鬼平犯科帳 決定版(十)
人のこころの奥底には、おのれでさえわからぬ魔物が棲んでいるものだー。このところ様子がおかしい老密偵・相模の彦十に、何が起こったのか(「むかしなじみ」)。密偵に盗賊、同心たちの過去と現在を縦横に描き、目が離せない。全七篇を収録。
関連小説
斬り捨て御免の権限を持つ幕府の火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵。盗賊たちには“鬼の平蔵”と恐れられている。しかし、その素顔は義理も人情も心得た苦労人であ。彼を主人公に、さまざまな浮世の出来事を描き出し、新感覚の時代小説として評判高く、テレビに舞台に人気の集まる鬼平シリーズ第一巻。 2000/04/07 発売
四季おりおりの江戸の風物を背景に、喜びや悲しみを秘めた江戸の人間が生きている。そこに生まれる事件のサスペスンが、こころよい人情と溶けあう独自の境地。ご存じ鬼平シリーズの第二巻は、「蛇の眼」「谷中・いろは茶屋」「女掏摸お富」「妖盗葵小僧」「密偵」「お雪の乳房」「埋蔵金千両」の七篇を収めている。 2000/04/07 発売
“鬼平”と悪人たちから恐れられる幕府火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵が、ときにはユーモアをまじえ、ときには鋭い勘を働かせて、兇悪な盗賊を相手に大奮闘をつづける。その颯爽たる立廻りが大評判の人気シリーズ第三巻は「麻布ねずみ坂」「盗法秘伝」「艶婦の毒」「兇剣」「駿州・宇津谷峠」「むかしの男」の六篇を収録している。 2000/04/07 発売
はっと、平蔵が舟の中へ身を伏せた。荒屋敷の潜門がしずかに開き浪人風の男があらわれ、あたりに目をくばっている。(これほどの奴がいたのか…)平蔵の全身をするどい緊張がつらぬいた。凄絶な鬼平の剣技を描く「血闘」をはじめ「霧の七郎」「五年目の客」「密通」「あばたの新助」「おみね徳次郎」など八篇。 2000/05/10 発売
「つくづくとばかばかしく思うのだよ」なれど「このお役目が、おれの性にぴたりはまっている」のである。だから火盗改方の長官・長谷川平蔵は、疲れにもめげず今日もまた出動する。作者もいよいよ脂の乗った「礼金二百両」「猫じゃらしの女」「剣客」「狐火」「大川の隠居」「盗賊人相書」「のっその医者」の七篇収録。 2000/05/10 発売
同心・木村忠吾が男色の侍に誘拐されて…「男色一本饂飩」。平蔵が乞食浪人に化けて大立廻り…「土蜘蛛の金五郎」。盗んだ三百両を人知れず返しにゆく老盗人の名人芸…「穴」。地震にさえ腰を抜かす弱虫の同心が、妻女を殺されて命をかけての敵討ち…「泣き味噌屋」。他に三篇を収録。 2000/08/04 発売
同心大島勇五郎の動静に不審を感じた平蔵が、自ら果敢な行動力で兇盗の跳梁を制する「春の淡雪」、探索方から勘定方に戻されて腐っていた細川峯太郎が非番の日に手柄を立て、ふたたび探索方に立てられるまでを描く「泣き男」など、部下への思いやりをしみじみと写し出して“仏の平蔵”の慈愛溢れる六篇。ファンに贈るこの一冊。 2001/01/10 発売
「おなつかしゅうござります」二十余年ぶりに平蔵の前に現われ、「密偵になりたい」と申し出たおまさには、平蔵への淡い恋心と語りたがらぬ過去があった(「血闘」)。鬼平の凄絶な剣技に息を呑む本作ほか、「霧の七郎」「五年目の客」「密通」「あばたの新助」「おみね徳次郎」「敵」「夜鷹殺し」の全八篇を収録。 2017/02/10 発売
妻を亡くし、隠居の身であった平蔵の従兄・三沢仙右衛門が突如、茶屋女を「嫁にもらいたい」と言い出した。老父の情熱をもてあました長男に頼まれ、平蔵はその女に会いに行く(「山吹屋お勝」)。後年、著者自身が鬼平ベスト5に選んだ本作ほか、「深川・千鳥橋」「乞食坊主」「女賊」「おしゃべり源八」「兇賊」「鈍牛」の全七篇を収録。 2017/02/10 発売
