出版社 : 文藝春秋
25年前に別れた恋人から突然の連絡が。「あなたの息子が重体です」。日本を代表するコンピュータ開発者の「私」に息子がいたなんて。このまま一度も会うことなく死んでしまうのか…。奇しくも天才プログラマーとして活躍する息子のデータを巡って、「私」は、原発建設がからまったハイテク犯罪の壮絶な渦中に巻き込まれていく。
修道院で育った汚れなき乙女フランチェス子のオ×××に人面瘡がデキた!「お前はダメ女だ」と朝な夕なに罵倒する人面瘡を、けなげにも“古賀さん”と呼んで共同生活をするフランチェス子の運命やいかに?極北の笑いと奇想天外な物語の裏に、現代人のジェンダーを見つめる醒めた視線が光る、著者の代表作。
明治維新とともに出発した新しい政府は、内外に深刻な問題を抱え絶えず分裂の危機を孕んでいた。明治六年、長い間くすぶり続けていた不満が爆発した。西郷隆盛が主唱した「征韓論」は、国の存亡を賭けた抗争にまで沸騰してゆく。征韓論から、西南戦争の結末まで新生日本を根底からゆさぶった、激動の時代を描く長篇小説全十冊。
西郷隆盛と大久保利通ーともに薩摩に生をうけ、維新の立役者となり、そして今や新政府の領袖である二人は、年来の友誼を捨て、征韓論をめぐり、鋭く対立した。西郷=征韓論派、大久保=反征韓論派の激突は、政府を崩壊させ、日本中を大混乱におとしいれた。事態の収拾を誤ることがあれば、この国は一気に滅ぶであろう…。
突然、燃え上がった若者の頭、心臓だけ腐った男の死体、池に浮んだデスマスク、幽体離脱した少年……警視庁捜査一課の草薙俊平が、説明のつかない難事件にぶつかったとき、必ず訪ねる友人がいる。帝都大学理工学部物理学科助教授・湯川学。常識を超えた謎に天才科学者が挑む、連作ミステリーのシリーズ第一作。解説・佐野史郎 第一章 燃える もえる 第二章 転写る うつる 第三章 壊死る くさる 第四章 爆ぜる はぜる 第五章 離脱る ぬける 解説・佐野史郎
舞台は17世紀イタリア、トスカーナの小都市。思わぬことで殺人犯となったジャコモは、斬首刑に処せられる直前、面会に来た若妻エレナの鼻を食いちぎった!遺された妻が送ったその後の人生とは?地中海に面した町で繰り広げられる、この上もなく美しくグロテスクで恐ろしい物語。
月日貝、五月闇、河骨、青北風、夜神楽、寒茜など…四季を彩る季語に触発されながら、愛を巡る揺らぎと畏れを主題に、生命の不思議、稠密な性の交感、人生の哀切をみごとに官能的な文章に結晶させた名品12の短篇連作集。谷崎賞作家が描く、滅びへと向かう主人公たちのなまめかしくも妖しく、美しく切ない12の人生。
冬になるとワカサギ釣りに熱中していた時期があった。シーズンが始まったばかりの頃、氷が割れて湖に落ちかけたことがある。それを救ってくれたのが、釣り名人の園田かよさんだったー。表題作の「冬物語」をはじめ、人生の喜びと悲しみを温かな視線で切りとって見せた、珠玉の短篇12篇をおさめる。
材木商伊勢屋忠兵衛からの度重なる申し出に心揺れる、深川芸者のお文。一方、本業の髪結いの傍ら同心の小者を務める伊三次は、頻発する幼女殺しに忙殺され、二人の心の隙間は広がってゆく…。別れ、裏切り、友の死、そして仇討ち。世の中の道理では割り切れない人の痛みを描く人気シリーズ、波瀾の第二弾。
尾張、清洲城下のはずれで、二十の於蝶は五月晴れのもとにのびやかな肢体をなげだしていた。夏草のにおいと果肉のような体臭に木立を進む武士は惑乱した。一瞬の後に…。川中島から姉川合戦に到る年月を甲賀忍びの技と道に賭してゆく於蝶。おのが生理と心をあやつり、死闘を繰り広げる女忍びの活躍は、ここからはじまる。
織田信長、浅井長政らの屋敷に侍して、機をうかがう於蝶の、六年前、どことなく少女めいた硬いふくらみに引きしまっていた肉体は、どこも成熟しつくしている。(大好きな上杉謙信公のために…)常人ばなれした女忍者の秘めた女心と香りたつ生命が、戦場に魅惑的な光をなげかける。人気を博した忍者小説三部作、第一弾。
緑豊かなニュータウンを騒然とさせた九歳の少女の殺人事件。犯人として補導されたのは、ぼくの十三歳の弟だった!崩壊する家族、変質する地域社会、沈黙を守る学校…。殺人者のこころの深部と真実を求めて、十四歳の兄は調査を始める。少年の孤独な闘いと成長を痛ましくもみずみずしく描く、感動のミステリー。
肥後の大大名細川家の基礎を築き、「神道歌道の国師」とも称された幽斎。第十三代将軍義輝の異母弟として生まれ、室町幕府の名門細川家の養子となり、足利将軍家二代を支え、それでいて信長、秀吉、家康のいずれからも厚遇を受けた。戦国動乱の興亡を如何に生き抜いたのか、その出処進退の鮮やかさと諸芸に通じた文人武将の生涯。
伊丹の新酒を江戸に運ぶ新酒番船の一艘が難破。船頭の息子と知り合った「かわせみ」の面々が心配するなか、船頭が生還したとの知らせが…表題作など全七篇収録。「御宿かわせみ」シリーズ第26巻。
銀行員・今田大六はいつか一発あててやるぞと、闘志だけは満々だが、うだつのあがらぬ毎日。ある日、大六に一千万円紛失の疑いが。退職に追い込まれた彼を、以前から不思議な縁のあったカリスマ相場師・根岸が拾う。彼の驚くべき仕事振りを目にして、大六の人生は大きく変わっていくー。異色の風刺小説“新装版”。