出版社 : 新潮社
殺人現場に描かれる二つの十字架と罵倒の言葉。ソニーは連続殺人鬼“クロスキラー”に変身したのだ。ロサンジェルス市警が威信を賭けて事件の捜査に起用したジャック・ゴールド。腕利きだが、何かと噂の絶えない男でもある。独特の嗅覚で強引な捜査を進めるゴールドは“クロスキラー”を挙げられるのか。ダウンタウンに繰り広げられる心理異常者とはみ出し刑事の壮絶な戦い。
昭和二十年、八月十五日。南の海で敵を待つ日本軍の潜水艦を、てっきりメスと勘違いしたモテない雄クジラ。しきりにつきまとううちに、アメリカ軍に包囲され、クジラは爆雷の攻撃から“恋人”を守ろうとするが…。表題作ほか二篇、戦争の中で、誰かを愛し、誰かに愛され、死んでいった人と動物たちの絵物語。
信じられない。まさか、こんなSFめいたことが実際に起こるなんて…。昨日まで、確かに僕は「篠井有一」だった。が、目覚めると、僕は若い女に変貌していた。しかも五年後にタイムスリップして…。そして、この世界にはもう一人、「篠井有一」がいる…。ミステリー界に超新星デビュー。めくるめく論理と驚天動地のストーリーでSFを超える、本格推理小説。
1243年5月、異端討伐十字軍がピレネーの山麓に集結した。迎える異端カタリ派は、天空に突き立つ岩峰上の城塞を最後の砦としていた…。法王庁が絶対的な力を持ち、一方、王権も漸く台頭してきた中世ヨーロッパで、路上に生活の糧を求めて浮浪する“自由人”の眼に、教会は、教義は、騎士たちの生態は、どう見えたか。時代の転換期を舞台に、人間の自由と尊厳を問う長編小説。
ポルノなんだか、SFなんだか、政治小説なのか、ミステリーなのかわからない不思議な恋愛小説を書いている小説家の先生は川の向う岸に住んでいる。だから…彼岸先生。東京、ニューヨークで女性遍歴を重ねたドン・ファンで、プロの嘘つきである先生を、ぼくは人生の師と見立てたのだった。ロシア語を学ぶ十九歳のぼくと三十七歳の先生の奇妙な師弟関係を描いた平成版「こころ」。泉鏡花文学賞受賞作。
戦争で負傷したヘイスティングズは、旧友の招きにより、閑静なスタイルズ荘で静養することになった。しかし、彼はそこで、奇怪な事件にまきこまれることになる。別荘の所有者で富豪のイングルソープ夫人が、深夜、何者かによって密室の中で毒殺されたのだ。たまたまその村に居合せたもとベルギー警察の名探偵ポワロの緻密な推理が始まる…。ミステリーの女王クリスティのデビュー作。
孤独で美貌の天才テロリスト、バハラットが憎しみに目覚めたのは、目の前で両親が惨殺された時だった。以来彼女は、三つの顔を持つ暗殺者として、闇の組織「スコルピオ」の全面的支持を受け、“すべての権力者に死を”を目標に活動してきた。彼女は、妻を諜報活動の犠牲にし、海軍情報部を退職した傷心のホーソンに出会って、恋に落ちた。彼女の真実を知らぬ彼もまた…。
暗殺者と追手というおたがいの正体に気付いてもなお、二人の愛は消えなかった。テロリストたちの動きは活発になり、犠牲者が増えてゆく。ホーソンたちは各国情報部と協力して、必死に闇の組織を追う。バハラットは伯爵夫人になりすまして、社交界に入り込み、彼女の完璧な復讐計画はいよいよよ最終段階に入った。二人の対決は間近だ。帝王ラドラムの世界がたっぷり楽しめる力作。
