出版社 : 新潮社
殿下。お帰りを、お待ちしています。白の妃ネネの罠によって、行方不明となる皇子アリル。突然の悲報に傷つき、戸惑いながらも、彼を探すミレディア。皇帝候補のお披露目が迫り、異様な魔力に包まれた帝都ストラディカから弾きだされた二人は、帝国の過去を渡り歩く中で、帰るべき場所を探す……。他方、もう一人の皇子ラムザは、過酷な生活の中でも己を見失わず、未来へと踏み出す。大河ファンタジー、策謀の第3弾。
あなたの時間を僕にください。旅路を経て、皇子アリルが下した決断。たった一つの想いを貫き通すため、彼は歩みを止めなかった。恐怖帝ヴァルデミアスも、白の妃も、死神ギィも、彼を止めることはできなかった。すべては、この日、この時のために。明かされるロジェの秘密と、十三年前の真実。そして遂に、皇帝選の披露目の日が到来する─。オレンディアと十三翼将のグランゼリア戦を描く中篇「碧落」を収録。
王は、二人いらないー。上王の統べる地、八万遠。建国より千年、二人の少年が出逢う。一人は東国の雪州嫡男・源一郎。今一人は雪深き墨州長男・甲之介。やがて二人が国を治める主となった時、運命の歯車が血の匂いを纏って回り出す。妻子と家臣に恵まれ、善き治世を布く源一郎と、弟を殺し父を幽閉して、領主となった甲之介。二人を結ぶものは友情か、それとも。流転の偽史物語。
徒歩旅行の途中、果樹園のある農場に宿を求めたロンドンの学生アシャースト。彼はそこに暮らす可憐な少女、ミーガンに心を奪われる。月の夜、白い花を咲かせる林檎の樹の下でお互いの愛を確かめ合った二人は、結婚の約束をする。だが旅立ちの準備で町へ出たアシ ャーストを待っていた運命は─。自然の美と神秘、恋の陶酔と歓び、そして青春の残酷さが流麗な文章で綴られる永遠のラブストーリー。
幕が下りた。もう詰んだ。と思ったその先に、本当の人生が待っていた。経営難で閉校する萌木女学園。私達はその最後の卒業生、のはずだったーー。とにかく全員卒業させようと、限界まで下げられたハードルさえクリアできなかった「ワケあり」の私達。温情で半年の猶予を与えられ、敷地の片隅で補習を受けることに。ただし、外出、ネット、面会、全部禁止! これじゃあ、軟禁生活じゃない!
一年に一度の「特別な日」に贈りたいあなた自身が答えを見つける物語。二十歳の誕生日だというのに、アルバイトを休めなかった彼女は、ビルの604号室に暮らす不思議な老人に食事を届ける。ささやかな乾杯のあとで、彼女の人生に一体何が起こったのか……。中学校教科書にも採用され、人生と幸福について深く考えさせられる名短篇を、ポップなイラストレーションとともに贈るアートブック第四弾。
夫に先立たれた専業主婦の三年間。「平凡な人生」のおどろくべき輝きーー。夫を突然亡くしたアイルランドの専業主婦、ノーラ、四十六歳。子供たちを抱え、二十年ぶりに元の職場に再就職したノーラが、同僚の嫌がらせにもめげず、娘たち息子たちとぶつかりながらも、ゆっくりと自己を立て直し、生きる歓びを発見していくさまを丹念に描く。アイルランドを代表する作家が自身の母を投影した自伝的小説。
革命の名の下に、血の犠牲を要求するため、官軍を率いて江戸に入った西郷隆盛。動揺する徳川慶喜と幕閣の向背に抗し和平の道を模索する勝海舟。両巨頭が対峙した歴史的二日間は、その後の日本を決定づける。幕末動乱の頂点で実現した史上最高の名場面の、千両役者どうしの息詰まるやりとりを巨匠が浮かび上がらせる。奇跡の江戸無血開城とその舞台裏を描く、傑作長編。
平安時代半ば、醍醐天皇の皇子ながら寵愛を受けられず、都を出奔した空也。野辺の骸を弔いつつ、市井に生きる聖となった空也は、西国から坂東へ、ひたすら仏の救いと生きる意味を探し求めていく。悪人は救われないのか。救われたい思いも我欲ではないか。「欲も恨みもすべて捨てよ」と説き続けた空也が、最後に母を許したとき奇跡が起きる。親鸞聖人と一遍上人の先駆をなした聖の感動の生涯。
