出版社 : 新潮社
少年拘置所で悪逆な監督官に命を狙われたネイサンは、身を守ろうとして彼を死なせ、脱走。忍びこんだ家のラジオで、自分が一方的に断罪されていることを知り、自らトーク番組に電話を入れる。トーク・ジョッキーの“ザ・ビッチ”はネイサンの擁護に回り、彼は一躍メディアの寵児となるが、捜査を開始した警察とともに、暗黒街の黒幕が送り出した第二の殺し屋が彼を追っていたー。
炸裂する砲弾、絶望的な突撃。凄惨極まる戦場で、作家の視線が何かを捉えたー1937年、ヘミングウェイはスペイン内戦を取材、死を垣間見たこの体験が、以降の作品群に新たな光芒を与えることになる。「蝶々と戦車」を始めとするスペイン内戦ものに加え、自らの内面を凝視するラヴ・ストーリー「異郷」など、生前未発表の7編を含む全22編。遺族らの手による初の決定版短編全集、完結編。
妊婦ら四人を殺害した兇悪粗暴な男ウォートンは死刑囚舎房にやってくるなり看守のひとりを殺しかけた。看守主任を務めるポールは、その日持病の尿路感染症が悪化し、激痛に苦しんでいたのだが、なんとか騒ぎを鎮めた。その後、いつもおとなしい大男の死刑囚コーフィが、なぜか懇願するようにポールを独居房内に呼び入れ、下腹部に手を触れてきた。そして次の瞬間、奇跡が起きた…。
果てしなく求め、無限に連なる快楽のひだに身をまかせながら駆け抜ける、男と女のセクシュアルな関係を妖しく揺れうごく心理とともに描きだす。過激に、大胆に、繊細に、そして軽やかにとらえた様ざまな恋愛のすがた。九編を収録。
思いのままに吹く風のように自由な医者タイガ、大きな愛情で優しくいたわってくれるダイチ。一つを選ぶということは、一つをなくすということ。ふたりのあいだでゆれる杏奈。震災に裂かれた神戸と聖なるヒマラヤを舞台に描く書き下ろし恋愛長編。
ロンドンに今も残る、異様な様式の七つの教会で発生した連続殺人。捜査にあたるホークスムア警視正の前に立ちはだかるのは、十八世紀の建築師ニコラス・ダイアーが仕掛けた「謎」-過去と現在を二つの文体で往復しながら読者を迷路に誘い込み、イギリス読書界を慄然とさせた現代の「言葉の魔術師」ピーター・アクロイドの最高傑作。
敵はヤクザ、政治家、建設会社、狙うは数十億円の巨大利権、そして相棒は…疫病神!?建設コンサルタント・二宮啓之が巻き込まれた「産業廃棄物処理場」をめぐる熾烈なシノギ合い。襲いかかる容赦ない暴力、やがて姿を現す巨悪の構図-小気味よい会話で描く関西風味ハードボイルドの頂点。
毒島町の財政は破綻寸前だ。予算を根こそぎ使ったあげく、町長はポックリあの世行き。残された者たちが苦しまぎれに思いついた、観光客誘致の妙手とは…?表題作をはじめ、人の心を読んで犯罪捜査を行う刑事が活躍する「チャネリング刑事」、謎の団体「裏プロレス」の死闘を描く「闇のリング」、ジュラシックならぬ「クラシック・パーク」など、バカバカしい笑いに溢れた11編。
「ミスターJ」は、放送作家の私が仲間と創りあげた架空のコラムニスト。この正体不明の男が評判を呼んだとき、私は実在の男にその役割を振りあてた。彼がこれほどの「怪物」に育つとは思いもよらずに。深夜放送で若者の苛立ちや鬱屈を代弁してカルト的人気をえた彼は、毒舌で大衆を扇動しつつ、攻撃の矛先を意外な方向にむけ始める…。情報化社会にひそむ恐怖を描く現代の都市伝説。
村田風子は女学生の時、8月9日に被爆した。終戦から5年後の1950年20歳の風子は、大阪の「中国研究会」に就職。その小さな編集室に光あふれる風子の青春があった。人妻と愛人関係にある編集長をはじめ、過去を背負いながら戦争を生きぬいてきた人達の生の輝きと静かな死…。還暦を迎えた風子は、あの日の自分の心を確認するために再度旅にでた。青春の光と影を描く自伝的長編小説。
死刑囚舎房の夏は、インディアン系囚人の処刑で始まった。その頃「グリーン・マイル」には不思議な鼠があらわれた。食べ物をやると神妙な態度で床にちょこんと座って食べ、糸巻きを相手にサーカスさながらの芸当をやる、驚くほど知性的な鼠だった。6人の人間を生きながら焼き殺した囚人ドラクロアが、この鼠の飼い主となったのだがー最悪の地獄がいま、始まろうとしていた…。
私の心を束縛し、私の自由を許さない美しき親友のえり子。彼女の支配から逃れるため、私は麦生を愛し、彼の肉体を知ることで、少女期からの飛翔を遂げる「蝶々の纏足」。教室という牢獄の中で、生贄となり苛めをうける転校生の少女。少女は自分を辱めた同級生を、心の中でひとりずつ処刑し葬っていく「風葬の教室」。少女が女へと変身してゆく思春期の感性をリリカルに描いた3編を収録。
凄惨な連続殺人が発生した。独り暮らしの女性達が監禁され、全身を刺されているがレイプの痕はない。被害者の一人が通っていたコンビニでの強盗事件を担当した女性刑事は、現場に居合わせた不審な男を追うが、突然彼女の友人が行方不明に…。孤独を抱える男と女の、せつない愛と暴力が渦巻く戦慄のサイコホラー。日本推理サスペンス大賞優秀作を新たな構想のもとに、全面改稿。
二人は隣同士の家で、双子の兄弟のように育った。親の期待どおりの人生を歩んだ男と、親を裏切るように道を外れた男。彼らを結ぶものは、友情と嫉妬と一人の女。そして嵐の晩、一人は海で溺死する。突然の死の理由は?ふたつの家族を結びつける過去の事件とは?神戸、鎌倉、東京を舞台に、見えない糸が繋がってゆく。
あいつはやはり生きていた!双葉山中に潜むあの殺人鬼が、麓の街に姿を現わしたのだ。凄惨きわまりない殺戮の狂宴が、いま再び始まる。他人の“目”になる不思議な能力を持った少年・真実哉との対決の行方は?そして明かされる、驚くべきその正体とは…。ミステリー界に一大衝撃をもたらした、新本格スプラッタ・ホラーの第二弾!あなたはこの恐怖に耐えられるか。
悪性腫瘍の手術から半年。免疫強化剤による宙を漂うような状態の中で、作家は小説を書いている。最後の作品になるかも知れぬ小説を、自分の頭蓋骨の内側に坐りこむのにも似た書斎で。私はあのとき確かに生きていたのだ、と感じられる場景に出会うために。想起することで高められ、強められる現実感を呼びよせようとして。死にも対峙し得る記憶の鮮烈、濃密な瞬間を…。野間文芸賞受賞。