小説むすび | 出版社 : 文藝春秋

出版社 : 文藝春秋

Xと云う患者 龍之介幻想Xと云う患者 龍之介幻想

あの文豪の生涯と作品を織りまぜて、リシャッフルし、夢見直して、12の妖しい、美しいピースに仕立てた本。それだけで十分すごいが、さらにこの日本語版は、原文の独特のリズムを緻密に再現し、等しく妖美な作品を再創造している。奇跡のような一冊。 ーー柴田元幸 本書を読む者は 必ずや二度三度と 芥川の文学的狂気に侵される。 イギリス暗黒文学の旗手が、芥川龍之介の生涯を恐るべきヴィジョンと魔術的な語りを通じて幻想文学として語り直す。 芥川龍之介。東方と西方の物語と伝承と信仰に魅せられた男。そのなかで静かに渦を巻く不安。それがページから少しずつ滲み出す。 半透明の歯車が帝都を襲った震災の瓦礫の彼方にうごめき、頽廃の上海の川面には死んだ犬が浮き沈み、長崎には切支丹の影が落ち、己が生み出した虚構の分身が動き出し、そして漱石がロンドンでの怪異を語る。河童。ポオ。堀川保吉。ドッペルゲンゲル。鴉。マリア像。歯車。羅生門、藪の中、蜘蛛の糸、西方の人ーーキリスト。私のキリスト。 ジェイ・ルービン訳の芥川作品をピース自身の呪術的な語りとコラージュし/マッシュアップし/リミックスして生み出した幻想と不安のタペストリーを、コーマック・マッカーシーやリチャード・パワーズらを手がけた黒原敏行が芥川自身の文章と精密によりあわせて完成させた日本語版。芥川と幻想ノワールの結合として、原語版以上の衝撃をもって読者を眩惑する。 災厄と文学、狂気と詩情、日本文学と英国文学、現代文学と近代文学、現実と幻覚……すべての境界をおぼろに融かしてゆく文学と翻訳のはなれわざ。

渦 妹背山婦女庭訓 魂結び渦 妹背山婦女庭訓 魂結び

出版社

文藝春秋

発売日

2019年3月11日 発売

第161回直木賞受賞作。 選考委員激賞! 虚構と現実が反転する恐ろしさまで描き切った傑作! ──桐野夏生氏 いくつもの人生が渦を巻き、響き合って、小説宇宙を作り上げている。──高村薫氏 虚実の渦を作り出した、もう一人の近松がいた── 「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ 人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作! 江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。 大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章(のちの半二)。 末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、竹本座に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。 父からもらった近松門左衛門の硯に導かれるように物書きの世界に入ったが、 弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった……。 著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した奇蹟の芸術小説。 筆の先から墨がしたたる。 やがて、わしが文字になって溶けていく──

座席ナンバー7Aの恐怖座席ナンバー7Aの恐怖

娘の命が惜しければ、おまえがいま乗っている飛行機を落とせ。 事件解決のデッドラインはブエノスアイレス発の旅客機がベルリンに着陸する瞬間。 とんでもない仕掛けをひそませた〈閉鎖空間タイムリミット・サスペンス〉! 出産を控えた娘に会うため、精神科医クリューガーは旅客機に乗り込んだ。だが機が高空に達したとき、携帯電話が鳴る。相手は言うーー娘を誘拐した。解放してほしければその旅客機を落とせ。同機のチーフパーサーのカーヤは、高校生だったときに無差別銃撃事件に巻き込まれ、心の傷を負ってクリューガーの患者となった。彼はカーヤの心の弱点を知り尽くしている。そこを突いて彼女の心を破壊し、飛行機を落とせ。 一方、ベルリン。クリューガーの娘ネレは若い男に拉致された。どことも知れぬ廃墟に監禁されたネレ。その行方を追うクリューガーの元恋人フェリ。空の密室に閉ざされたクリューガーは、なんとか事態の突破口を見出そうと恐怖に駆られつつ奔走するが、謎は深まるばかり。無差別銃撃事件の隠された真相とは? そして、なぜ機内には死んだはずの彼の妻の香水がどこからともなく香ってくるのか……? 飛行機内で展開する謎また謎。監禁された女性をめぐる必死の追跡と、その陰に張り巡らされた奸計また奸計。ドイツのベストセラー作家が再び贈る閉鎖空間サスペンス。すべての謎が解かれたとき、物語全体に波及する真実が明らかになる!

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