりあった半透明のちゃぶ台に、曾祖父がいた。その家には、まだ少女だった祖母もいる。 あの戦争のときの暮らしが、2020年の日常と重なっているのだ。大混乱に陥った東京で、静かに暮らしている主人公に、昭和20年3月10日の下町空襲が迫っている。少女のおかあさんである曾祖母は、もうすぐ焼け死んでしまうのだ。 わたしたちは幻の吹雪に包まれたオフィスで仕事をしながら、落ち着かない心持ちで、そのときを待っている……。 表題作「ディレイ・エフェクト」の他、「空蝉」と「阿呆神社」を収録した驚愕の短篇集。 いま最も注目されている宮内悠介が、時の流れをこえて、この世界の真実に迫る! 芥川賞候補作品