出版社 : 文藝春秋
奥田英朗、荻原浩、原田マハ、窪美澄という実力派の直木賞・山本賞作家に、新鋭の中江有里を加えた、豪華執筆陣によるアンソロジー。テーマは“恋愛”。 28歳の彩子は、付き合って3年の恋人が相談もなく会社を辞めたことにショックを受ける。女友達は条件のいい男を紹介してくれ、彩子は恋人との別れを考え始めるが……。(奥田英朗「あなたが大好き」) 16歳の僕は、夏を海で過ごすためにばあちゃんの家に来た。夕暮れの砂浜で、その人は子守歌を歌っていた。……とても悲しそうな声で。(「銀紙色のアンタレス」) 1969年、中学生だった僕と彼女は50年後に一緒に宇宙に行く約束をした。その年まであと4年のいま、彼女は病院のベッドの上にいる。(荻原浩「アポロ11号はまだ飛んでいるか」) 生まれも育ちも京都の善田は、半年前に妻を亡くし、会社を追われ、タクシー運転手となった。ある日、ボストンから来た老婦人をタクシーに乗せ京都を案内することに……。 (原田マハ「ドライビング・ミス・アンジー」) 両親が離婚したミサトは、クラブを経営する母親行きつけの美容院のシャンプーボーイと、偶然海の家で会うが……。(中江有里「シャンプー」)
SF作家と人工知能学会がコラボレーション! この一冊で、「人工知能の現在と未来」が丸わかり。 日本を代表するSF作家たちが、人工知能をテーマにショートショートを競作。それをテーマ別に編集し、それぞれのテーマについて第一線の研究者たちがわかりやすい解説エッセイを書き下ろしました。 名古屋大学・佐藤理史先生プロデュースの〈AI作家の小説〉も掲載! 研究者の最新の知見と作家のイマジネーションが火花を散らす画期的コラボ企画が、文庫オリジナルで登場です。 【テーマ一覧】 ◎対話システム ◎自動運転 ◎環境知能 ◎ゲームA I◎神経科学 ◎人工知能と法律 ◎人工知能と哲学 ◎人工知能と創作 【執筆者一覧】 《作家》若木未生、忍澤勉、宮内悠介、森深紅、渡邊利道、森岡浩之、図子慧、矢崎存美、江坂遊、田中啓文、林譲治、山口優、井上雅彦、橋元淳一郎、堀晃、山之口洋、高井信、新井素子、高野史緒、三島浩司、神坂一、かんべむさし、森下一仁、樺山三英 《研究者》大澤博隆、稲葉通将、加藤真平、小林亮太、伊藤毅志、原田悦子、赤坂亮太、佐藤理史、久木田水生、松山諒平
駒形そこつ長屋に起居する与多寅右衛門。かつて越後四条藩主の影武者を務め、町の事件を次々と解決する彼のもとに、碁敵として謎の男が通い詰める。小柄で白髭、前歯の欠けた素性の知れぬこの老人、なにやら思惑があるようだ。幕閣の政争にも巻き込まれ、寅右衛門の身に大きな変化がー。絶好調シリーズ、急展開の第三弾!
吉原近くの親父橋のたもとで見つかった女の死体は首を切り落とされ、背中の皮が剥ぎ取られていた。事件をさぐる幡随院長兵衛の前に現れる恐るべき男たち。天竺徳兵衛、柳生十兵衛、そして十兵衛と互角の勝負を演じる若き美剣士・舫鬼九郎。謎が謎呼ぶ展開と壮絶な剣戟シーンで読者を魅了する、極め付きの長篇時代活劇!
