小説むすび | 出版社 : 早川書房

出版社 : 早川書房

ハ-ド・タイムハ-ド・タイム

40代を迎えたわたしは、世界の果てにどれだけ近づいているのか?気が滅入りがちなわたしを動揺させる新たな出来事が、降ってわいた。同世代の友人で新聞記者のマリ・ライアスンが、テレビ・リポーターに転身したのだ。記者として長年闘ってきたマリも、金の力に屈してしまうのか?マリの転身を祝うためパーティに出席した帰り、わたしは道に倒れていた女性を危うく轢きそうになった。その女性は重傷を負って倒れており、まもなく病院で死亡した。やがてその女性がニコラという脱獄囚だと判明するが、その直後、解剖する予定だったニコラの遺体が、何者かに持ち去られるという事件が起きた。わたしはニコラがメイドをしていた大手警備会社社長の家を訪ね、彼女が罠にはめられた疑いを抱く。なおもニコラが投獄された真相を探るうち、様々な妨害の手が延び、ついにわたしは誘拐容疑の濡れ衣を着せられ、刑務所へと!シカゴの女性探偵V・I・ウォーショースキー、6年ぶりに登場。生涯でもっとも苛酷な日々のなか、プロの探偵としての誇りを賭けたV・Iがすべてを投げうって真実を追う。

ファウンデ-ションと混沌ファウンデ-ションと混沌

天才数学者ハリ・セルダンは、第一、第二両ファウンデーションの設立に向け、着実に準備を進めていた。若手数学者ガール・ドーニックの帝都トランター来訪をきっかけとして、リンジ・チェン公安委員長によって予定どおり告発され、帝国の滅亡を予言した咎で裁判を待つ身となったのである。すべては心理歴史学の数式の示すとおりに進んでいるかにみえた。だがそのとき、彼の数式では予測できぬ出来事が、トランターで発生していた。それは、ファラド・シンター顧問官によるロボット狩りであった。帝国内で暗躍しているにちがいないロボットたちを捕え一掃することで、シンターは皇帝に取り入り、政敵チェン公安委員長の失脚をもくろんでいたのである。ロボットを見分ける唯一の手段が精神感応能力であると考えたシンターは、強力な精神感応能力を持つ女ヴァラ・リソを使って次々にロボットを抹殺していく。だが実際に殺されていたのは、第二ファウンデーションの要となるはずの精神感応者たちであった…。

夜に沈む道夜に沈む道

コンサートからの帰路、大学教授のイーサンはコネティカットの田舎道にある寂れたガソリン・スタンドに車を停めた。トイレを借りるため、娘は妻とともにスタンド内へ消えていく。一方、息子は車を出て、道へ歩み始めた。その瞬間、カーブを曲がってきた車が息子を襲った。氷が砕けるような音を響かせ、息子は宙へ飛ぶ。そして、路上に打ちつけられた息子の死体が、夜の道に残された。弁護士のドワイトは運転している車のスピードをあげた。助手席には、野球観戦で疲れた息子が眠っている。離婚した妻のもとへ息子を送り届ける途中、門限に間に合わせるため、近道へとハンドルをきった。カーブが終わったその瞬間、目の前に少年の姿が…。鈍い衝撃を感じながら、ドワイトはそのまま車を疾駆させた。夜に沈む道を。息子を轢き殺されたイーサンは、憎むべき犯人を追い始める。罪悪感に苛まれるドワイトは、窮地に追い込まれていく。事故がひきがねとなり、双方の家族は崩壊し、二人は平穏な日常から悲劇が待つ亀裂へ堕ちていく。やがて、互いの運命が交錯する時、物語は終局に向けて加速する。人間心理を深く抉り、全米各書評紙誌に絶賛された出色のスリラー。

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