出版社 : 新潮社
突然もちあがった抗生物質博物館設立プラン。展示の目玉にすべく、わが国初のペニシリン菌株を追い求める旅が始まった。忍びよる妨害の手、迫り来る危難。一体なぜ。菌株に何かの因縁があるとでもいうのだろうか。五十年を経た今、医学界をわき立たせ、同時に震えあがらせるペニシリンの秘密とは何か。
北欧の都で駐在武官が入手した極秘情報-ベルリン陥落後も滅びへの道をひた走る日本が、世界地図から抹消される。ストックホルムから、情報を携えて地球を半周する苦難の冒険行。『ベルリン飛行指令』『エトロフ発緊急電』に続く、第二次世界大戦三部作、ついに完結。
「火は、消せる。あきらめるには早すぎる」「畜生、開け。どうして開かないんだ」「生きてるの、返事して、お願い」「誰か、助けて…誰か」。最大瞬間風速88メートル、未曾有の大型台風が上陸したその夜、風が、炎が、そして管理人の男が、リゾートマンションの宿泊客を襲う。一夜のドラマを描く驚天動地のパニックサスペンス。
国が、君主が、権臣貴人たちが、陰媒をめぐらし、権力と利を求めて右往左往するなかで、人はいかにふるまうか-。秦・晋・楚・斉の四大国が覇権を競っていた中国の春秋時代、斉の国で軍事の才を発揮した晏弱将軍と、その息子でのちに名宰相として斉の黄金時代を築いた晏嬰父子の見事な生き方を、激動と変転の歴史の中に描く長篇1700枚。
その冬、ぼくは30年前の東京に迷いこんでしまった。隈田川沿いの古い鉄筋アパートの部屋で淡いまどろみから目覚めたとき、窓の外の高速道路は消え、柱のカレンダーには1959と記されていた。おずおずと一歩を踏みだすぼくの前に、次々と現われる見知らぬTOKYO、どこかなつかしい街と人びと…。過去と現在の衝突が生む不思議な時空を旅する青年の〈愛と冒険のファンタジー〉。
スズキさんは40歳で、広告会社の副社長。妻と一人息子と暮らす、いまでは立派な中年だ。そのスズキさんがはじめてとった有給休暇の朝に届いた一冊の古本『ドン・キホーテ』。差出人として記されていたかつての同志の名前は、奇妙に甘く懐かしく、スズキさんを20年前への時間旅行にと駆り立てた…。全共闘世代の現在を描いて怒涛の賛否を巻き起こした超話題作、待望の文庫化。
アニーが17歳、ローレル11歳の時にオスカー賞大女優の母親がアル中自殺をした。アニーは、弾みから継父をオスカーの像で欧ってしまい自分を慕っている妹を連れてニューヨークへ家出をした。伯母とのめぐりあいで貧乏せずに姉妹は美しい娘に成長していた。姉はチョコレート作りの名人をめざしパリへ、妹は画家になる夢をいだき、そして、ふたりはひとりの男ジョーに思いを寄せた。