出版社 : 文藝春秋
一生に一度は行きたい、「お伊勢まいり」。 大川端の旅宿「かわせみ」は、春の大嵐で屋根瓦が吹き飛び、休業を余儀なくされた。 そんな折、女主人のるいを、亡き畝源三郎の妻・千絵が、お伊勢まいりへと誘う。 品川宿に集まった一行は、東海道から箱根の関所、富士川と慣れぬ旅を続けるが、道中で次々と怪事件が起こる。 目的地・伊勢でるいを待っていたのは、思いも寄らない展開であった。 「御宿かわせみ」&「新・御宿かわせみ」シリーズ通算40巻目にして、初の長篇小説。
震災から四年半が経った地で深夜に海に潜り、被災者たちの遺留品を回収する瀬奈舟作。大切な家族や恋人を亡くした人々を募っての会員制による活動だったが、彼自身も津波で両親と兄を失っていた。ある日、遺族の一人である女性が現れ、なぜか亡くした夫の指輪を探さないでほしいと言うー。著者の新たな代表作となる鎮魂の書。
「まさか本当に死ぬとは思わなかったの。びっくりしたわ」79歳の母が72歳の父を殺した、との連絡に姉弟3人が駆け付けた。母手製の筍ご飯を食べながら、身勝手で女性が絶えなかった父の、死体処理の相談を始めるー男女とは、家族とは何か。ある家族の半世紀を視点人物を替えて描いた、愛を巡る8つの物語。
「僕らの愛は、悲劇的な終わり方をした」憧れの女性との幸福な結婚生活に潜んでいた切ない真実(「彼女の宝石」)、大切な人たちの首元にふと現れる不思議なモノ(「さみしいマフラー」)他、アイドルへの一途な愛、巨大でピュアで惚れ惚れするような愛の姿が、一つ一つ心に染みわたる。名手が放つ感動直球!短編集。
失業中の28歳青年の冴えない日常に押し入ってきた強盗。「大声をだすな」というその声はやけに甲高く、背が低くて…。逆転につぐ逆転のストーリーの面白さ、軽やかな文章が光る「オール讀物推理小説新人賞」受賞作ほか、ふと引っかかる言葉の謎から、事件の意外な真相をこまやかに解き明かす7編の快感ミステリー。
競合デパートとしのぎを削る大松屋銀座店の法人外商部課長・津川直二郎は、突然、大口顧客から取引停止を通告される。年商二億円の商権を失う危機に、左遷を仄めかす上司。津川が挽回に奔走する最中、妻は不倫に走り、娘は万引き事件を起こし、家庭にも深刻な亀裂が。人生最悪の逆風に直面した男の選択とは?
「おいタケ!ちゃんとやってるか?」大学をドロップアウトしてストリップ劇場のエレベーター番になった俺を“コメディアン志望の若者”に変えたのは深見の師匠の一言だった。ビートたけしがついに描くあの日の浅草と師匠の物語。
南町奉行所の定町回りの同心土久呂凶四郎は、池の端の出合い茶屋の殺しの現場で、妻の阿久里が無残に惨殺されていたのを目撃してしまった。何故妻がこのような所で、一体誰に?以来凶四郎は不眠症になってしまい、勤めに支障をきたすことに。見かねた奉行の根岸は凶四郎に夜廻りを命じた。不穏な新章、いよいよスタート!
東京マラソンと浅草三社祭で覚醒剤混入殺人事件が相次いで発生!警視庁公安部のエース青山の大胆な捜査の末に、暴力団と中・韓・露マフィアの複合犯罪が明らかに。最強かつ「最恐」の組織はどこか?青山と同期カルテットは人事レースを生き残れるのか?公安出身の著者ならではのリアルすぎる書下しシリーズ第12弾、遂に完結!
「けっして瞋るな。瞋れば命を失う」父の訓えを守り、檻の中で運命を受け入れて暮らす彼が、太平洋戦争下の過酷に苦しむ人間たちを前に掟を破る時ーそれぞれの哀切と尊厳が胸に迫る表題作ほか、昭和四十年の日帰りスキー旅行を描く「帰り道」、学徒将校が満洲で奇妙な軍人に出会う「流離人」など華と涙の王道六編。
特殊能力を活かし、裏のコンサルタントとして生きる女・水原は、旧知の湯浅に堂上という男の調査を依頼される。実は堂上の正体は新種の頂点捕食者ー人のエネルギーを摂取して生きるーであることが判明し、さらに中国で要人暗殺に係わった頂捕が日本に潜入しているという。そんな折、水原と接触した堂上が行方を絶つ。
水原は、自分の存在意義や能力を知らされた中国人の頂点捕食者が、ある目的をもって日本にやってきたと推測する。彼らの参謀は誰か、そして目的とはー。堂上は殺され、水原は中国人頂捕たちの行方を追うが、逆に中国安全部に拉致される。その裏では、国家的な陰謀が蠢いていた。「魔女」シリーズ第3弾。
未確認テロ情報を受けた十津川警部は、乗客の危険を未然に防ぐため豪華客船「飛鳥2」に乗船する。平穏な日本一周の船旅は、船内に響き渡る爆発音とともに急転、乗客乗員千名は、突如人質となってしまう。姿見せぬ犯人の正体とは、その要求とは?十津川は彼らとの交渉に乗り出すが…。国際問題を背景とした社会派ミステリー。
政治と共に世に出、政治によって抹殺された千利休。利休の編み出した「侘数寄」の精神は、美の世界を支配した。牧村兵部、瀬田掃部、古田織部、細川忠興という利休七哲に数えられる高弟たちによって語られる、利休と秀吉との相剋。弟子たちの生涯から、利休の求めた理想の茶の湯と、その死の真相に迫っていく。
結婚が政略であり、嫁入りが高度な外交であった戦国時代。各々の方法で城を守ろうとした四人の女城主がいた。美濃国・岩村城を守る信長の叔母珠子。能登国・七尾城で息子・畠山義隆とともに上杉と戦う佐代。そして、筑後国・柳川城で夫・立花宗茂の留守を守る〓(ぎん)千代など時代に翻弄される四人を描く歴史小説。
大工の良吉と夫婦約束をしていた仲居が姿を消した。しかも己の痕跡を消そうとするかのように、塵一つ残していなかった。秋山家の奉公人の太市は良吉とともに行方を追い、ようやく見つけたかに思えたが、彼女は見向きもしない。裏切られたと良吉は自棄になるが、久蔵はある可能性に気づき、網を張ることに…。シリーズ第3弾!
平岩弓枝の「御宿かわせみ」は江戸人情だけじゃない、ミステリも侮れない! 物理トリックに心理トリック、フーダニットにホワイダニット……「御宿かわせみ」には、びっくりするほど秀逸なミステリ作品が多い、と書評家・大矢博子が、トリックを切り口に七作品を厳選。 かわせみシリーズの傑作「矢大臣殺し」は、アガサ・クリスティへのオマージュか? 巻末の著者インタビューに、創作のタネあかし、あり。
鹿野靖明、34歳。筋ジストロフィー患者で、一人では寝返りも打てない。だけど、自由に生きたい!自ら集めたボランティアに支えられての自宅暮らしはわがまま放題。バナナが食べたくなったら、たとえ真夜中でも我慢しない。病院で、ただ生きているだけなんて、意味がない。そのわがままは命がけだった。実話から生まれた映画のノベライズ。