出版社 : 新潮社
時は三代将軍・義満の治世。将軍の従弟にあたる剣の達人・来海頼冬は、血筋ゆえに刺客に追われる日々を送っていた。その前に現われた水軍の頭目父子。彼らは、南北の朝廷を超えて日本の「帝」たらんとする義満の野望を打ち砕くべく、玄界灘一帯で奇襲と抵抗に明け暮れていた。頼冬はそこに、歴史の光明を見出す。南北朝統一という夢を追った男たちの戦いを描く、『武王の門』続編。
宮本武蔵に打ち勝つ事。それのみを念頭に鍛練を重ねた兵法者がいた。夢想権之助は、香取神道流の印可を受け、一刀流、馬庭念流など様々な流派の奥旨を得て武蔵と立合ったが、あえなく敗れてしまう。剣を捨て、諸国を遍歴するうちに、権之助は、杖という新しい得物に出合う。幾年かの苛酷な鍛練の末、数々の秘技を会得して、独自の杖術に開眼する。そして、権之助は再び武蔵に挑んだ。
テキサス州の小さな田舎町、アガタイトで、ある日、若い女性の惨殺死体が発見された。しかも、綺麗にマニキュアされた指の爪のうち三本が、なぜか切り落とされていた。エイブル保安官は捜査を開始するが、犯人像は一向に浮かんでこない。大規模な葬儀が行われる暑い夏の朝、彼は三本の爪を持ち歩いている奇妙な男の話を耳に挾んだ…。ありふれた町を舞台に描く異色サスペンス。
顔面を潰す。切り刻む。マグナムで吹き飛ばす。そして両腕を切り落とす。なぜ。あの女たちに血のしるしがついていたからだ…。相次ぐ惨殺事件に凍りつくヒューストン。女手ひとつで娘を育てるケイシーは、そんな街のアパートメントに越してきた。隣人はフリーライター、心理学者、会計士。そのひとりの目に、この母娘の血のしるしが鮮明に映ったー。戦慄のサイコ・サスペンス。
29歳の誕生日に失恋、仕事も挫折。おまけに十円禿まで。そんな時、突然現れた超三高男の強引なプロポーズ…。ふとしたことから始めた心優しき男友達と女二人の奇妙な共同生活の中で、恋愛・友情・仕事・結婚など、都会で強がりながら生きるOLがぶつかる難問をユーモラスに活写。深い共感と高視聴率で話題をさらった人気ドラマの、あのせつない感動を再び。芸術選奨文部大臣賞・向田邦子賞ダブル受賞。
突然のキスにとまどい、反発しながらも、どうしようなく惹かれていく女心。次々と降りかかる厳しい現実と過去の残像の中に、見失いそうになる「幸福」の二文字。20代最後のクリスマスを、誰と迎えることになるのか。それぞれの選択の時がついに訪れる…。二つの賞に輝く名脚本から生まれた究極のラヴ・ストーリー。テレビとはひと味違う。
いかに厳重に見張られていても、巧みに家を抜け出してゆく美少女〓@49A3@、媚術に翻弄される五六。一方、孔子の使いとして費城に赴いた公冶長は、意外な裏切りの存在を知る。邪な少正卯一味に攪乱される孔子一族の危機。春秋の世を戦国の世に踏み込ませていったのは誰か-。東洋の房中医学にも分け入る、驚異の第5巻。中島敦記念賞受賞。
動物園の獣たちの気配に眠れずに過ごした試験前夜から入学式のない入学、一緒にデモを組んだ女子学生の湿気、同じ下宿の先輩との決別、そして、「自己」への問い…。新入生として初めて社会とぶつかった時の、ひりつくような感触と揺れ動く心を濃密に描き、約30年前、否応なく巻き込まれていった大学紛争の数カ月と、自らの立脚点を見つめ直した長編小説。
『舞夢』で知り合った謎の美女・涼子は三度目のデートに現れなかった。十日ほどして訪ねてきた彼女の姉・桐子は、涼子が行方不明になったことを告げ、部屋に残されていた涼子の日記を置いていく。その日記には、ぼくには全く覚えのない、ぼくと涼子との異常なセックスが綴られていた…。エロチシズムの香り漂う傑作長篇。