当代随一の女形・五代目岩井半四郎と知り合い、再三、芝居への招きを受けていた小籐次。断り切れずついに承諾、しかも、おりょうも同道することにー。いつになく華やいだ気分の小籐次だが、平穏な日々がそうそう続くはずもなかった。久慈屋に気がかりな事態が出来。加えて、御鑓拝借の因縁に、再び火がついたのである…。
池波正太郎生誕100年企画として、歌舞伎界の大看板・松本幸四郎を「鬼平」こと長谷川平蔵役に迎え、 映像化、ドラマ化。 「鬼、新時代。」が始まります! 人のこころの奥底には、おのれでさえわからぬ魔物が棲んでいるものだ。このところ様子がおかしい老密偵・相模の彦十から目が離せない「むかしなじみ」ほか、密偵に盗賊、同心たちの過去と現在を縦横に描き、心揺さぶるシリーズ第10巻。 「犬神の権三」「蛙の長助」「追跡」「五月雨坊主」「むかしなじみ」「消えた男」「お熊と茂平」の7篇を収録。
池波正太郎生誕100年企画として、歌舞伎界の大看板・松本幸四郎を「鬼平」こと長谷川平蔵役に迎え、 映像化、ドラマ化。 「鬼、新時代。」が始まります! 色白でぽってりとした同心・木村忠吾の好物は、豊島屋の一本饂飩。親指ほどの太さの一本うどんがとぐろを巻いて盛られていて、柚子や摺胡麻、葱などの濃目の汁で食べるのである。そんな忠吾が、豊島屋で男色の侍に目をつけられ誘拐される「男色一本饂飩」ほか、ちょっとうまそうな食べ物が脇役となっている作品が印象的な第11巻。 「男色一本饂飩」「土蜘蛛の金五郎」「穴」「泣き味噌屋」「密告」「毒」「雨隠れの鶴吉」の7篇を収録。
『三国志』をはじめ長年中国歴史小説を書き続ける著者が、自らの歴史観、世界観、小説観を余すところなく開陳した一冊。『三国志』をめぐる多彩な論考と、五木寛之、井上ひさし、宮部みゆきらとの歴史小説をめぐる対話、さらには碩学・白川静との中国古代史をめぐる対話など、読者を宮城谷昌光の世界へと誘う最良のガイドブック。
江戸っ子に人気を博した浮世絵。絵が好きで、絵を描くこと以外なにもできない絵師たちが、幕末から明治へと大きく時代が変わる中、西欧化の波に流され苦闘しながらも絵を描き続ける姿を描く長編書き下ろし小説。 文久元年(1861)春。大絵師・歌川国芳が死んだ。国芳の弟子である芳藤は、国芳の娘たちに代わって葬儀を取り仕切ることになり、弟弟子の月岡芳年、落合芳幾、かつては一門だった河鍋狂斎(暁斎)に手伝わせ無事に葬儀を済ませた。そこへ馴染みの版元・樋口屋がやってきて、国芳の追善絵を企画するから、絵師を誰にするかは一門で決めてくれ、と言われる。若頭のような立場の芳藤が引き受けるべきだと樋口屋は口を添えたが、暁斎に「あんたの絵には華がない」と言われ、愕然とするーー。 国芳が亡くなるまで傍で画塾を補佐し、人徳もあったが、才能のなさを誰よりも痛感していた芳藤。才能に恵まれながら神経症気味の自分をもてあましていた芳年。画才だけでなく、時代を敏感に察知し新しいものを取り入れるセンスもありながら、結局は己の才に溺れた芳幾。そして“画工”ではなく“アーティスト”たらんとした暁斎。4人の個性的な絵師たちを通して、死ぬまで絵筆をとろうとする絵師の執念と矜持に迫る力作。
「オール讀物新人賞」受賞作家、出色のデビュー作! この力量は本物だ! 歴史小説の明日を担う才能のデビュー作を その目で確かめてもらいたい。--石田衣良 綿密な取材が紡ぎ出す史実と創作の融合。 「新人離れした」とは、本書のことだ。--山本一力 四百年の長きにわたり会津を治めてきた芦名家。 しかし十八代目当主が家臣の手にかかって殺されたことから 男系の嫡流が断たれ、常陸の佐竹義重の二男、義広が 婿養子として芦名家を継ぐことにに決まった。 血脈の正当性なき家督相続に動揺する、芦名家譜代の家臣たち。 義広が引き連れてきた佐竹の家臣団との間に、激しい軋轢が生じる。 揺れ動く芦名家に戦を仕掛けるのが、奥州統一を企てる伊達家の新当主、伊達政宗。 身中に矛盾を抱えたまま、芦名氏は伊達氏との最終決戦、摺上原の戦いに至る。 「夢幻の扉」でオール讀物新人賞を受賞した佐藤巖太郎が 滅亡に向かう名家と、戦国武将の意地を克明に描き切った傑作。
主人公の真知子は海外企業に職を得た夫と共に南半球へ移住。娘を出産し、新生活が始まった。美しく小さな異国の街に暮らす日本人達のコミュニティには、夫の職業や住む場所によって暗黙のヒエラルキーが築かれていた。その中で真知子は、投資銀行に勤める夫を持つ郁子、商社マンの妻の宏美、現地の日本人シェフと再婚した弓子らと親しくなる。しかし、日本人会のバザーで起こった事件をきっかけに、彼女たちの関係は一気にあやういものになっていく…。孤独と自立、家族と友情…。今、女性が「生きる」ことに正面から向き合った傑作長篇。
『機織る武家』血の繋がらない三人が身を寄せ合う、二十俵二人扶持の武家一家。生活のため、後妻の縫は機織りを再開する。『沼尻新田』新田開発を持ちかけられ当惑する三十二歳当主。実地検分に訪れた現地のクロマツ林で、美しい女に出会う。『遠縁の女』寛政の世、浮世離れした剣の修行に出た武家。五年ぶりに帰国した彼を待っていたのは、女の仕掛ける謎ー。直木賞受賞作「つまをめとらば」に続く清冽な世界。傑作武家小説集。
事件解決に貢献したマリィに「あるもの」をおねだりされ、青くなる小山田刑事。一方、派手に活躍するマリィたちに、オカルト誌「マー」が目をつけた!二人の、そして八王子の未来はどうなる!?魔法使いマリィ、消えるー?シリーズ最高潮!ユーモアミステリーシリーズ第3弾。
人生最悪の日ー不倫を清算し、結婚の夢を捨てた紗季が会社を辞めた日、夜の公園で見たのは男の変死体と「不思議の国のアリス」のウサギ。引っ越したマンションで隣人のお節介に悩む紗季に元不倫相手が自殺したという知らせが。不思議の迷宮で、十重二十重のトリックにがんじがらめの紗季が辿りついたのは?
