出版社 : 新潮社
死神の刃の下で駒を凝視する男の行方はーー。圧倒的引力で読ませる将棋ミステリ。--負けました。これをいうのは人生で何度目だろう。将棋に魅入られ、頂点を目指し、深みへ潜った男は鳩森神社で不詰めの図式を拾って姿を消した。彼の行方を追う旅が始まったが……。北海道の廃坑、幻の「棋道会」、美しい女流二段、地下神殿の対局、盤上の磐、そして将棋指しの呪い。前代未聞の将棋エンタテインメント。
誰もが孤独の部屋の中から、報われない愛の行き先を探している。1930年代末、アメリカ南部の町のカフェに聾啞の男が現れた。大不況、経済格差、黒人差別……。店に集う人々の苦しみを男は静かに聞き入れ、多感な少女を優しく包みこむ。だがその心は決して満たされないーー。フィッツジェラルドやサリンジャーと並ぶ愛読書として、村上春樹がとっておきにしていた古典的名作、新訳で復活!
母も、祖母も、その母も、私たちはこの胸の痛みと生きてきた。黒髪でとびきり美人のサブリナ。あなたはどこで道を間違えたの? コロラド州デンバーのラテン系コミュニティ。女たちは若くして妊娠し、男たちは身勝手に家を飛び出す。従来の移民文学「らしさ」にとらわれず、やるせない日常を逞しく生きる彼女たちの、声なき叫びを掬い上げた鮮烈なデビュー短篇集。全米図書賞最終候補作。
16歳の夏、私は彼女に出会った。引っ込み思案な高校生・鈴美の前に現れた、凛とした雰囲気をまとう同級生の比呂。自分と全く違う彼女に圧倒された鈴美は、その背中を追い始める。
十三年前の夏、小学四年生の百合は男に誘拐され、五年もの間、監禁された。今は男装クラブで働き、必死に自活する彼女の身辺で、犯人の仮釈放と同時に奇怪な出来事が続く。無言電話、姿なき足音、首を切られたテディベア。そして、ルームメイトが次々に失踪したー『クリーピー』著者の不気味な新境地!
稀代の毒殺魔も、三十人殺しも。名探偵vs.歴史的殺人犯の宴、開幕。推理の果ては、生か死かーー。悪夢が甦るーー。日本犯罪史に残る最凶殺人鬼たちが、また殺戮を繰り返し始めたら。新たな悲劇を止められるのはそう、名探偵だけ! 善悪を超越した推理の力を武器に、「七人の鬼」の正体を暴き、世界から滅ぼすべし! 美しい奇想と端正な論理そして破格の感動。覚醒した鬼才が贈る、豪華絢爛な三重奏。このカタルシスは癖になる!
一五〇年前に描かれた「理想郷」に、私たちはいま辿り着こうとしているーー。羊飼いの青年が迷い込んだ謎の国「エレホン」。人びとはみな優しく、健康的で美しくー。でも、それには“しかるべき理由”があった。自己責任、優生思想、経済至上主義、そしてシンギュラリティ……。社会の幸福とはいったい何なのか? ディストピア小説の源流とされる幻の長篇が、現代人の心の底に潜む宿痾をあぶり出す。
この島のできる限りの情報が、いつか全世界の真実と接続するように。沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。中学生の頃から資料の整理を手伝っている未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいるひとたちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬が庭に迷いこんできて……。世界が変貌し続ける今、しずかな祈りが切実に胸にせまる感動作。
首都直下巨大地震のAI予告がひょっこり産み落とした異物。退避を拒んだ住民を前に、皇帝就任を宣言する男が現れたのだ。究極の凡人か、はたまた超人か。その従者となることを申し出た青年は、当初の目的を忘れ、皇帝とともに破滅へのカウントダウンを待つことを選んだ…。その時、もう一人の「陛下」は??タブーに挑む空前のファンタジー。
殺人鬼は夢の中、全ての現実を疑え。巧緻にして大胆不敵、最高密度のノンストップミステリ! 「聞いたことないか? 夢の中で死ぬと、現実でも死ぬっていう都市伝説」。謎多き新興企業ソムニウム社による極秘人体実験〈プロジェクト・インソムニア〉。自らの願望を具現化できる夢の世界に魅了された被験者たちを、煉獄の悪夢が襲う。幾重にも張り巡らされた悪意の連鎖に震撼せよ。期待の俊英による新感覚ミステリ!
見守っている。あなたがわたしの存在を信じている限りーー。ある日、千春はバイト先の喫茶店で客が忘れていった一冊の本を手にする。それは誰からもまともに取り合ってもらえなかった彼女がはじめて読み通した本となった。十年後、書店員となった千春の前に現れたのは。人生は、ほんとうにちいさなことをきっかけに動きだす。たやすくない日々に宿る僥倖のような、まなざしあたたかな短篇集。
「どうぞ愛をお叫びください」は、YouTubeにゲーム実況動画を投稿している4人グループ。全員が現役男子高校生であることを明言している。主に「愛ダサ」と略される。
不安で叫びそう。安心が欲しい。なのに、願いはいつも叶わないーー。『1ミリの後悔もない、はずがない』で大注目作家の心揺さぶる最新長篇! その頃見る夢は、いつも決まっていた。誰かに追いかけられる夢。もう終わりだ。自分の叫び声で目が覚める。私は安心が欲しいだけ。なのに夫は酔わずにいられない。父親の行動は破滅的。けれど、いつも愛していた。どうしたら信じ合って生きていくことが出来るのだろうーー。痛みを直視して人間を描き、強く心に突き刺さる圧倒的引力の傑作!
北朝鮮でクーデター勃発。拉致被害者を救出せよ! そのとき、国はどう対峙する? 騒乱に乗じてミサイル発射を企む北の軍部に、米国はピンポイント爆撃へと動き出す。だがその標的近くには、日本人拉致被害者がーー。日本の政治家は、国民は、人質奪還の代償として生じる多くの犠牲を直視できるのか? 実戦投入される最強部隊の知られざる内実とは? 日本初、元自衛隊特殊部隊員が描く迫真のドキュメント・ノベル。
「いざとなれば、金は刀より強いんです」江戸の商業を“最適化”した風雲児の生涯! 甲斐の農家から江戸の飛脚問屋の養子となった茂十郎は、名を揚げた矢先に永代橋の崩落事故で妻子を失う。その悲しみを糧に、茂十郎は三橋会所頭取となり橋の運営に要する莫大な費用を集め、十組問屋を再編し、菱垣廻船を立て直して流通を一新。江戸の金の流れを掌握し、「狼」と恐れられながらも商いの道理を貫いた実在の改革者に迫る傑作歴史小説。
世紀末の今年、社会人生活4年目。まだ25歳だけど、直属の部下67人(年上の猛者ばかり)の、警察本部公安課長になる、らしい。最重要任務は、テロ防止と、絶対回収しなければならない「落とし物」-大先輩の(だけど部下の)相棒と一緒に、任務を果たす、僕は警察キャリア。2年未満をかぎりの、渡り鳥ですー選民思想、そして殺人容認思想。日本を窮地に陥れる可能性が高い、最凶カルトの総本山が、その県にはあった。赴任直前、恐るべき先制攻撃がー起こってはならない、毒殺テロ。発生場所は、警察本部のとある部屋だったー日本警察小説史に刻み込まれる、圧倒的な現実と、驚愕と、感動!