ウィルミントンの町に秋がきて、僕は11歳になった。映画も野球も好きだけど、一番気になるのはガールフレンドのジルのことなんだ…。アメリカ育ちの大介の日常を鮮やかに綴った代表作「こうばしい日々」。結婚した姉のかつてのボーイフレンドに恋するみのりの、甘く切ない恋物語「綿菓子」。大人が失くした純粋な心を教えてくれる、素敵なボーイズ&ガールズを描く中編二編。
台湾一の名料理人の父親・朱氏と恋に揺れる三姉妹-。敬虔なクリスチャンで奥手な長女・家珍、キャリアウーマンで美しい次女・家倩、お茶目な大学生の三女・家寧-が繰り広げる、美味しくも心温まる恋物語。カンヌ映画祭で大絶賛を浴び、世界を魅了したアン・リー監督の作品を中華料理の達人が小説化。
夫の癌との闘病時に回復した関係がいままたあやふやになっている五十代の夫婦のある種の喪失感を伴った日常を軸に描くそれぞれの惑い。忍び寄る老いを感じつつも、なお恋の妄執にとらわれつづける男や女たち。
「和を以て貴しと為す」を社是とする日出製作所。入社10年目の羽島民義は、本社から企業城下町・日出市へ転勤になった。そこで命じられた「企業ぐるみ選挙実行部隊長」。自らの出世を賭けて、羽島は悪戦苦闘、下請け工場28社の組織票をまとめていく。だが、投票前日、本社上層部が翻意、敵対陣営への鞍替えを指示された。カイシャ絶対主義に翻弄されるカイシャインの哀しい性を描く。
あなたがとっても好きだから、あたしは自分がわからなくなる。あなたのことだけを考えていたいのに。あなたは今夜も、まだ、帰らない…。三津子と忠春は結婚七年。旦那様は会社で出世頭だし、夫婦仲も円満で、三津子は絵に描いたように幸せな専業主婦。なのにー愛する人のことを想うひたすらな心を静かに蝕んでいく孤独の闇。日常生活に潜む正気と狂気の狭間を描くサイコ・ホラー。
完璧な美貌に抜群のプロポーション、そのうえ成績はトップクラス。ニューオーリンズのテューレーン大学ロースクールで、ダービー・ショウは男子学生の憧れの的。だが、FBIさえ解決できない難事件の答えを、クールな頭脳で推理して文書にまとめたその時から、彼女の悪夢が始まったー彼女を巻き込んだ巨大な国家的陰謀とは。その「ペリカン文書」で言い当てられた衝撃の事実とは。
ニューヨーク、ワシントンDCと場所を変え、生命の危険にさらされ続けたダービーが協力を求めたのは、新聞記者のグランサム。事件の背後に潜む組織が「ペリカン文書」をもみ消そうと動くなか、証人を探しだし、情報の裏づけをとらなければ、陰謀を暴くことはできない。殺されるか、それとも巨大権力を突き崩すかーアメリカの現実をリアルに織り込んだノンストップ・サスペンス。
知的で自由な精神をもつ、考古学者トーリーに初めて会ったその日から、別荘管理人ジョーは彼女を愛し続けてきた…73歳の今日まで30年間も。春には珍しい雪嵐の夜、陸の孤島となった別荘に閉じ込められた2人は、初めて過去を語り合い、愛を確かめ合った。身分も年齢もすべてかけ離れた彼女に、ひたすら捧げ尽した無償の愛。スティーヴン・キング夫人が織り出す、静かだが熱い恋の物語。
昭和の激動の時代を奔放に駆けぬけたひとりの女の波瀾の生涯-。明治四十二年、東京中野に大工の棟梁の三女として生まれた銀子は、望まれて大学出の西山源蔵に嫁ぐ。西山家は土地の政治家の家系で、義兄の卓馬は気鋭の力士双葉山の後援会長も務めている。夫婦が台湾に渡ってすぐ日中戦争が始まるが、源蔵は出征して十日目に上海で戦死、あとにひとり、幼児を抱えた銀子が残される…。著者が母に捧げるレクイエム。