「初めまして、お父さん」。 元ヤンでホストの沖田大和の生活が、しっかり者の小学生・進の登場で一変! 思いもよらず突然現れた息子と暮らすことになった大和は、宅配便会社「ハニー・ビー・エクスプレス」のドライバーに転身するが、荷物の世界も親子の世界も謎とトラブルの連続。 宅配便会社の仲間や、ホストクラブ経営者のおかま・ジャスミン、ナンバーワンホストの雪夜らも巻き込んでの、大騒動を描いた『ワーキング・ホリデー』が刊行されたのは2007年。その後の大和と進の物語を書いた『ウィンター・ホリデー』が2012年、同年には『ワーキング・ホリデー』が映画化され、文庫も含め「ホリデー」は人気シリーズへと成長。 本書には親子の物語ではなく、彼らを取り巻く人々の物語、いわば「ホリデー」シリーズの外伝ともいえる6つの短編が収録。 1「ジャスミンの部屋」 …… ジャスミンが拾った謎の中年男の正体は? 2「大東の彼女」 …… お気楽フリーターの大東の家族には実は重い過去があった 3「雪夜の朝」 …… 完璧すぎるホストの雪夜にだってムカつく相手はいるんだ! 4「ナナの好きなくちびる」 …… お嬢さまナナがクラブ・ジャスミンにはまった理由 5「前へ、進」 …… まだ見ぬ父を探し当てた小学生の進むの目の前にはーー 6「ジャスミンの残像」 …… ヤンキーだった大和とジャスミンの出逢いの瞬間 ハートウォーミングな6つの物語。 作家生活15周年を記念した4社合同企画のチラシ「坂木司特別便〈ホリデーが肉だと先生が困る〉」が、初版限定で挟み込まれてます。 解説・藤田香織
京は錦高倉市場の青物問屋枡源の主・源左衛門ー伊藤若冲は、妻を亡くしてからひたすら絵に打ち込み、やがて独自の境地を極めた。若冲を姉の仇と憎み、贋作を描き続ける義弟・弁蔵との確執や、池大雅、与謝蕪村、円山応挙、谷文晁らとの交流、また当時の政治的背景から若冲の画業の秘密に迫る入魂の時代長篇。
娘の嫁ぎ先を攻め滅ぼすことも厭わず、権謀術数を駆使して戦国時代を駆け抜けた戦国大名・宇喜多直家。裏切りと策謀にまみれた男の真実の姿とは一体…。ピカレスク歴史小説の新旗手ここに誕生!!第92回オール讀物新人賞をはじめ、高校生直木賞など五冠を達成した衝撃のデビュー作。特別収録・高校生直木賞ルポ。
第151回芥川賞受賞作。「春の庭」 書下ろし&単行本未収録短篇を加え 待望の文庫化! 東京・世田谷の取り壊し間近のアパートに住む太郎は、住人の女と知り合う。彼女は隣に建つ「水色の家」に、異様な関心を示していた。街に積み重なる時間の中で、彼らが見つけたものとはーー第151回芥川賞に輝く表題作に、「糸」「見えない」「出かける準備」の三篇を加え、作家の揺るぎない才能を示した小説集。 二階のベランダから女が頭を突き出し、なにかを見ている。(「春の庭」) 通りの向こうに住む女を、男が殺しに来た。(「糸」) アパート二階、右端の部屋の住人は、眠ることがなによりの楽しみだった。(「見えない」) 電車が鉄橋を渡るときの音が、背中から響いてきた。(「出かける準備」) 何かが始まる気配。見えなかったものが見えてくる。 解説・堀江敏幸