「どこまでも殺されていく僕がいる。いつまでも殺されていく僕がいる」七度も殺され、今まさに八度めに殺されようとしているという謎の手記。そして高校教師・横田勝彦のもとには、ある男子生徒から「僕は殺されようとしています。助けて下さい」という必死のメッセージが届く。生徒たちの協力を得て、殺人の阻止と謎の解明に挑む横田。周致な伏線と驚愕の展開に彩られた本格推理長編。
ヒューストン警察のヘイドン刑事はリーナを行方を追っていた。両親の反対を押して、以前平和部隊員として赴任したグアテマラに戻った彼女は、そこで大きな犯罪組織に巻き込まれたらしい。両親に雇われて現地入りした私立探偵も、姿を消した。嘘と裏切りが横行する国で、リーナに何が起きたのか。必死に真実の断片を繋ぎ合わせるヘイドンの前に、リーナの意外な素顔が浮かび上がる。
作戦名「軍閥」(ウォーロード)。その目的は、イスラム人民軍との死闘の末に囚われの身となり、イランに残された第45航空団の捕虜約300名の救出だった。作戦を実行するアルファ任務部隊の指揮官はルパート・スタンセル中佐。自身の能力にいささか懐疑的な彼だが、その下にはあの頼もしい強者たちが帰ってきた。ジャック・ロック、“サンダー”・ブライアントらは荒鷲と化し、中東の空に雄々しく舞う。
敗けいくさの日々が女子供や物言わぬ生きものたちの上へ、どのように降りかかって来たか-。“日本軍もまた各地でそうしてきた”略奪と残虐の実情-。忘れられない記憶が、戦後を生き延びた母たちの無念の叫び、鎮魂の祈りとともに語り出される…。
ある日僕らの音楽の先生が言った。ビートルズの歌を作ったのは、ジョン・レノンやポール・マッカートニーではないのだよ、と。時は1968年、僕は13歳だった-。ビートルズについて書かれた小説、麻薬中毒ミステリ作家の危ない独白…。英語圏で一番人気の文芸誌「グランタ」から選りすぐった新鮮な5篇。
男に隷属する以外、女性に生きる道はなかった時代に、『女性の権利の擁護』などというとんでもない本を著し、一大スキャンダルになった女。「結婚は公認の売春」と言い放ち、いくつもの恋をした女。何度も落ち込み、何度も蘇り、常にまっすぐ前を見つづけた女。今の女性の自由は、この人なくしてはなかった-その女、メアリーの38年間の生涯を、当時の生々しい風俗と共に活写した長編。
きみの助けが必要だ-写真学校の恩師から届いた突然の手紙。主人公の飛鳥理恵は恋人のいる故郷をあとに上京を決意する。報道写真家への情熱を胸に、待ち受けていたのは過酷な助手の仕事だった。やがて、訪れたチャンスをものにする理恵。しかし、マスコミの寵児と化した彼女を賛辞、羨望、中傷、嫉妬が翻弄するのであった…。
時は1870年。理想の音楽を求めて止まぬベルシュタイン公爵。公爵が目をかける新進音楽家フランツ・マイヤー。クラブ・ハウス「プレジャー・ドーム」の経営者である外国人興行師モーリィとパトロンのセントルークス卿。音楽を絶対的な快楽に変える麻薬「魔笛」と、人々を恐怖に陥れる音楽機械をめぐって暗躍する彼らは、その果てに何を見たのか。日本ファンタジーノベル大賞選考会にて選考委員を驚嘆させた、虚実混淆、波瀾万丈の物語。82歳にして博覧強記を誇る著者が、様々な仕掛けをこめて描く世紀末小説。
徳川吉宗は将軍職に就任するや、子飼いの忍びを紀州より参府させ、公儀御庭番として組織した。乱世の到来を虎視眈々と狙っていた伊賀甲賀の忍びが動き始めた。一人、また一人、御庭番が殺される。やがて御庭番は御三家筆頭尾張徳川家の不審な動きとその背後で暗躍する陰を察知する。かくて、忍び同士の秘術を尽くした死闘が始まった…。凄絶な忍者達の世界を描く連作伝奇長編。