小説むすび | 出版社 : 文藝春秋

出版社 : 文藝春秋

サクラ秘密基地サクラ秘密基地

出版社

文藝春秋

発売日

2013年3月13日 発売

“直木賞受賞作”『花まんま』や、“涙腺崩壊”のキャッチフレーズ『かたみ歌』で、読者の涙を誘った短編の名手・朱川湊人が、家族と写真にまつわるちょっぴり不思議で哀しいお話をお贈りします。二〇一二年秋に、三十九年の長期連載が幕を閉じたミステリ界の巨人・佐野洋氏の連載「推理日記」で、設定の妙を大絶賛された、UFOをでっち上げた同級生の美人の女の子の身の上話「飛行物体ルルー」、とある事故をきっかけにして、優しかった近所のおねえさんの意外な一面を見てしまった少年の淡い慕情の顚末「コスモス書簡」、ぶっきらぼうで、口より手が先に出る不器用な父と、その父に寄り添うように暮らす聡い男の子、そして同じボロアパートに、とある事情で身を隠すように暮らすことになった“私”との心の交流を描いた「スズメ鈴松」、ほのかな想いを寄せながら亡くなった同級生の想いが、不思議なカメラに乗り移ってもたらされた写真にまつわる奇妙な出来事「黄昏アルバム」、小学生の男子四人でつくった秘密基地にまつわる哀しい過去を巡る表題作「サクラ秘密基地」など、夕焼けを見るような郷愁と、乾いた心に切ない涙を誘う、短編を六本を収録。

ギッちょんギッちょん

出版社

文藝春秋

発売日

2013年3月12日 発売

著者・山下澄人は北海道などを拠点に活動を続けてきた劇作家、演出家、兼俳優。その劇を観に通っていた編集者のすすめで書いた小説『緑のさる』(平凡社)で昨年末に野間文芸新人賞を受賞した注目の書き手です。今回の作品集の表題作「ギッちょん」は第147回芥川賞候補作にもなりました。「ギッちょん」は、ある男の一生が、時系列をシャッフルして語られます。腕白な少年時代、荒れた十代、放浪の青春時代、ホームレスになった四十代、清掃業に就き静かに死を待つ晩年の情景が次々にたちあがってきて、次第に胸がしめつけられるような心持になります。「水の音しかしない」は、サラリーマンの不条理劇のようにはじまりながら、やがて読者は大震災後の混沌とした世界に連れて行かれていることに気付きます。「トゥンブクトゥ」では、街の雑踏で交差していた老若男女さまざまな人々の思惑が、やがて暴力的なものに変容し、決着をつけるかのように、皆が海辺へと向かいます。読むたびに変貌をとげるこの作品群は、小説の新たな地平を切り拓くことになるでしょう。

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