出版社 : 新潮社
鳥取の砂丘でテレビCM撮影中の舞妓に毒が盛られ、祗園花見小路では同輩が殺された。しかも、事件は意外な方向に飛び火し、俳優の元の妻に続いて、疑惑の俳優自身も、琵琶湖畔の別荘で謎の死を遂げる。それは自らの犯行を侮いての自殺だったのか、それとも他殺か?トリックの女王山村美紗が、舞妓小菊と高名な日本画家沢木のコンビを配して描く、斬新華麗なミステリー・ロマン。
「猫の蚤とりになって暮らせ!」-藩校始まって以来の秀才、剣術の腕前も並み以上、それなのに主君の勘気に触れ、「猫の蚤とり」となって女客めあてに春を売る侍の、奇妙な運命を描く表題作。獄中で一世一代の枕絵に挑む絵師、浮気が露顕して女房に追い出された商家の婿養子、将軍家好物のかれいの煮付けの小骨を抜く侍…。愛すべき江戸の男たちをめぐる6つの物語。
しがない安月給のサラリーマン、ダグラス・クウェールは火星への憧憬を拭いさることができず、架空の記憶を売る会社を訪ねた。クウェールの記憶の分析した担当の技術者は困惑の表情を浮かべた。すでに、クウェールの記憶中枢には火星での生活が刻みこまれていたのだ。さらに、その深層に隠された記憶を探ると…偽の記憶を扱った「追憶売ります」など12編収録のオリジナル短編集。
トーニ・コンロイは166分署の婦人警官として、生まれ育ったマンハッタンの下町に赴任してきた。彼女は自分の娘と弟の生命を奪った麻薬に対して復讐戦を挑むつもりだった。だが、ひそかに当時の捜査記録を見て、2人の死が事故ではなく、殺人だったことを知る。トーニは勤務が終わると私服に着がえ、ひとり犯人を求めてジャンキーたちのたむろする街に出る…。異色の警察小説。
20世紀末のある日、ニューメキシコ砂漠の天文台が、奇妙な電波信号をキャッチした。それは厖大な素数系列で、発信源は26光年彼方のヴェガ系惑星と判明した。地球外知的生物からの電波探査機関〈アーガス〉の責任者エリーが、待ち望んだ瞬間だった。世界の専門家が協力しついに信号は映像化されたが、スクリーンに現われたのは、あまりにも意外な…。著名な天文学者の処女小説。
ヴェガ系惑星から届いた〈メッセージ〉解読のため、世界中の知識が総動員された。やがてそれはある機械の設計図であることが分った。再び全世界の協力の下で作り上げられたその〈マシーン〉に乗って、エリーたち5人の地球人代表が、ヴェガに向けて旅立つことになったー。宇宙の先進文明との接触を主題にして、最新の科学情報を基盤に、著者の卓抜な空想が展開する雄大な叙事詩。
中米の国、コスタリカ。国連食糧農業機関の職員であるイギリス人カーターは、この国の深刻な食糧危機を解決するべく派遣されたが。が、順調に進んでいた画期的な援助計画は突然妨害を受け、彼は失踪した。カーターを追って妻サマーズはジャングルに入り、陰謀の真相を知った…。世界的複合企業体の巨大な権力に翻弄される個人を描き、第三世界の現実に鋭く切り込んだ異色の冒険小説。
未亡人となった桂子さんの前に現れた、入江氏という謎の大物。実業家、編集者、作家たちがからむ秘密のプロジェクト。竹林の別荘での酒宴。ドイツの暗い森での密会。花を食べる酔美人の真紅の寝室…。桂子さんの身辺で交わされる、様々な“歓び”。ときに妖しく、ときに典雅で、めくるめくような-濃厚な小説世界。
今度の作品『人間の幸福』では、大自然の力である神は、人間の幸福を、どんなふうに考えているか、ということを書きました。人間の本当の幸福は、この現実の世界に生きながら、大自然の神の世界にいる人間のような気持ちで生きることだと教えられて、それはどういうことなのか、二人の女性が現代社会のなかでどう生きていくか、ということを書いています。
五十歳になったことをきっかけに書き始めた連作から、還暦を迎えて急逝したわずか三ケ月前に書き上げられた表題作まで、予感するように死を意識した日日の心情を私小説風に綴った短編群。「暴飲暴食」「五十歳記念」「心臓破り」「風と灯とけむりたち」「第三の男」「傷は浅いが」「引越貧乏」の七編を収録。
探偵ブルーが、ホワイトから依頼された、奇妙な、ブラックという男の見張り…。アメリカ文学に初めて現われたエレガントな前衛。カフカが書いたような探偵小説と評された、その代表作。ニューヨーク三部作の最高傑作。
伊豆湯ケ島の小学校を終えた洪作は、ひとり三島の伯母の家に下宿して沼津の中学に通うことになった。洪作は幼時から軍医である父や家族と離れて育ち、どこかのんびりしたところのある自然児だったが、中学の自由な空気を知り、彼の成績はしだいに下がりはじめる。やがて洪作は、上級の不良がかった文学グループと交わるようになり、彼らの知恵や才気、放埒な行動に惹かれていくー。
洪作は四年に進級するが、自由奔放な文学グループと行動を共にするようになってからは成績は下がる一方で、ついに彼は沼津の寺にあずけられる羽目になった。おくてで平凡な少年の前に、急速に未知の世界が開けはじめる。-陽の光輝く海辺の町を舞台に、洪作少年がいかにして青春に目覚めていったかを、ユーモアを交えた爽やかな筆に描き出す。『しろばんば』に続く自伝長編。
父を失い、長兄を兵隊にとられた洋と洋次郎の兄弟は、空襲で家を焼かれ、かあさんの田舎へ疎開した。デパートも映画館もない小さな町で、初めての畑仕事や魚とりに精を出し、動員先の工場では地元工員たちと大喧嘩、そして“前線慰問用”の宝塚予科生との交流。そこにはもうひとつの“戦争”があった…。ひと夏の経験を通して成長していく兄弟の姿を瑞々しい筆致で描く感動の長編小説。
1979年の夏、著者にとって人生の最高の友人=中野重治は逝った。1年後、中野夫人原泉さんは、夫を生地の土に還した。その入院と死に至る状況や、郷里福井の埋葬に立ち合った著者に去来する50余年の時間の意味。そして自分自身の生と真実…。本書は、戦前・戦中・戦後の激動の半世紀に、人間的文学的情熱を共にした中野重治との交遊を通して描いた鎮魂の書。毎日芸術賞、朝日賞受賞。
時は戦国、幻術使い果心居士に導かれてその非情な人格を形成した少年赤丸は、貧困放浪の幼少時代から強奪、放火、殺人と残虐の限りをつくす。長じて彼は、畿内掌握の野望に燃え、無類の権謀術数を発揮して主君三好長慶を自在にあやつり、ついには将軍足利義輝をも弑して実力大名にのしあがった。乱世が生んだ下剋上の武将松永弾正久秀の悪の生涯を描く会心の長編。
巨大スタジアムの中で、パルプ作家同士が死力をつくし、制限時間内に一万語の小説をたたきだす、ニュー=スポーツ世界一決定戦〈プローズ・ボウル〉。メタファ・キッドことサケットは、宿敵カンザス・シティ・フラッシュを破り、ついに決勝に進出。だが、八百長の誘いをはねつけたために、恋人を誘拐されてしまった!スリリングな言葉のフットボールを描くスポーツ・パロディ小説。