出版社 : 新潮社
放火・脱獄という前代未聞の大罪を犯した高野長英に、幕府は全国に人相書と手配書をくまなく送り大捜査網をしく。その中を門人や牢内で面倒をみた侠客らに助けられ、長英は陸奥水沢に住む母との再会を果たす。その後、念願であった兵書の翻訳をしながら、米沢・伊予字和島・広島・名古屋と転々とし、硝石精で顔を焼いて江戸に潜伏中を逮捕されるまで、6年4か月を緊迫の筆に描く大作。
宮本武蔵に育てられた青年剣士・松永誠一郎は、師の遺言に従い江戸・吉原に赴く。だが、その地に着くや否や、八方からの夥しい殺気が彼を取り囲んだ。吉原には裏柳生の忍びの群れが跳梁していたのだ。彼らの狙う「神君御免状」とは何か。武蔵はなぜ彼を、この色里へ送ったのか。-吉原成立の秘話、徳川家康武者説をも織り込んで縦横無尽に展開する、大型剣豪作家初の長編小説。
表向きは平凡な草紙屋、その実、謀事に抜かりなく、剣の腕も確かな悪党、巽屋孫兵衛。彼が墓守の卯平、女髪結いのお徳、遊女のお新、元浪人の妻お京といった、ひと癖もふた癖もある面々を率い、色と欲にボケた亡者どもを、あの手この手で引っ掛け、騙し、有り金残らず巻き上げるー江戸は深川界隅を舞台に繰り広げられる、痛快なダーティー・トリック・ストーリー10編。
主君織田信長からその政治的・軍事的手腕を高く評価されていた明智光秀は、天下人を自認する信長の増長をひそかに憂えていた。意に添わぬ者たちに対してはおびただしい殺戮をくりかえし、古参の重臣さえも些細な理由で追放する信長。しかし諌言は受け入れられず、いつか光秀の心は信長から遠ざかっていく…。逆臣の汚名を覚悟で主君を弑逆した悲運の智将の内面に迫る長編小説。
スカイマスター337。アメリカの地方小空港を転々とするそのセスナ機は、飛び立ったあと必ず死体を残してゆくー一滴残らず血を抜かれた死体を。スティーブン・キングが現代の吸血鬼テーマに挑む表題作。過去に秘めた恐怖が母親の死とともに蘇える、クライヴ・バーカー「魔物の棲む路」。その他、ストラウブ、マレル、キャンベルなど、モダンホラーの神髄を結集する戦慄の全13編。
ニューヨーク市警のはみだし刑事ニックは、所轄管内で2人の人間を殺害した日本人サトウの護送を命じられる。が、相棒のチャーリーともども大阪空港に着いた早々、出迎えの警官に扮した一味に、まんまとサトウを奪われてしまう。この大失態を挽回すべく、アメリカ人刑事コンビは、言葉もわからぬ異国の大都会で必死の捜査を始める。大阪を舞台に描く異色のポリス・アクション。
泥沼の戦争がつづく近未来の中米。米軍砲兵隊特技士官ミンゴラは、潜在的超能力開発の訓練を受け、特殊部隊に参加する。彼を特ち受けていたのは、悪夢にも似た非現実的な世界だった。ジャングルの奥深く、墜落したヘリの中で息づく人工知能コンピュータ。戦争の背後に蠢く2つの氏族。謎の女デボラ…。現代アメリカ文学の俊英が魔術的リアリズムで描く、21世紀の「地獄の黙示録」。
もしも、あの時、釣りに行くのを中止しなかったら、もしも、あの時、顔見知りに会わなかったら…偶然が重なって、一人の男が死んだ。ごく平凡に見えるこの事件に微かな違和感を抱いた刑事がいた…偶然性を扱った画期的な作品「偶然かしら」の他、一幕サスペンスの「歌で死ぬ」写真トリックを使った「仰角の写真」「印画紙の場面」など、9編収録のオリジナル短編集。