舟の上で“隠居”を待ちながら、のんびりと交わす老船頭と平蔵のかけ引きの妙味(「大川の隠居」)。密偵としての任務と、かつて愛した男への思いに揺れるおまさ。じっと見守っていた平蔵が動く(「狐火」)。シリーズ屈指の名作二篇ほか、「礼金二百両」「猫じゃらしの女」「剣客」「盗賊人相書」「のっそり医者」の全七篇を収録。 2017/03/10 発売
この年二十の平蔵の長男・辰蔵は、剣術の稽古そっち退けで、女あそびに打ち込んでいる。いまは“芋の煮ころがしのような小むすめ”に夢中だ(「隠居金七百両」)。緩急自在の鬼平の魅力ここにあり。ほかに「雨乞い庄右衛門」「はさみ撃ち」「掻掘のおけい」「泥鰌の和助始末」「寒月六間堀」「盗賊婚礼」の全七篇を収録。 2017/03/10 発売
火付盗賊改方の同心・小柳安五郎は、一昨年、妻と子をうしなった。以来、人が変わったように、われから危難に立ち向かっている。そんな小柳が罪人を逃した胸の内とは(「あきれた奴」)。四十をこえた平蔵の剣友・岸井左馬之助が思い悩む(「あきらめきれずに」)ほか、「用心棒」「明神の次郎吉」「流星」「白と黒」の全六篇を収録。 2017/04/07 発売
女密偵・おまさと、かつては本格派の盗賊の首領であった大滝の五郎蔵。二人は平蔵の指示で一つ家に住み、盗賊の見張りを続けるが、その顛末はー(「鯉肝のお里」)。平蔵の愛犬となるクマとの出会いを描く名作(「本門寺暮雪」)ほか、「雨引の文五郎」「泥亀」「浅草・鳥越橋」「白い粉」「狐雨」の全七篇に、エッセイ一篇を特別収録。 2017/04/07 発売
食い気盛んな同心・木村忠吾の大好物は、深川の一本饂飩。柚子や摺胡麻、葱などをあしらった濃目の汁で食べる。ある日、「同席、かまわぬかしら?」と巨体の侍が忠吾に近づいてきた(「男色一本饂飩」)。老盗人の名人芸とは(「穴」)。全七篇を収録。 2017/05/10 発売
盗賊の頭・長沼又兵衛は、かつて本所・高杉道場で、平蔵、岸井左馬之助とともに、三羽烏と呼ばれた男だった(「高杉道場・三羽烏」)。腕利きの密偵六人衆が集まり、盗賊だった頃の思い出話を肴に、飲んで飲んで、その挙句…(「密偵たちの宴」)。ほかに「いろおとこ」「見張りの見張り」「二つの顔」「白蝮」「二人女房」の全七篇を収録。 2017/06/08 発売
同心・松永弥四郎は、自身の奇妙な性癖を平蔵の息子・辰蔵に知られ、戦々恐々の日々を送る(「夜針の音松」)。「酒もうまい。肴もうまい」と煮売り酒屋で、上機嫌の同心・木村忠吾。さし向いの相手の顔貌は、眉毛と眉毛がつながっていた(「一本眉」)。ほかに「熱海みやげの宝物」「殺しの波紋」「墨つぼの孫八」「春雪」の全六篇を収録。 2017/06/08 発売
近年、いよいよ兇悪化する盗賊どもの跳梁。長谷川平蔵はその探索のために身銭を惜しまず、父・宣雄が遺した金も刀剣もほとんど失い、命をも狙われる日々である。密偵・伊三次の過去と無念(「五月闇」)ほか、「あごひげ三十両」「尻毛の長右衛門」「殿さま栄五郎」「浮世の顔」「さむらい松五郎」の全六篇を収録。 2017/07/06 発売
新婚の同心・木村忠吾の惚けぶりは延々綿々、平蔵の皮肉も通じない(「白根の万左衛門」)。一方、妻子を失って以来、独り身の同心・小柳安五郎は、平蔵の指示で、女賊と乱行を続ける同僚の監視を続けていた(「網虫のお吉」)。部下たちの思惑に平蔵の決断が冴える。ほかに「影法師」「火つけ船頭」「見張りの糸」「霜夜」の全六篇を収録。 2017/08/04 発売
目黒不動まで見廻りに出た平蔵は、門前の桐屋で妻・久栄の好物である黒飴を求め、少々のんびり過ごす。帰り道、驟雨にたまらず、近くの百姓家に入ると、そこに、同心・細川峯太郎が女連れで飛び込んできた(「俄か雨」)。同心たちも一筋縄ではいかない。ほかに「馴馬の三蔵」「蛇苺」「一寸の虫」「おれの弟」「草雲雀」の全六篇を収録。 2017/09/05 発売
女密偵おまさは、万年橋から川面を見つめている女に気づく。以前、同じお頭の許で、「引き込み」をつとめた女賊のお元であった。(さて、どうしたらよいものか?)おまさは迷うが、平蔵は、密偵たちの複雑な心境を理解していた(「引き込み女」)。ほかに「霧の朝」「妙義の團右衛門」「おかね新五郎」「逃げた妻」「雪の果て」の全六篇を収録。 2017/09/05 発売