銀座の地下を流れる水路で、絵本を読み聞かせる美女に出会った少年の日。あれは全部、夢だったのか?本を人生の友とする男の芳しき幻想譚(「地下水路の夜」)。死んだ少女に捧げる奇妙な言辞。そのリフレインが巻き起こす摩訶不思議な出来事とは(「朗読者」)。源氏物語、ギリシャ神話、夢十夜。短編の名手が古今東西の名作と共に、あなたを不思議な世界へと誘う。全ての本好きに贈る12の物語。
揃いの国民服に身を包む金髪碧眼の「日本人」に、武力による平和実現の大義を説く黒髪の首相A。母の墓参に帰郷したはずが、「日本国」の違法侵入者として拘束された小説家Tは、主権を奪われた「旧日本人」の居留地に送られる。そこで自分と瓜二つの伝説の救国者Jの再来とみなされたTは、国家転覆を狙うレジスタンス闘争に巻き込まれていく。もう一つの日本に近未来の悪夢を映す問題作。
インターネット上に溢れる情報の中で、法律に抵触するものや犯罪に結びつくものを監視し、調査するサイバー・パトロール会社「クマー」。大学一年生の三島孝太郎は、先輩の真岐に誘われ、五カ月前からアルバイトを始めたが、ある日、全国で起きる不可解な殺人事件の監視チームに入るよう命じられる。その矢先、同僚の大学生が行方不明になり…。“言葉”と“物語”の根源を問う、圧倒的大作長編。
失踪した同僚の森永を探す三島孝太郎は、西新宿セントラルラウンドビルで元捜査一課の刑事・都築に出会う。だが、そこで二人を待ち受けていたのは、まさに“怪物”と呼ぶべき存在だった…。“狼”を名乗る謎の美少女・森崎友理子との遭遇。クマー社長・山科鮎子を襲う悲劇。悪意による“物語”が拡散され、汚濁に満ちた闇が日常へと迫る中、正義と復讐に燃える青年は、ある決断を下す。
おまえは後悔するー。度重なる守護戦士の忠告に耳を貸さず、連続切断魔の特定に奔走する三島孝太郎。なぜ、惨劇は起きたのか。どうして、憎しみは消えないのか。犯人と関わる中で、彼の心もまた、蝕まれていく。そうした中、妹の友人・園井美香の周囲で積み重なった負の感情が、新たな事件を引き起こす。都築の、ユーリの制止を振り切り、孝太郎が辿りついた場所。“悲嘆の門”が、いま開く。
誰もがみんな、心に願いを秘めている。空を飛んでみたくて、妖になりたいという変わり者。お菓子を作りたいがため、人になりたがる神様。弟を思うがゆえ、猫に転生した兄。そして、どうしても子を育てる親になりたい女─。それぞれの切実な「なりたい」を叶えるために起きた騒動と、巻き込まれた若だんなの本当の望みは? 願いをめぐる五つの物語がつまった「しゃばけ」シリーズ第14弾。
風光明媚な尾道に暮らす中学2年の鈴川有季は、ある日、奇妙な自動販売機を発見。100円玉を投入すると、大量の本と、その後ろから老人が現れた。本に埋もれた屋敷を終活整理する目的で始めたらしい。しかし、「どんな本にだって、救われたり感動する奴はいる」と熱弁する彼の言葉に有季の人生が動き出すー少年と、本をこよなく愛する老人との出会いを通して描く友情と恋と家族の物語。
長い夢を見ていたー。合戦に次ぐ合戦、流血の果てに、島津家の大願「天下静謐」も絶え果てようとしていた。島津宗家三男歳久は、それでも見果てぬ夢を見ていた。島津・織田・明智・浅井・延暦寺…あらゆる策謀が交錯する戦国の世で、歳久は、兄の島津義弘を殺す決意を静かに固めたのだった。島津家の九州統一の端緒を切り開いた「木崎原の戦い」を描く、圧倒的大河浪漫第二幕。
半分が鳥、半分が人間の赤ん坊で、生まれてから 1 週間で成長することをやめたピーターは、家の窓から飛び出して不思議な冒険に出かける。ロンドンのケンジントン公園を舞台に、凧のしっぽにぶら下がってゆらゆら、ツグミの巣のボ -トで池を横断し、妖精たちの舞踏会に現れて人気者になる。子供だけが見ることができる妖精と少年少女が繰り広げるロマンティックで幻想的な物語、新訳で復活!
史上最悪の航空機事故は仕組まれたのか。『タモリ論』で「いいとも」終了を予見した著者が満を持して放つ大長篇。御巣鷹山の悲劇は空前絶後ではなかった。しかも今度は一機だけでなく、ブラックボックスが見つからず真相は闇に覆われる。事故関係者と遺族、生存者の証言から浮かび上がる人間模様、政府と企業の体たらく、文化芸能、沖縄・原発の問題、そして隠されたこと。刊行自体が「アクシデント」な劇薬小説。