出版社 : 文藝春秋
「あたしは羽衣お炎。こう見えても、江戸じゃあちっとは知られた稼業人さ」四年前に佐渡へと送られた無宿人。嘘か真か、それが想い人の青峰信三郎らしい。“羽衣”の異名を持つ女渡世人のお炎はそんな噂を聞きつけ、アメリカ製の最新式六連発銃・コルトM1847を携え信三郎を探す旅に出た。しかし佐渡の金山には、「オドロ様」なる奇怪な像を信仰する邪教が広がっていた。オドロ様一党と対立し、追い詰められたお炎はコルトを抜くが、やがて恐るべき陰謀に巻き込まれるー。濁流のようにうねる物語。圧倒的なリーダビリティを誇る時代長編!
人情の町・深川に巨大安売り市場がやってくる!? 不況の嵐が吹き荒れる江戸。 同心を辞し、庶民相手に鍋釜や小銭を貸す 「損料屋」として暮らす喜八郎。ある日、地元の広大な空き地に 大掛かりな作事が始まる。どうやら巨大安売り市場が建てられるらしい。 このままでは地元の店が打撃を受け、人の繋がりも断ち切られてしまう。 大切な故郷を守るため、頭脳と人脈を駆使して、喜八郎が動き出すーー 目次 うしお汁 つけのぼせ 仲町のおぼろ月 にごり酒 春仕込み 牛天神 時代小説に新風を吹き込んだ 累計65万部の人気シリーズ最新刊!
明治に舞台を移した「新・御宿かわせみ」シリーズ第5弾・待望の文庫化! 婚礼の日の朝、千春の頬を伝う涙の理由を兄・麻太郎は摑みかねていた。 「かわせみ」の若者たちに訪れた転機と事件を描く。 表題作ほか、「宇治川屋の姉妹」「とりかえばや診療所」「殿様は色好み」 「新しい旅立ち」の全五篇収録。
年寄りをなめんなよ! 2018年の東京、日本を変えようと、テロをも辞さず老人たちが立ち上がったーー 「満洲国の人間」を名乗る老人からの、NHK爆破予告電話をきっかけに、 元週刊誌記者セキグチは巨大なテロ計画へと巻き込まれていく。 魅惑的な女性、カツラギと出会ったセキグチは、彼女の導きにより 謎の老人に、暴走する「オールド・テロリスト」たちを食い止める使命を与えられる。 「日本を再び焼野原に」という老人たちの主張に、反発しながらも価値観を揺さぶられるセキグチ。 果たしてセキグチたちを待つものは!? 本作は、『コインロッカー・ベイビーズ』、『愛と幻想のファシズム』、『5分後の世界』、『半島を出よ』、『希望の国のエグソダス』といった村上龍氏の長篇小説群の最先端に位置する作品です。 これらの長篇と同様に、読み進めるごとに、作者の現状への問いかけがひしひしと伝わります。 「後期高齢者の老人たちが、テロも辞さず、日本を変えようと立ち上がるという物語のアイデアが浮かんだのは、もうずいぶん前のことだ。その年代の人々は何らかの形で戦争を体験し、食糧難の時代を生きている。だいたい、殺されもせず、病死も自殺もせず、寝たきりにもならず生き延びるということ自体、すごいと思う。彼らの中で、さらに経済的に成功し、社会的にもリスペクトされ、極限状況も体験している連中が、義憤を覚え、ネットワークを作り、持てる力をフルに使って立ち上がればどうなるのだろうか。どうやって戦いを挑み、展開するだろうか。」(著者「あとがき」より) 解説は、「オールド・テロリスト」世代の旗手といってもいい、田原総一朗氏。 これぞ村上龍と唸るほかない、唯一無比の長篇。 656ページノンストップの読書体験!
幼いころに父を失い、織田、今川両家の人質となり、苦労を重ねる家康。桶狭間の戦いで、今川から自由となったが、織田と同盟を結んだことにより戦はまだまだ続く。越前朝倉攻め、姉川の戦い、三方ヶ原の戦い、長篠の戦い、甲州討入り、上田合戦。この時代に生きる事とは戦う事であった。戦無き世を夢見て、家康は戦い続ける。
本能寺の変、伊賀越え、小牧・長久手の戦い、小田原攻め、関東移封、朝鮮出兵、関ヶ原、大坂の陣。遂に戦無き世を実現させた家康だが、天下を落ち着かせるにはまだ果たさねばならないことがある。戦国乱世を終わらせた武将にして現代日本の礎を築いた男の一生を渾身の筆で世に問うた遺作、遂に文庫化。
昭和4年。著者の父・宮本演彦は慶應の予科に通い、さらに本科に進む。教壇に立つのは西脇順三郎や折口信夫。またたびたび訪れた歌舞伎座の舞台には、十五代目羽左衛門、五代目福助が…。父が遺した日記は、時代の波の中に浮かんでは消えていく伝説の人々の姿を捉えていた。“本の達人”が描く小さな昭和史。著者のライフワーク3部作第2巻。
毎夜、午前一時にバーに現われる男。書かれなかったはずの手紙を、たったひとり受け留め続ける郵便局員。植物になって生き直したいと願う青年ーーこれ以上なく愛おしき人々の、めくるめく毎日が連鎖していく。『教団X』『去年の冬、きみと別れ』『R帝国』など、話題作をぞくぞく放ち、世界中で翻訳される作家の、狂気とユーモア、愉悦、すべてが詰め込まれた魔性の50ストーリーズ。
秋雨が十日も続き、仕事にあぶれた住民たちが食べ物にも事欠くようになった新兵衛長屋で、炊き出しが行われることになった。その会場の空き部屋で、勝五郎が金無垢の根付を見つけた。元の住人は夜鷹の女、しかも部屋には家探しした跡がある。小藤次は根付の持ち主探しにかかわるが、はたして根付は誰のもとに落ち着くのか!?
