出版社 : 文藝春秋
江戸のおんなを描いて「不世出の名人」と評された作家による最後の傑作!夫が浮気相手と子まで生したことに嫌気が差して、おこうは婚家を離れた。実家に戻っても安息は訪れない。奉公人の周旋や仲介をする口入れ屋の女主人に雇ってほしいと必死で頼んだのだが。単行本未収録の「ふたたびの浮き世」も掲載
年の瀬が迫り、次々と舞い込む研ぎ仕事を片付ける傍ら、小藤次は想いを交わすおりょうのため、芽柳一派旗揚げ新春歌会の設えに奔走する。そのさなか、永代橋から落下した男に謎の花御札を託され、男は死んだ。聞き慣れぬ「大黒町」の文字、小藤次を待ち伏せる頭巾をかぶった羽織の武家…。背後に蠢く幕府を揺るがす策略とは?
肴は豆腐の一品のみの、味も素っ気もない居酒屋が麻布にある。その夜、訪ねてきた女が「小柳安五郎が殺されても、いいのかえ?」といって、帰った。店の亭主は、以前、火付盗賊改方同心をつとめていた金三郎であった。(「おしま金三郎」)。ほかに「二度あることは」「顔」「怨恨」「高萩の捨五郎」「助太刀」「寺尾の治兵衛」の全七篇を収録。
チェ・ゲバラを、そしてラテンアメリカを描く大長編第2部。医師となったゲバラは、母国アルゼンチンを離れ、中米にたどり着く。軍人養成学校生、夜間救急医、街頭カメラマンなどをしながら、パナマ、コスタリカ、ニカラグア、グアテマラ…とカリブ諸国を“漂流”するうち、大国アメリカに蹂躙される小国の苦悩を目の当たりにする。義憤に燃えた彼は、やがて革命家としての道を歩みはじめるー。
『愛のかたち』-「愛しているんだ。ただ今は、この愛に埋没したくない」化粧品会社のパリ駐在員、渚詩子は、フランスの監獄から少年を脱獄させたいという奇妙な弁護士、ダニエルと知り合う。この出逢いをきっかけに、恋愛に疎かった詩子は愛の不思議に身をゆだねる。『南の島から来た男』-「わたしは楽園向きの女ではないと思う」新聞社のパリ支社で働く藤堂華子は、モーリシャス島出身で一文無しの青年ドムと、パリの屋根裏部屋で暮らすようになる。しかし、ドムにはある秘密があった。華子は愛とジャーナリストの矜持の間で揺れる。
帰宅途中に“魔王”を名乗る男に襲われた千夜が助かる手段はただひとつ。「面白い話をすれば殺さないでやる」元声優の意地にかけて語り始めたのは、姉・一夜がかつて作ったおとぎ話。だが“お話”は思いもよらぬ悪意を帯びて暴走し、姉妹の過去を甦らせる。アラビアン・ナイト×モダン・ホラー!
フェイクだらけの時代。真実は自分で見極めろ!渡された白いカードでコンビニATMを操作するだけで、報酬は十万円。そんな怪しいバイトに千人単位の若者を集める目的は?池袋の仲間と、新しい命を守るため、マコトとタカシが動く!