出版社 : 新潮社
戦争に反対しながらも、自ら対米戦争の口火を切り、世界を震撼させた連合鑑隊司令長官山本五十六。今日なお人々の胸中に鮮烈な印象をとどめる天才提督の赤裸々な人間像、その栄光と悲劇を、膨大な資料と存命者の口述をもとに余すところなく描き、激動の昭和史を浮彫りにした、必読の記録文学。
白人農園主と黒人奴隷が愛しあって生れた「白い黒人」、美しいクイーン。奴隷の身から自由になった時、流転の運命が彼女を待ち構えていた…。ヘイリーが、愛情を込めて描く実の祖母の人生と、奴隷たちの“その後”。
人生の途上で堪えがたい悲しみに直面したとき、人はその事実をいかに受けとめ、その後の人生をどう生き得るか。肉体に障害を抱えた長男と精神に障害をもつ次男、二人の息子を同時に自殺によって失った女性が、その悲惨を真正面から引き受け、苦しみの果てにたどりついた生の地平は。魂の癒しを探り、生きることへの励ましに満ちた感動的な長編小説。第一回伊藤整文学賞受賞作。
犠牲者の耳は切り取られ、別の男から切断された小指が差し込まれていた。次の犠牲者の口には、前の犠牲者の耳が押し込まれていた。狂気のナイフで切断された身体のパーツが、次の犠牲者の体内に残されてゆく。大阪の闇を切り裂く凄惨な連続殺人に狂奔させられる刑事たちだが、捜査線上に上った容疑者は、生きている筈のない男だった…。卓抜なトリックのサイコ・サスペンス大作。
日本ジャンプ界期待のホープが殺された。ほどなく犯人はコーチと判明。一体、彼がどうして。一見、単純に見えた殺人事件の背後に隠された驚くべき「計画」-踏切のタイミング、空中姿勢、風圧、筋力、あらゆる要素を極限まであの男のデータに近づけよ。「計画」は極秘のうちに進行しつつあった…。拘留中の犯人が密告者を推理する、緻密極まる構成の本格スポーツ・ミステリー。
人種差別政策への批判が強まる中、南ア白人政権はある極秘計画に着手した。一方ANCは大物政治犯との交換を要求すべく、訪英中の外相を誘拐した。だが工作員たちが身を隠した森林地帯に捜索隊のヘリが墜落、辺りは一面火の海となってしまう。外相を死なせては全てが水の泡だ。果して脱出は可能なのか。また極秘計画「ブラッド・リバー」とは。巧みなプロットが光る本格冒険小説。
プラチナ・ブロンドの髪が輝く天性の美貌と魅力の持ち主クリスタルがスペンサーと出会ったのはまだ14歳の時。二人は互いの目が会った瞬間から恋に落ちたのだが…。女優になる夢を抱き、度重なる逆境を乗りこえるクリスタル。彼女への思いを秘めながら、才気煥発なエリザベスにも心動かされるスペンサー。愛し合いながらもすれ違う男と女の真実の幸せの行方を描いた長編ロマンス。
ハーヴァードを優秀な成績で卒業した苦学生ミッチは、メンフィスの小さな法律事務所から高額の年俸、BMWの新車つき一軒家という破格の待遇で迎えられた。この事務所、新人弁護士にも苛酷な仕事を要求するが、10年もすれば億万長者であとはバラ色の人生が待っている。彼は愛妻アビーの不平にも耳を貸さず、一日20時間働いた。だが、こんなうまい話、この世の中にあるわけない…。
ミッチが勤めるこの事務所、過去に五人の死者をだしている。一切が盗聴され、常に監視されているようだし、何者かの指令で事務所が動いているらしい。接触してきたFBIの捜査官に真相を聞かされたミッチは、事務所を操る巨悪の組織とFBIの双方の裏をかくとんでもない策を練る。タダじゃ正義に加担しない、しっかりと取るべきものはとる。
西部をさすらう凄腕のギャンブラー、マーヴェリック。目指すは、優勝賞金50万ドルのポーカー選手権。だが、参加料が足りない。彼を誘惑する美貌の女スリ、アナベル。ふたりの仲に割って入る謎の連邦保安官クーパー。三人三様の思惑が入り乱れ、悪漢どもが行く手を阻む。タイムリミットまで後4日。危ない橋を渡らなくてはならないー。スリル満点、丁々発止のアドベンチャー・ロマン。
水平社結成から2年、秀昭や和一は全国に広がった運動の中心となって奔走している。小森の人々の意識も、根底から変わりつつあった。刈入れ前の稲を差押えようとする地主に対抗し、孝二ら青年たちは夜の稲刈りを決行する。一方、運動に対する理不尽な弾圧は強まっていく。皇太子狙撃事件の顛末を息をつめて見守る、孝二たちの憤りと憂いは尽きない。20年ぶりに書下ろされた待望の続編。
個性尊重の全人教育を唱え、昭和の初めに創立された玉川学園。園内に住む少年の眼がとらえた開戦前夜から終戦までの日々。都市部から離れているため、どこかのどかなところのある学園にも-戦闘機の空中戦、陸軍の装甲車の駐屯、農家への買出しや疎開-戦争は次第に、そして確実に忍びよってくる。幼き戦争体験を軽やかに描く傑作長篇。
最初で最後となったビートルズ来日の年、横浜の山の手に全寮制の新設校が現れた。期待と不安を交錯させながらも入学にのぞむ第一期生。どこか幼さを漂わせる彼らの中にも、少数ではあるが、ロックという異分化に強烈な共感を覚える連中がいた-鋭敏な感性と自由な精神を闊達に描いた、新鋭がおくる青春長編。