冬季閉鎖中のホテルで起きた惨劇から30年。超能力“かがやき”をもつかつての少年ダンは、大人になった今も過去に苦しみながら、ホスピスで働いていた。ある日、彼の元に奇妙なメッセージが届く。差出人は同じ“かがやき”をもつ少女。その出会いが新たな惨劇の扉を開いた。ホラーの金字塔『シャイニング』の続編、堂々登場!
「あの人たちが野球少年を殺してる!」少女アブラは超能力を介し、陰惨な殺人事件を「目撃」する。それは、子どもの“かがやき”を食らって生きる“真結族”による犯行の現場だった。その魔の手はやがてアブラへと迫る。助けを求められたダンは、彼らとの闘いを決意。そして次なる悪夢へと導かれる…。
夫の夢 維新を助けた 愛妻ーー 明治維新を成し遂げた隆盛を陰で支える糸子。歴史を創るのは女と男。微笑みと愛に溢れる波瀾万丈の一生! 糸子は寝物語や団欒で、隆盛を勇気づけ、薩長盟約が成り江戸城無血開城となる。 男三人を産み、島妻(あんご)愛加那の二人の子も、こつこつのびのびほめほめ、と育てる。 イラスト満載で語られる歴史ロマン。
この四兄弟がいなければ、幕末の歴史は変わっていただろうー。子福者と天下に羨まれた徳川傍流・高須家から尾張、会津、桑名に散った若き兄弟は動乱の中、維新派と佐幕派に分かれ対立を深めてゆく。葵の御紋の誇りを胸に、新時代の礎となった高須四兄弟の運命を描く!
累計90万部突破! 文庫書下ろし 絶好調シリーズ第10弾! 京都・祇園祭の夜に5発の銃声が響いた! コリアンマフィアと中国マフィアの抗争の背後には、北朝鮮のサイバーテロ、そして仮想通貨強奪計画があった。 さらに絡まる半グレと芸能ヤクザの闇を、警視庁公安部のエース青山望が追う! 同期カルテットも結集して日本の敵を「一網打尽」にできるのか? 公安を知りすぎた著者の絶好調シリーズ第10弾。 【目次】 プロローグ 第一章 祇園祭の銃声 第二章 半グレたち 第三章 北朝鮮と仮想通貨 第四章 中国サイバー軍 第五章 高野山の予感 第六章 共通の敵 第七章 銀座の金塊 第八章 対決 エピローグ
どこにも、逃げられないよ──。 長老との結婚を拒絶する女は舌を抜かれてしまう、という掟のある村で、ある少女が結婚相手として選ばれる「雀」。 ある日突然、武装集団によって、泥に囲まれた島に拉致された女子高生たちを描いた「泥」。 アイドルを目指す「夢の奴隷」である少女。彼女の「神様」の意外な姿とは?(「神様男」)。 管理所に収容された人々は「山羊の群れ」と呼ばれ、理不尽で過酷な労働に従事し、時に動物より躊躇なく殺される。死と紙一重の鐘突き番にさせられた少年の運命は?(「山羊の目は空を青く映すか」)……など。 時代や場所にかかわらず、人間社会に現れる、さまざまな抑圧と奴隷状態。 それは「かつて」の「遠い場所」ではなく、「いま」「ここ」で起きている。 あなたもすでに、現代というディストピアの奴隷なのかもしれないーー。 様々な囚われの姿を容赦なく描いた七つの物語。 桐野夏生の想像力と感応力が炸裂した異色短編集。 解説は政治学者の白井聡。 カバーイラストは、かわいさと残酷性を併せ持った作風で物議を醸すLA在住の画家、Luke ChuehのRough Waters。
「乗客全員をマークせよ」。警視庁副総監の特命を帯び、人気豪華列車「ななつ星in九州」に乗り込んだ十津川警部。台湾からの旅行客、アメリカ人夫婦、気鋭の歴史学者、外務省の職員…同乗する彼らの目的が、隠された日中の歴史の真実を明かすことだと突き止めるも、相定外の妨害工作が襲う。絶体絶命の危機に、乗客たちの運命は!?
バイト先の女子高生との淡い恋、転校してきた美少女へのときめき、年上劇団員との溺れるような日々、集団自殺の一歩手前で抱いた恋心、そして人生の夕暮れ時の穏やかな想い…。サプライズ・ミステリーの名手が綴る恋愛小説集は、一筋縄でいくはずがない!?企みに気づいた瞬間、読み返さずにはいられなくなる一冊。
フランス陸軍士官のジュール・ブリュネは軍事顧問として来日し、伝習隊の指導にあたっていた。大政奉還が行われ幕府の終焉とともにブリュネらも解任されるが、日本人の士道に感じ入った彼は母国の方針に反旗を翻し、土方歳三らとともに戊辰戦争に身を投じる。「ラストサムライ」のモデルを描いた感動大作。