出版社 : 文藝春秋
深川の長寿庵の主人で岡っ引を務めてきた長助が、お上から褒賞を受けた。町内あげてのお祭り騒ぎのなか、ひとり取り残された女房のおえいが思わぬ事件にかかわる表題作、香苗が大事な木箱を落としてしまっことに始まる騒動「千手観音の謎」ほか、珠玉の八篇が目白推し。カラー挿絵も美しい愛蔵ベスト版、堂々完結!
昭和10年春、女子医専を卒業した壽子は、満州・大連へ赴任する。帝大の科学者と祝言をあげたちゑ。六代目尾上菊五郎の妾となった芸者の松太郎。不穏な世相を背景に、三麗花はそれぞれの道を歩みだす。やがて訪れた再会の日、満洲国皇帝の御前で彼女たちが詠んだ秀句とはー。句会小説の洒脱にして芳醇な味わい。
忍者・猿飛佐助の正体は、武田勝頼の遺児であった。初妊婦の陰毛を集める修行で百本以上の成果を上げ、天才的な忍者に成長。善良すぎて人を殺すのが苦手なことが欠点だが、それを愛され真田幸村に仕える。信長、秀吉など戦国の名だたる大名の死と活躍の裏に忍者や剣客が暗躍するー奇想天外の歴史娯楽小説!
十八歳の時に交通事故で顔に大怪我を負い、美容整形手術を受けて完璧な美貌を手に入れて世界的ファッションモデルにまでのし上がった美織レイ子が死んだ。整形後の人生の中でレイ子は七人の男女を憎んできたが、その七人もまた彼女を殺す動機を持っており、しかも全員が、「美織レイ子を殺したのは自分だ」と信じていた!? ミステリー史上でも出色のヒロインをめぐる目くるめく愛憎劇を描き切ったその超絶技巧は、帯にいただいた綾辻行人さんの言葉どおり、「まさに連城流、並ぶものなし」です。
お上を恐れぬ威勢の良さで知られる国芳も、老いの戸惑いから、死への興味と、そして最後の恋への憧れが泡のように、ぽつぽつと浮かぶ。そんななか、八匹の猫と、一癖も二癖もある弟子たちに囲まれた彼の周囲では、次々と「猫」にまつわる大事小事が起きてー。数々の人気時代小説で知られる著者が、持ち味の諧謔と哀感に溢れた筆致で、猫のいる日常と、淡い恋心を豊かに描きだします。
201×年、ごく近い未来の日本ー。突然感染爆発が始まった新型ウイルス『バベル』。猛威に対抗すべく日本政府は「長城」を建設、感染者と非感染者を隔離する政策をとったがー。福田和代が放つ、本格バイオクライシスノベル。
尼子の猛将として知られる山中鹿介の子息、山中(鴻池)新六。父の死後、商人の道を歩み始めた彼はやがて清酒の開発に成功。醸造、輸送、販売を一手に引き受け、莫大な富を築いていく。現在にまで連なる鴻池財閥の始祖となった男の、破天荒で挑戦に満ちた生涯。
恋愛小説の名手にしてミステリーの鬼才から最後の贈り物 八人の子供がいる家庭へ脅迫電話。「子供の命は預かった」。だが家には子供全員が揃っていた。誘拐されたのは誰? 表題作など八篇。
監督・木村大作、主演・松山ケンイチで感動の映画化! 奥秩父の山小屋を舞台に、山を訪れる人々が抱える人生の傷と再生を描く感動の山岳短編小説集。二〇一四年六月東宝より映画公開予定。
音楽の才能は普通だが、世渡り上手なワタル、高みを目指すゆえ周囲と妥協できない礼二。中学で出逢った二人は、文化祭でバンドを結成するが、その後、それぞれ違う道を歩み続ける。女子の青春小説でも定評のある著者が、今度は、二人のロック少年の苦悩と成長を描く。ほろ苦く切ない、青春ロック小説。
あのガリヴァーが日本に? 最高に知的な奇想大作! 将軍綱吉の時代に日本を訪れたガリヴァーは波乱の航海に。海賊、宝探し、そして殺人。これぞ文学の冒険。「ガリヴァー旅行記」続編。
理解ある舅・姑とともに、江戸の大店・仙石屋の暖簾を守るおしの。大地震の後、店を追われたもと夫が妾と娘を連れて戻ってきたからさあ大変。跡継ぎ息子の実母であることを盾に女主人の座を狙う妾のおみね、店を支えてきた誇りを胸に迎え撃つおしの。女同士、進退かけた分け目の戦が始まる。新感覚時代長編!
畝源三郎の嫡男・源太郎も、はや7歳。歯痛で妙にしおらしい花世を気遣って、御利益があるというお稲荷さんに連れていくが…。幼い二人が放火事件に巻き込まれる表題作、大安売りに目がない女中頭のお吉の買い物が思わぬ事件につながる「お吉の茶碗」他、珠玉の7篇を収録。カラー挿絵も美しい愛蔵ベスト版第3弾。
プロ野球で、今シーズンオフのFAの目玉となった投手・結城憲吾のスポーツ代理人として、マスコミをにぎわす男、善場圭一。彼は、プロの世界に身を置いたものの一年で引退。その後は代理人に転じ、業界でも一風変わった存在として知られている。「選手の評価は、年俸で決まる」と言いきるその姿勢は、金の亡者「ゼニバ」と蔑まれ、忌み嫌われている。だが、その実態は、悪役に徹して選手の盾となることで、選手からは絶大の信頼を寄せられるスポーツ代理人である。結城のFAが大詰めを迎えたとき、突如スポーツマネージメントの大手、グリーンパークのやり手女社長羽田貴子と、彼女とCMの契約を結んだ結城に、善場は呼び出され、羽田から意外な提案を受ける。それは、結城と並ぶ球界の盟主・東都ジェッツの元四番だった瀬司の行方を探してほしいという依頼だった。もし、瀬司を見つけ出したら、結城からグリーンパークは手を引いてもよいという破格の条件だ。だが、善場には、以前、代理人契約をしていた瀬司と羽田にまつわるある苦い思い出があった。瀬司の捜索を引き受けた善場に、羽田は、瀬司が生前、自分に何かあれば、瀬司に手渡すようにと伝えていたというリストを善場に手渡す。善場は、そのリストをたどるうち、一人の甲子園優勝投手の自殺に行きあたるが……。サムライ野球文学賞を受賞した『ノーバディノウズ』、そして、二宮清純氏や玉木正之氏など、多くのスポーツライターが、絶賛した『球界消滅』で話題となった本城雅人が、金銭と、野球。そして、代理人制度。野球のストーブリーグにおける陰の主役の知られざる実態をあぶりだしつつ、その裏に描かれる駆け引きを、プロ野球選手たちの身に降りかかった事件を通して描く傑作スポーツミステリー。
日本橋の大店に降って湧いた正に沽券に関わるひと騒動。白木屋の地面は我が先祖の拝領地と、鏡三郎に訴えた老婆。調べてみると、軍師と思しき浪人が只者ではない様子ー。シリーズ第8弾。
笑いに包まれた恐怖をご賞味あれ! 二十五年前に三人の死を予言し姿を消した、 百発百中の予言者「ヒミコのオッサン」。 漫画家志望の大輝と、ミュージシャン志望の茂夫は、 軽い気持ちで彼の行方と正体を探りはじめる。 当時をよく知る人々の取材をするうちに、 二人が辿りついたのは、想像を絶する恐怖の真相だった……。 「粘膜シリーズ」で人気沸騰中の飴村行が、 約二年間の沈黙を破って放つ、渾身の怪作。