出版社 : 文藝春秋
同心・木村忠吾が男色の侍に誘拐されて…「男色一本饂飩」。平蔵が乞食浪人に化けて大立廻り…「土蜘蛛の金五郎」。盗んだ三百両を人知れず返しにゆく老盗人の名人芸…「穴」。地震にさえ腰を抜かす弱虫の同心が、妻女を殺されて命をかけての敵討ち…「泣き味噌屋」。他に三篇を収録。
筑後川下流の島に生まれた稔は発明好きで戦前は刀鍛冶、戦中は鉄砲修理、戦後は海苔の加工機製造などをしてきたが、戦死した兵隊や亡き初恋の人、友達、家族の魂の癒しのため島中の墓の骨を集めて白仏を造ろうと思い立つ。明治大正昭和を生きた祖父を描く芥川賞受賞第一作。1999年仏・フェミナ賞外国文学賞を日本人初受賞。
三十年近くコンビナートの荷役をし、酒を飲むだけが楽しみ。そんな男のもとに、十五夜の晩、偶然、転がり込んだ美しい女ー出会うはずのない二人が出会ったとき、今にも壊れそうに軋みながらも、癒しのドラマが始まる。表題作ほか、子供のころ、男と逃げた母親との再会を描く「ピエタ」など全七篇の短篇集。
2002年秋、80万人の中学生が学校を捨てた!経済の大停滞が続く日本で彼らはネットビジネスを開始、円圏を巡るアジア通貨危機では、情報戦略を駆使して意外な結末をもたらす。その後、全世界の注目の中で、彼らのエクソダス(脱出)が始まったー壮大な規模で現代日本の絶望と希望を描く最新長編。
切れるな!閉じるな!池袋で会おう!さらに鋭く、マコトとGボーイズが、池袋の灰色ゾーンを駆ける。時代の「エッジ」を生きる少年たちを活写する、新世代ストリートミステリー。
金の力を笠に着た札差に、知恵と度胸で立ち向かえ!上司の不始末の責めを負って同心の職を辞し、庶民相手に鍋釜や小銭を貸す損料屋に身をやつした喜八郎。元上役の秋山や深川のいなせな仲間たちと力を合わせ、巨利を貪る札差たちと打打発止と渡り合う。オール読物新人賞受賞の新鋭が贈る痛快時代小説。
地獄谷温泉のそばの森で、ひとりの男と一匹の猿が、射殺された。使用された弾丸の旋条痕は、半月前に東京で射殺された若いOLにつかわれたものと一致する。ふたつの事件のつながりは?犯人はなぜ、ものいわぬ猿まで殺さねばならなかったのか…。表題作ほか、十津川警部の推理が冴えるトラベル・ミステリー傑作集。
帰りたい、でもどこへ?僕たちの人生も半ばを過ぎたー。古郷を出て20年あまり。旧友の死が、4人を再会させた。彼らの帰る場所はどこなのか?渾身250枚の書き下ろしを含む力作中篇集。
はっと、平蔵が舟の中へ身を伏せた。荒屋敷の潜門がしずかに開き浪人風の男があらわれ、あたりに目をくばっている。(これほどの奴がいたのか…)平蔵の全身をするどい緊張がつらぬいた。凄絶な鬼平の剣技を描く「血闘」をはじめ「霧の七郎」「五年目の客」「密通」「あばたの新助」「おみね徳次郎」など八篇。
「つくづくとばかばかしく思うのだよ」なれど「このお役目が、おれの性にぴたりはまっている」のである。だから火盗改方の長官・長谷川平蔵は、疲れにもめげず今日もまた出動する。作者もいよいよ脂の乗った「礼金二百両」「猫じゃらしの女」「剣客」「狐火」「大川の隠居」「盗賊人相書」「のっその医者」の七篇収録。
八丁堀同心・畝源三郎の嫡男・源太郎も、はや七歳。いつもよりしおらしい麻生家の花世が気にかかる。花世の歯痛を治そうとして、幼い二人が偶然巻き込まれたのは…。表題作ほか、東吾とるいに待望の長子誕生の顛末を描いた「立春大吉」「虹のおもかげ」「狸穴坂の医者」など全八篇。江戸の春とともに旅籠「かわせみ」にも春の訪れか。
単車で転んで彼女にケガさせた。でも、彼女の白い肌もBMWも俺には同じ位愛しくて。伊豆の海沿いのカーブで、歌舞伎町の路上で、また二人きりの空間で生み出される“青春”という時間のつらなり。そこに在るのは、自由すらもて余してしまう凶暴な情熱と、ほんの少しの虚しさ…。切なくて、愛しい青春の五断片。
吉村貫一郎が生涯かけて貫き通した「義」とはいったい何なのか。切腹を命じた大野次郎右衛門の真意とは…。感動の結末へと物語は進む。非業の死を遂げた男たちの祈りはかなえられるか。日本人の「義」を問う感動巨篇!
斬り捨て御免の権限を持つ幕府の火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵。盗賊たちには“鬼の平蔵”と恐れられている。しかし、その素顔は義理も人情も心得た苦労人であ。彼を主人公に、さまざまな浮世の出来事を描き出し、新感覚の時代小説として評判高く、テレビに舞台に人気の集まる鬼平シリーズ第一巻。
四季おりおりの江戸の風物を背景に、喜びや悲しみを秘めた江戸の人間が生きている。そこに生まれる事件のサスペスンが、こころよい人情と溶けあう独自の境地。ご存じ鬼平シリーズの第二巻は、「蛇の眼」「谷中・いろは茶屋」「女掏摸お富」「妖盗葵小僧」「密偵」「お雪の乳房」「埋蔵金千両」の七篇を収めている。
“鬼平”と悪人たちから恐れられる幕府火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵が、ときにはユーモアをまじえ、ときには鋭い勘を働かせて、兇悪な盗賊を相手に大奮闘をつづける。その颯爽たる立廻りが大評判の人気シリーズ第三巻は「麻布ねずみ坂」「盗法秘伝」「艶婦の毒」「兇剣」「駿州・宇津谷峠」「むかしの男」の六篇を収録している。