やっぱりあたしがついててあげなくっちゃー不思議な力を持つ少女アナは、スポーツ万能のケン、天才科学少年のロイドといっしょに、地球の危機を救う闘いに立ち上がる。マジカントの国の女王、クィーン・マリーの助力を得るため、世界中に散らばった八つのメロディを探す三人に、宇宙人の魔手が忍び寄る。恐るべき敵の正体とは?糸井重里入魂の超大型RPGを完全小説化。
酒場のカウンターで、年下の男から突然見せられた妻にあてた「ラヴレター」-。結婚十年目をむかえた夫婦の家庭に傍若無人に割り込んできた若者の、ひたむきだが不可解な言動の秘密を描いた表題作の「もうひとつの恋文」をはじめ、すぐには言葉にならない、様々な想いを抱きながら、都会の片隅で生きていく若い男女が演じる〈愛のドラマ〉五編。直木賞受賞作「恋文」の姉妹編。
日露戦争で満州軍参謀として日本の命運を担い、後に昭和の宰相となった田中義一。幕末に駕篭かきの悴として生まれた彼は、立身の手段として軍人の道を選び、近代国家の歯車となって生きることを決意する。義一は軍事大国ロシアの内情を探ることを命ぜられ、ペテルブルグに赴いて情報収集の秘密任務につくが…。明治の男の強烈な上昇志向と自己実現の軌跡を辿る書き下ろし長編小説。
30歳の公証人ローモンは、ひそかに若き美貌の未亡人フローラに恋をしている。しかし、彼女は小作人の息子で文学青年のジルダスに夢中だ。彼は、男たちを魅了している小悪魔的な小間使いのマルトと愛しあっている。そしてマルトの真実の告白が愛の悲劇を招く…。七月王政下の1930年代、フランスの牧歌的なアキテーヌ地方を舞台に、愛に生き愛に死んだ人間模様を描く長編恋物語。
エルサレムの丘でアラブ人らしい少女の全裸死体が見つかった。切り刻まれ、入念に洗い浄められて。一週間後、同じように、もうひとりの少女が殺された。辣腕警部シャラヴィと4人の部下は、全く手掛りを残さないこの犯人を、執拗果敢に追いかける。だが第三の犠牲者がー。想像を絶する異様な変質者の心理と、個性豊かな5人の刑事の艱難辛苦を、重厚な筆致で描いたサスペンス大作。
数々の難事件を解決した聖戦の英雄シャラヴィ警部と、記録あさりの名人シュメルツェル、巨大の中国人リー、アラブ系のダウド、新米のコーヘンーマスコミの妨害や政治的圧力にもめげず、捜査班は辛抱強く働くが、犯人はその輪郭さえ掴ませない。そして、ある日、シャラヴィの最愛の娘がいなくなった!半ば狂ったようにシャラヴィは、目星をつけた場所に突進する…。
かつて戦闘機乗りとして鳴らしたプロスのもとに、情報局からある依頼がきた。中国の特殊任務で潜入した彼の元同僚を、最新型ヘリ・リンクスで救出し、香港まで運んで欲しいというのだ。いやいや承知した彼の補佐には、美人諜報員のローガンが付けられた。香港へと向かう二人だが、その行く手には謎の中国人リンの執拗な妨害が待ち受ける…。高性能ヘリが活躍するシリーズ第一作。
「出張して本を読みます。文学書、ノンフィクション、その他何でも」幻想的熱情、性的憧憬、頽廃的媚薬ーどんな本でも美しい声で朗読するマリー=コンスタンス。車椅子の少年にモーパッサンの官能的な短編を、革命好きの女伯爵にマルクスを、多忙な実業家に愛のレッスン付きで教養書を。だけど老判事が強要した「ソドムの120日」は…。マリーが体験する不思議な危険な《愛の時間》。
アビーは父ディーン・ローソンの葬儀ではじめてレイチェルに出会った。レイチェルはディーンと愛人との間の娘だが、アビー同様、彼女もローソン家特有の鮮かなブルーの瞳を受け継いでいた。ディーンの没後、アビーは莫大な財産を相続するはずだったが、残されたのは借金だった。一方、レイチェルには多額の信託財産が遺されていた。ふたりの異母姉妹の宿命の葛動がはじまるー。